Existing Home Sales Decline From 10-Year High.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米5月中古住宅販売件数は年率543万件と、市場予想の552万件を下回った。前月の545万件(546万件から下方修正)から0.4%減少。2ヵ月連続で減少している。前年比では3.0%減と、3ヵ月連続でマイナスだった。販売件数は、在庫逼迫に加え金利や価格の上昇が下押し要因となったようだ。
内訳をみると一戸建てが481万件と、前月の484万件(修正値)を0.6%下回った。年初来で2月と4月に続き500万件を割り込んだ。なお500万件乗せは2007年2月以来の高水準となる。一方で、複合住宅は62.0万件と前月の61.0万件から1.6%増加した。
4大地域別では、前月に続き1地域のみ増加した。今回は北東部のみ4.6%増(前月から増加に反転)の68万件となる。その他は全て減少し、住宅市場の規模が最大の南部は0.4%減(3ヵ月連続で減少)の232万件、IT企業が集まる西部も0.8%減(3ヵ月連続で減少)の117万件と弱い。中西部は2.3%減(前月の横ばいから反転)の126万件だった。
在庫件数は前月比2.8%増の185万件と、5ヵ月連続で増加した。在庫件数は2016年12月に165万件と1999年以来での最低を更新していたが、中古住宅での需給ひっ迫の厳しさが緩和してきた可能性を示す。販売が減少したものの在庫が増加した結果、在庫相当は前月の4.0ヵ月から4.1ヵ月と2017年9月以来の水準へ延びた。
中央価格は前年比で4.9%上昇の26.48万ドルと過去最高更新、米5月雇用統計で示された平均時給の上昇率を大幅に超えた水準を保つ。中央価格の前月比では2.7%上昇し、3ヵ月連続で上昇した。販売日数は前月に続き26日、前年同月の27日に近い水準となった。NARによれば、全体の58%が1ヵ月以内に購入されたという。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 2%、統計を開始した2008年10月以来で最低<前月は3%、前年同月は4%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 1%=前月は1%、前年同月は1%
・新規購入者 31%<前月は33%、前年同月は33%
・現金購入者 21%=前月は21%、前年同月は22%
・住居用ではなく投資向け 15%=前月は15%、前年同期は16%
(このうち現金払いが57%、3月の63%並びに2015年4月以来の高水準だった2月の71%から低下)
中古住宅販売件数、一戸建てと複合ともにリバウンド。
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「金利や価格の上昇に加え、住宅在庫が非常に低く売上を押し下げている」と振り返った。
▽米5月新築住宅販売件数、南部が牽引し6ヵ月ぶりの高水準
米5月新築住宅販売件数は年率68.9万件と、市場予想の66.7万件を上回った。前月の64.6万件(66.2万件から下方修正)を6.7%上回り、前月から増加に反転。気温上昇と共に住宅市場の書き入れ時が開幕するなか、中古住宅販売と一線を画し6ヵ月ぶりの高水準だった。
4大地域別では、1地域のみ増加し前月までの2地域を下回った。今回は南部が17.0%増(3ヵ月連ぶりに増加)の40.9万件となった程度。西部は8.7%減(2ヵ月連続で減少)の15.7万件、北東部は10.0%減(前月から減少に反転)の3.6万件。中西部は±0%の8.7万件だった 。
新築住宅販売件数、景気回復サイクルでの高水準をキープ。
在庫総数は、前月比1.0%増の29.9万件。販売件数の増加が在庫を上回ったため、在庫相当は5.2ヵ月と、前月の5.5ヵ月から短縮した。
中央価格は31.30万ドルと、過去最高を更新した前月の33.54万ドル(修正値)に届かず。前年比では3.3%下落した。前月比でも1.7%下落し、2ヵ月連続で下落した。
――住宅販売件数は中古住宅が鈍化した一方で、新築住宅は好調でした。一因には価格が考えられ、中古住宅価格の中央値は過去最高でしたが、新築住宅は前月比・前年比ともに下落していました。新築住宅の増加は南部が牽引しており、住宅市場最大の規模を誇る同地域で在庫逼迫が徐々に解消されている可能性を示します。
▽米4月住宅価格指数は上昇基調を維持も、前月比でペース鈍化
米住宅金融公社(FHFA)が発表した米4月宅価格指数は前月比0.1%上昇し、市場予想の0.5%を下回った。前月と変わらず(0.2%から下方修正)。前年比は6.4%上昇、2016年以来の高いとなる。国勢調査ベースの9地域別では6地域で上昇、前月の4地域から増えた。
FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。
(カバー写真:Trevor Owens/Flickr)
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