Consumer Confidence Surges To The Highest Since 2000 Midst Fed’s Rate-hike.
米3月消費者信頼感指数、米1月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米2月貿易収支・速報値、各連銀の製造業景況指数をおさらいしていきます。
米3月消費者信頼感指数は125.6となり、市場予想の114を上回った。前月の116.1(114.8から上方修正)を超え、2000年12月以来の高水準を達成している。内訳をみると、現況指数が143.1と、前月の134.4(133.4から上方修正)を上回り2001年8月の水準へ、見通し指数も113.8と、前月の103.9(102.4から上方修正)と2000年9月以来の水準へ上振れしている。3月は米2月雇用統計が健全な労働市場を示したほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)が追加利上げを行ったものの金利の上昇を回避した。さらにガソリン価格の値下がりもあり、センチメントを押し上げたとみられる。医療保険制度改革の撤廃・代替案移行が頓挫したものの、税制改革に着手するためセンチメントへの影響は限定的となる可能性を残す。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果に対し「消費者のビジネス並びに労働市場の現況指数が大幅に改善し、短期的なビジネスや労働市場、雇用、所得においても楽観度が増した」と振り返った。その上で、「経済成長が数ヵ月先に加速する可能性がある」と結ぶ。
消費者信頼感指数、2000年12月以来の水準へ到達。
(作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY)
今回は現状の労働市場に対し、「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは12.2 と前月の7.0(修正値)を超えた。9ヵ月連続で続きプラス圏を維持しただけでなく2001年8月以来の高水準となる。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」が上昇し「悪い」が低下
「良い」32.2%→前月の28.3%から上昇、前年同月は24.9%
「悪い」12.9%→前月の13.4%から低下、前年同月は19.2%
「普通」54.9%→前月の58.3%から低下、前年同月は55.9%
労働市場については「豊富」が上昇し「困難」が低下、DIは9ヵ月連続でプラス
「職が豊富」31.7%→前月の26.9%から低下、前年同月は25.4%
「あまり職が豊富ではない」48.8%→前月の53.2%から上昇、前年同月は49.4%
「職探しが困難」19.5%→前月の19.9%から低下、前年同月は25.2%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は、「良くなる」が上昇し「悪化する」が低下。
「良くなる」27.1%→前月の23.9%から上昇、前年同月は14.7%
「悪化する」8.4%→前月の10.5%から低下、前年同月は9.5%
「変わらない」64.5%→前月の65.6%から低下、前年同月は75.8%
6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下、5ヵ月連続で「増加」が「減少」を上回る
「雇用が増加する」24.8%→前月の20.9%から上昇、前年同月は13.0%
「雇用が減少する」12.2%→前月の13.6%から低下、前年同月は16.3%
「変わらない」63.0%→前月の65.5%から低下、前年同月は70.7%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」と「減少」が上昇
「増加する」21.5%→前月の18.1%から上昇、前年同月は16.9%
「減少する」7.0%→前月の9.4%から上昇、前年同月は12.3%
「変わらない」71.5%→前月の72.5%から上昇、前年同月は70.8%
購入見通しは、住宅のみ低下した一方で自動車と主要機器がそれぞれ前月値を上回った(自動車は前月の13.7%→14.1%と直近で最高、主要機器は前月の49.9%→51.1%と直近で最高、住宅は前月の6.5%→6.0%へ低下)。
――消費者信頼感指数は再び2000年12月以来で最高水準へ舞い上がり、一段と楽観ムードが強まりました。米大統領選挙後にセンチメントが急伸する過程で米2月小売売上高は伸び悩みましたがタックスリターンが遅れた影響は拭えず、3月には春の芽吹きとともに回復する期待値が高い。ただ住宅市場は、金利上昇の懸念が燻るほか在庫逼迫や価格上昇もあって成長を押し上げる起爆剤となるかは微妙な情勢です。
年収ごとの指数は、以下の通り。税制改革を通じ減税が期待されるなか、高所得層ほど米大統領選挙後の上昇が大きいことが分かります。
既にゲイリー・コーン国家経済会議(NEC)議長は下院歳入委員会の共和党メンバーと会合を持ち、30日には米大統領とNEC議長など政権内でも調整に入る見通し。国境調整税は共和党内でも足並みが乱れワシントンからは「成立の見込みなし」との声が聞かれつつ、国民の期待が高まる税制改革で失敗は許されません。
▽米1月S&P/ケースシラー住宅価格指数、値上がりペース加速示す
米1月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は185.51となり、前月の185.21(185.54から下方修正)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では前年同月比5.73%上昇の192.81と市場予想の5.60%を上回り、指数ベースでは2007年10月以来の高水準。伸び率では前月の5.47%(5.58%から下方修正)も超え2014年8月以来の高い伸びとなり、3年9ヵ月連続でのプラス圏を保った。季節調整済み・20都市別の前月比は0.86%の上昇と、市場予想の0.70%を超えている。ただ2016年3月以来の力強さを示した前月の0.93%には届いていない。
20都市別での季節調整済みベース・前月比でトップは、ワシントン州シアトルで1.71%の上昇、2位は前月に1位だったノイ州シカゴで1.28%上昇した。3位はコロラド州デンバーで、1.00%だった。ワースト1位はオハイオ州クリーブランドで0.07%低下し、3位はミネソタ州ミネアポリスで0.48%の上昇だった。
▽製造業景況指数、3月の一覧
5地区連銀の製造業景況指数では前月との比較で2勝3敗(カンザスシティ連銀とリッチモンド連銀のみ前月超え)でした。
(作成:My Big Apple NY)
翻って米3月ISM製造業景況指数のエコノミスト予想平均(ブルームバーグ調べ)は現時点で56.8と、2月の57.7から低下する見通しです。2月は原油価格がまだ100ド付近だった2014年8月以来の高水準でしたが、今回はどうなるでしょうか。
▽米1月貿易収支速報値、輸入の減少が利き赤字縮小
米1月貿易収支・速報値は647.87億ドルの赤字となり、市場予想の664億ドルを下回った。前月の688億ドル(692億ドルから修正)から減少している。ただ、直近で最大だった前月の653.04億ドルに近い水準を維持している。輸出が前月比0.1%減の1268.09億ドルと、小幅ながら減少に反転。食品・飲料や自動車、資本財が支えた。輸入は2.1%減の1,915.97億ドル。食品・飲料や産業材が増加したものの、自動車や消費財、その他が押し下げた。
――バークレイズは、一連の結果を受け米1~3月期国内総生産(GDP)の予想を従来の1.2%増から1.6%増へ上方修正しました。アトランタ地区連銀の24日までの予測値は1.0%増でしたが、今後引き上げられる見通し。ただ、現時点では1年ぶりの低い伸びにとどまりかねません。4~6月期に成長回復のバトンを渡すことになるでしょう。
(カバー写真:Anna Levinzon/Flickr)
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