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米1〜3月期GDP速報値、在庫投資と純輸出が寄与し個人消費の鈍化を打ち消し

by • April 27, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off3522

U.S. Q1 Growth Stronger Than Expected, Inventories And Net Exports Supported The Expansion.

1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率・速報値は、前期比年率2.3%増だった。市場予想の2.0%増を上回りつつ、前期の2.9%増など3期連続で3%前後の成長から鈍化を示す。一方で前年同期比は2.9%増と、前期の2.6%増を超え2015年4〜6月期以来の高水準だった。

GDPの7割を占める個人消費は前期比年率1.1%増と、2016年4~6月期以来で最高だった前期の4.0%増から減速した。1〜2月の新車販売台数の落ち込みに加え、悪天候も重なり個人消費を押し下げたようだ。GDPへの寄与度は0.73%ポイントと、2013年4〜6月期以来の低水準。なお前期は2.75%ポイントと、ホリデー商戦とハリケーン買い替え需要に支えられ3年ぶりの力強さを果たした。

▽個人消費の内訳

・耐久財 3.3%増<前期は13.7%増と2009年7~9月期以来の高水準
・非耐久財 0.1%増<前期は4.8%増と2010年10~12月期以来の高水準
・サービス 2.1%増<前期は2.3%増

民間投資は前期から加速した。項目別では、企業の設備投資に含まれる構築物投資と機器投資が前期を下回った半面、無形資産のみ強含んだ。住宅投資は、前期の大幅プラスからマイナスに転じている。在庫投資は、GDPをサポートした。民間投資の寄与度は前期の0.78%ポイントから1.19%ポイントへ上昇、1年ぶりの高水準となる。特に在庫投資の寄与度は前期の0.53%ポイントのマイナスから、今回は0.43%ポイントとプラスに転じ民間投資を押し上げた。

▽民間投資の内訳

・民間投資 7.3%増、2017年7〜9月期に並ぶ水準>前期は4.7%増
・固定投資 4.6%増>前期は8.2%増と2014年7〜9月期以来の高水準
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 6.1%増<前期は6.8%増と3期ぶりの高水準
>構築物投資 12.3%増、1年ぶりの高水準>前期は6.3%増
>機器投資 4.7%増<前期は11.6%増と2014年7~9月期以来の高水準
>無形資産 3.6%増>前期は0.8%増
・住宅投資 ±0%<前期は12.8%増と3期ぶりにプラス
・在庫投資 331億ドル増>前期は156億ドル増

純輸出の寄与度は、プラスを回復。逆に、政府支出の寄与度は前期の0.51%ポイントを下回り0.20%ポイントだった。

▽純輸出

・純輸出の寄与度 0.20%ポイント>前期は1.16ポイントのマイナス、1年ぶりのマイナスに

▽政府支出

・政府支出 1.2%増<前期は3.0%増と2015年4~6月期以来の高水準
・連邦政府 1.7%増<前期は3.2%増と2009年4~6月期以来の高水準(連邦政府は防衛支出が1.8%増、非防衛財は1.8%増)
・州政府・地方政府 0.8%増<前期は2.9%増と2016年1~3月期以来の高水準

Q1の成長率は、個人消費の弱含みを企業の住宅投資、在庫投資、純輸出が相殺。

gdp
(出所:MGSSI)

GDP価格指数は前期比年率2.0%上昇し、市場予想の2.4%並びに前期の2.3%以下にとどまった。PCEデフレーターは2.7%上昇し、前期と同じく過去3年間で最高となった。コアPCEデフレーターは2.5%上昇、前期の1.9%を超え2016年7~9月期以来のFOMCのインフレ目標値「2%」乗せを遂げた。

――1〜3月期は個人消費が約3年ぶりの水準へ減速し、機器投資を中心に企業の設備投資も振るわなかったものの、在庫投資が押し上げ民間投資、さらに純輸出がプラス寄与に転じ成長を支えました。4〜6月期は、個人消費の回復が期待されます。1〜3月期の減速は悪天候の影響が大きく、所得税減税や貯蓄率の改善を受けて消費を支えることでしょう。また2018〜19会計年度の予算で歳出増が盛り込まれ、政府支出も成長を押し上げそうです。逆に設備投資は、約3年ぶりの高値をつける原油など商品先物価格の上昇を受け、2017年の勢いを維持できない公算。減税分の浮いた利益を株主還元策へ振り向ける傾向が見られるだけでなく、トランプ政権の通商政策をめぐる不確実性も設備投資を抑制しかねません。設備投資の伸び悩んだとしても個人消費がカバーすると考えられ、4〜6月期は2.5%増近くの成長が見込めそうです。Q1GDPの結果を受け、保守的な予想を呈してきたエコノミストすら年4回の利上げ予想を維持。6月利上げは、確実な状況と言えるでしょう。

(カバー写真:Chris Devers/Flickr)

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