Retail Sales Less Than Expected Right After The Election.
米11月小売売上高と、米12月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。
米11月小売売上高は前月比0.1%増と、市場予想の0.3%増を下回った。とはいえ、前月の0.6%増(0.8%増から下方修正)を合わせ3ヵ月連続で増加している。米11月新車販売台数が年率で高水準を維持したものの、前月比で減少した動きと整合的だ。自動車を除いた場合も0.2%増となり、市場予想の0.4%増に届かず。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は0.1%増と4ヵ月連続で増加しつつ、前月の0.6%増を下回る。ブラックフライデーやサイバーマンデーでのオンライン売上高は好調と報じられたが、やは旗艦関店を中心に伸び悩んだとみられる。米7〜9月期GDP改定値での個人消費につづき、2%台を確保できれば御の字だろう。
内訳をみると、主要13カテゴリー中で11項目増加し、前月の9項目を上回った。今回はガソリンスタンドが牽引したほか雑貨、建築/庭園が強い。一方でアップルの新型スマートフォンiPhone7が発売開始を迎えたが前月に続き電気製品が減少し、効果は見られず。そのほかヘルスケア、一般小売が足を引っ張った。項目別の詳細は、以下の通り。
(プラス項目)
・外食→0.8%増>前月は0.3%減、6ヵ月平均は0.3%増
・家具→0.7%増>前月は0.5%減、6ヵ月平均は0.3%増
・食品/飲料→0.4%増<前月は0.7%増、6ヵ月平均は0.3%増
・ガソリンスタンド→0.3%増<前月は2.5%増、6ヵ月平均は0.6%増
・建築材/園芸→0.3%増=前月は0.3%増、6ヵ月平均は0.3%増
・非店舗(オンライン含む)0.1%増<前月は1.4%増、6ヵ月平均は0.7%増
・電気製品→0.1%増>前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.5%減
・一般小売→0.1%増<前月は0.7%増、6ヵ月平均は0.2%減
(*百貨店は0.2%減>前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.7%減)
・服飾→±0%<前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.1%増
(マイナス項目)
・自動車/部品→0.5%減<前月は0.5%増、6ヵ月平均は0.8%増
・雑貨類→0.8%減<前月は0.6%増、6ヵ月平均は0.5%増
・スポーツ衣料/書籍/趣味→1.0%減<前月は0.7%増、6ヵ月平均は0.9%減
・ヘルスケア→1.0%減<前月は1.2%増、6ヵ月平均は0.2%増
前年比は、コントロール売上高の勢いに陰り。
――米大統領選後に消費者センチメントが急伸し、ホリデー商戦の余波もあって消費を押し上げるかと思いきや、意外に伸び悩みました。悪いことは続くもので、10月分も下方修正されています。米大統領選後に気持ちが高ぶってもすぐに所得が伸びるわけもなく、金利上昇も意識されたのでしょう。JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、失望に終わった米11月小売売上高を受けて米10~12月期GDPの予想を従来の2.0%増から1.5%増へ下方修正しました。やはり米7~9月期GDP改定値のモメンタムは、維持できそうにありません。
▽米12月NAHB住宅市場指数、トランプ勝利を歓迎し急伸
米12月NAHB住宅市場指数は70となり、市場予想並びに前月の63を大幅に上回った。2005年7月以来の高水準を遂げている。トランプ政権発足で減税が期待され、金利上昇局面を受けながら上振れした。
内訳をみると、一戸建て現況指数が76と前月の69から急伸した。一戸建て見通し指数も前月の69から78へ上振れ。見込み客指数も前月の47から53へ跳ね上がり、そろって景気回復サイクルで最高を遂げている。
足元のレンジを突破し、楽観度が急速に高まりました。
(作成:My Big Apple NY)
4大地域別での住宅市場指数は全て上昇し、前月の3地域から増えた。今回は北東部が6ポイント上昇し最も顕著となり、次いで中西部が2ポイント、西部は2ポイント、最大の市場規模を誇る南部は1ポイントだった。
発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のエド・ブレイディ会長は、結果を受け「米大統領選が影響しており、トランプ次期大統領が選挙公約通り中小企業を圧迫し住宅需要を阻害する規制を撤廃するとの期待が高まっている」との考えを寄せた。ロバート・ディエス主席エコノミストは「今回は著しく上振れしたものの、経済のファンダメンタルズ自体は良好で、米株相場と消費者センチメントと比例している」と指摘。もっとも「住宅建設業者は住宅ローン金利や在庫不足に懸念を寄せている」と付け加えた。
――米12 NAHB住宅市場指数は米10年債利回りが2014年夏以来の2.5%台に乗せる過程で、急上昇しました。トランプ・ユーフォリアの波に乗り、景気回復サイクルでの最高を遂げています。問題は、トランプ新政権が期待に添う政策を実現できるかどうか。さすがにこればかりは、年明けにならないと分かりません。
(カバー写真:Scott Lewis/Flickr)
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