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米10月雇用動態調査、 求人と新規採用ともに減少

by • December 9, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1802

Job Openings And Hires Decrease In October.

米10月雇用動態調査、米新規失業保険申請件数、MBA住宅ローン申請件数指数をおさらいしていきます。

米労働省が発表した米10月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比1.8%減の553.4万人と、市場予想の550万人を上回った。前月の563.1万人(548.6万人から上方修正)にも届かず。2000年の統計開始以来で最高だった4月の584.5万人で頭打ちを示す。米10月雇用統計の修正値に反し、求人数の減速を示した。

新規採用人数は前月比0.4%減の509.9万人と、2ヵ月連続で減少した。2006年11月以来の高水準を遂げた2月の551.0万人でピークアウトを確認しつつ、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台は26ヵ月連続で超えた。

離職者数は前月比1.2%減の487.5万人と2ヵ月連続で減少、2015年7月以来で最低を示した。定年や自己都合による退職者は2.2%減の298.1万人と減少に転じ、統計開始以来で最高だった2015年12月の308.8万人が遠のいた。解雇者数は1.0%減の162.3万人と過去6ヵ月間で5回目の減少となった。

求人数と新規採用者数は減少、両者の乖離は続く。

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(作成:My Big Apple NY)

求人率は2ヵ月連続で3.7%。統計開始以来で最高に並んだ7月の3.9%を下回った水準を保つ。民間が3.9%と前月の4.0%から低下、統計開始以来の最高だった7月の4.1%が遠のいている。政府は前月と変わらず2.3%だった。

就業者に対する新規採用率は2ヵ月連続で3.5%だった。2014年7月以来の低いレベルにとどまった5月に続く水準となる。なお2月は、2007年10月以来の高水準で3.8%だった。民間が前月と変わらず、政府も前月と同じく1.6%だった。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は、前月に続き3.4%だった。民間が前月と同じく2.7%となった半面、政府が前月の1.6%から1.4%へ低下している。自発的離職率は5ヵ月連続で2.1%となり、2007年5月以来の高水準をたどった。解雇率は前月に並び1.0%と、過去最低を維持した。

――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、9月と変わらず5項目でした。 6項目を達成した2月には届いていません。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.0%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.1%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.6%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 17.6万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.6%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.3%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 24.8%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.7%

▽米新規失業保険申請件数、前週から1万人減少

米新規失業保険申請件数は12月3日週に25.8件と、市場予想の25.5万件を上回った。とはいえ、6月25日週以来の水準へ増加した前週の26.8万件からは改善している。労働省は特殊要因を指摘せず、30万件割れは92週連続と1970年以来で最長だという。4週平均は25万2,500件と、前週の25万1,500件を上回った。

11月26日週までの継続受給者数は200.5万人と前週の208.4万人(修正値)を下回り、2000年以来の200万人割れを示した11月5日週の水準に近づいた。被保険者に占める失業者の割合は3週ぶりに1.4%を低下し、過去最低に並ぶ。

11月26日週の州別動向は、以下の通り。建設、ヘルスケア、社会福祉、製造業で目立つ。

(増加が顕著だった州)
・ウィスコンシン 4,779人増
・ミネソタ 1,647人増
・オハイオ 1,137人増
・バーモント 728人増
・ノースダコタ 610人増

(減少が顕著だった州)
・カリフォルニア 1万1,339人減(前週は1万4,214人増)
・テキサス 7,688人減(前週は2,376人増)
・ジョージア 2,444人減
・フロリダ 2,329人減
・ニューヨーク 2,189人減

――米10月雇用動態調査は、米10月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が減速したように新規採用件数が2ヵ月連続で減少していました。米新規失業保険申請件数は良好な数字が続き、解雇者数と歩調を合わせます。ただ、失業者が減少したとはいえ就労者数が加速するとは限りません。トランプ政権発足に合わせ、センチメント好転に伴い雇用の伸びが加速するか注目です。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇で借換が重石

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、12月2日週に前週比0.7%低下し414.1だった。前週の9.4%の低下と合わせ、過去5週間で4回の減少を示す。借換が0.7%低下し1459.3だったが、新規は0.4%上昇の234.5と小幅に反発した。期間中はトランプ・ラリーが続くなかで、米11月雇用統計がまちまちな内容だったものの米債から資金流出が続き金利が上昇した。

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は、前週の4.23%から4.27%へ上昇。1年前の4.14%を超えた。15年固定金利型(平均)は前週の3.48から3.35%へ上昇。FHAのローン金利は、前週の4.0%で変わらなかった。

MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇で借換にダメージ。

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(作成:My Big Apple NY)

申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は56.2%と、前週の55.1%から上昇した。ただ、2009年6月以来の低水準を示した2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

――MBA住宅ローン申請件数指数は、金利上昇に敏感に反応し弱い流れを維持しています。前年比でもマイナスで、金利上昇後の駆け込み需要が収束すれば住宅市場への打撃が現れる余地を残します。

(カバー写真:astrid westvang/Flickr)

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