NY Fed Manufacturing Index Surges, Builder Sentiment Picks Up.
米8月NY連銀製造業景況指数、米8月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。
米8月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は25.2となり、市場予想の10を上回った。前月の9.8から急伸し、2014年9月以来の高水準。項目別では、新規受注が7ポイント上も急伸したほか平均時間や仕入れ価格に至っては2桁の伸びを示す。そのほか雇用、出荷も前月を上回った。詳細は、以下の通り。
各連銀が発表する製造業景況指数、トップバッターのNYは上振れ。
・新規受注 20.6、5ヵ月ぶりの高水準>前月は13.3、6ヵ月平均は12.7
・出荷 12.4>前月は10.5、6ヵ月平均は13.5
・在庫 マイナス3.1、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は2.4、6ヵ月平均は1.2
・雇用 6.2<前月は11、6ヵ月平均は8.7
・平均労働時間 10.9>前月はゼロ、6ヵ月平均は8.5
・仕入れ価格 31、4ヵ月ぶりの高水準>前月は21.3、6ヵ月平均は26.2
・販売価格 6.2<前月は11、6ヵ月平均は9.0
・入荷時間 5.4>前月は4.7、6ヵ月平均は8.2
・受注残 マイナス4.7、2ヵ月連続で分岐点割れ=前月はマイナス4.7、6ヵ月平均はマイナス3.0
6ヵ月先見通し指数は45.2と、前月の34.9を超え1月以来の高水準だった。項目別では、新規受注と出荷が急伸したほか、仕入れ価格や販売価格も上昇。ただし雇用、設備投資は低下した。
▽米8月NAHB住宅市場指数、2016年11月以来の水準へ低下
米8月NAHB住宅市場指数は68となり、市場予想並びに前月の64を上回った。4ヵ月ぶりの高水準を示す。医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行が膠着し税制改革、その他ほか規制緩和が遅々として進まないものの、金利が低下した恩恵からセンチメントを押し上げたようだ。
内訳をみると、一戸建て現況指数が74と前月の70を上回り3ヵ月ぶりの高水準。一戸建て見通し指数も78と、前月の73を超え2005年6月以来で最高となった5月の水準に並ぶ。客足の動向を表す見込み客指数は49と、5ヵ月ぶりの水準へ落ち込んだ前月の48から改善しつつ分岐点割れを維持した。
前月に反し、見込み客指数が鈍化。
発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「新築住宅の需要に押し上げられており、雇用の伸びや経済成長、魅力的な低金利、消費者信頼感が支えとなっている」との見解を寄せた。ロバート・ディエス主席エコノミストも需要に自信を示しつつ、「GDP伸び率が4~6月期に改善し住宅需要に奏功した半面、建設業者は用地と人材確保で困難に直面している」と付け加えた。
――米8月NY連銀製造業景況指数と米8月NAHB住宅市場指数は予想外の躍進を遂げ、低インフレ環境と低金利が需要を刺激した可能性を示しました。成長減速懸念を吹き飛ばす内容を受けつつも、米株はさえません。S&P500のセクター別動向は、以下の通り。
FF先物市場で12月利上げ織り込み度が上昇し、米債利回りが低下した割に金融株が伸び悩んだほか、一般消費財をめぐっては前日から反落してしまいました。米7~9月期成長率見通し上方修正と歩調を合わせた利上げ先取りの動きなのか、今回の米指標の好転を一時的と判断しているのか、米国と北朝鮮の軍事的緊張が影響したのか、見極めが必要です。
(カバー写真:Maciek Lulko/Flickr)
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