Job Openings And Quits Level Decrease In December.
米労働省が発表した米12月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比0.1%減の550.1万人と、市場予想の558万人を下回った。ただし、米12月雇用統計の修正値が小幅鈍化にとどまったように、年初来で最低だった10月の545.1万人(553.4万人から下方修正)から改善を続けている。ただし、あらためて2000年の統計開始以来で最高だった4月の584.5万人で頭打ちを示した。
新規採用人数は0.8%増の525.2万人と、4ヵ月ぶりの高水準だった。2ヵ月連続で520万人乗せを遂げ、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を28ヵ月連続で超えた。ただし、2006年11月以来の高水準を遂げた2月の551.0万人でピークアウトを確認している。
離職者数は、前月比1.0%減の496.8万人と3ヵ月ぶりに減少した。定年や自己都合による自発的離職者数は3.2%減の297.9万人と減少に転じ、統計開始以来で最高だった2015年12月の308.8万人が遠のいた。解雇者数は1.0%増の163.5万人と、こちらも4ヵ月ぶりの水準へ増加した。
求人数と離職者数が減少、新規採用者数のみ増加。
(作成:My Big Apple NY)
求人率は3.7%で、前月の3.6%から上昇した。統計開始以来で最高に並んだ7月の3.9%を下回った水準を保つ。民間が3.9%と前月と変わらなかったものの、統計開始以来の最高だった7月の4.1%が遠のいたままだ。政府は前月の2.2%を超え2.4%と、4ヵ月ぶりの高水準に並んだ。
就業者に対する新規採用率は3ヵ月連続で3.6%だった。2014年7月以来の低いレベルにとどまった9月の3.5%から改善している。なお2月は、2007年10月以来の高水準で3.8%だった。今回は民間が4.0%と前月の3.9%を超え4ヵ月ぶりの水準を回復。政府は逆に1.4%と、前月の1.6%から低下し全体を押し下げた。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.4%と、前月の3.5%から低下した。民間が3ヵ月連続で3.8%だったものの、政府が1.4%と2014年12月以来の水準へ低下した。自発的離職率は前月まで6ヵ月連続で2007年5月以来の高水準となる2.1%だったが、今回は2.0%へ低下した。解雇率は3ヵ月連続で1.1%と、過去最低を示した9月の1.0%を上回った水準を保つ。
離職者数のうち、自発的離職者数は増加にブレーキ。
――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、4項目となり前月の5項目から低下しました。今回、自発的離職率が脱落した格好です。 なお2月は6項目を達成し、最多でした。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%
3)自発的離職率 ×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.0%
4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.6%
5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 17.6万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.8%
7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.4%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 24.2%
9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%
――米12月雇用統計と整合的で、労働市場は底堅さを示します。求人数の減少は年末要因が挙げられ、米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の好結果に反映されるように1月には改善する見通し。むしろ、自発的離職者数の減少に注目したい。2015年12月に統計開始以来で308.8万人とピークアウトした印象はぬぐえず、また米1月雇用統計では就業者数が大幅増加したとはいえ不完全失業率が上昇するなど経済的理由でパートタイムを余儀なくされている人々も前月比4.3%増でした。雇用が増加の牽引役は高賃金であれば専門サービス(IT、広告、法務など)と金融サービス、逆に低賃金では小売や食品サービスと二極化が進む状況。就労者数が増加しても反グローバリゼーション、保護主義を求める動きが後退するようには見えません。
(カバー写真:Dave Collier/Flickr)
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