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北朝鮮、今年11回目のミサイル発射で読み解く傾向と対策

by • July 4, 2017 • Latest News, NY TipsComments Off2796

Looking Back North Korea Missile Launch Year To Date.

北朝鮮がまたまた、ミサイルを発射してきました。午前9時過ぎの発射後、およそ40分も飛翔し日本海側の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとあって、北朝鮮側は今回、大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったと主張しています。

偽ニュースと非難され、ツイッターでトランプ米大統領にめった打ちにされたCNNは”北朝鮮、米国にミサイル脅威をもたらす、トランプ政権の対応はいかに?(North Korea brings missile threat to the US: What does Trump do now?”と題したヘッドラインで政権に迫ります。独立記念日を狙った挑発行為に、トランプ政権が静観を決め込むようには思えません。

ひとまず、ツイッター砲を放ったトランプ米大統領。

trump
(出所:Twitter

さて、これまでの北朝鮮によるミサイル発射に法則が存在することはご案内の通り。そうです、北朝鮮はビッグイベントに重ねるように実施してきました。では、これまでミサイル発射前にどんな注目材料があったのか、振り返ってみましょう。以下、ミサイルの名称はこちら、6月8日分はこちらを参照。

1)2月12日 北極星2号(KN-15)準中距離弾道ミサイル
→2月10日に日米首脳会談(於ワシントンD.C.)

2)3月6日 スカッドER(Hwasong-7)弾道ミサイル
→2月28日にトランプ米大統領による議会演説

3)3月22日 弾道ミサイル発射、失敗
→3月17〜18日にG20財務相・中央銀行総裁会議、於ドイツのバーデン=バーデン、医療保険制度改革(オバマケア)代替案の採決前(3月24日に下院で採決見送り

4)4月4日 KN-17 対艦弾道ミサイル
→3月31日にトランプ氏は米大統領令で中国を念頭に「貿易に関する不正行為」の調査を指示し、「米国は単独で北朝鮮の核問題に対応」と発言、米財務省は北朝鮮の12個人並びに団体に制裁発動

5)4月16日 KN-17 対艦弾道ミサイル
→4月15日は故金日成主席の生誕105周年、4月14日に為替報告書で中国を為替操作国と認定せず、トランプ米大統領は4月11日に中国が北朝鮮問題解決なら米国との「貿易改善、あるいは「単独行動も」とツイート

6)4月29日 不明
→4月26日に税制改革の基本方針を発表

7)5月14日 火星12(Hwasong 12)中距離弾道ミサイル
→5月14〜15日に一帯一路会議開催(於北京)、5月9日にトランプ米大統領がコミーFBI長官を解任、ロシアゲート発覚

8)5月21日 北極星2号(KN-15)
→5月20日にTPP11首脳会合を開催、5月19日にトランプ政権がサウジアラビアへの武器輸出で合意、5月16日にコミー前FBI長官のメモの存在が発覚

9)5月29日 KN-17 対艦弾道ミサイル?
→5月26〜27日にG7首脳会議(於イタリアのタオルミナ)、5月25日に北大西洋条約機構(NATO)首脳会議

10)6月8日 地対艦ミサイル
→6月8日にコミー前FBI長官の議会証言、並びに英国総選挙

11)7月4日 北朝鮮、KN-14 =大陸間弾道ミサイルと発表
→当日は米国の独立記念日、6月30日の米韓首脳会談(於ワシントンD.C.)で文大統領は「THAAD配備を撤回せず」と発言

中国側の反応が気になるところですがロシアと韓国でのTHAAD配備で共同戦線を張り、3月時点では配備そのものが北朝鮮との正面衝突につながると警鐘を鳴らしていました。従って、今回の北朝鮮のミサイル発射を「米国の責任」として受け流す可能性は否定できないでしょう。おまけに、トランプ政権は6月29日に北朝鮮との関与を理由に政権発足後初めて中国の丹東銀行を制裁対象にすると発表、同日には台湾への武器供与を決定しました。7月2日の電話会談も不協和音が響く結果に終わり、中国から支援を取り付けるには思い切った”ディール”が必要になりそうです。

今後の動向を占う上で、ひとまず7月7〜8日開催のG20サミットが意識されます。その他の政治日程などは、こちらをご覧下さい。果たしてトランプ政権と北朝鮮、そして中国は次にどんなカードを切って来るのでしょうか?個人的には、北朝鮮のこれまでの傾向を見ていると米国が真正面から対応する必要性を禁じ得ません。武力行使という危険極まりない手段に打って出る前に、得意の取引を駆使したまさかの直接対決ならぬ交渉も視野に入れておきたいところです。

(カバー写真:(stephan)/Flickr)

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