This Country Replaces Russia On The List Of Major Foreign Holders Of Treasury.
5月対米証券投資は、699億ドルの買い越しとなった。前月の2,331億ドル(1,387億ドルから上方修正)に続き、2ヵ月連続での資金流入となる。民間が588億ドルの買い越し2ヵ月連続で流入したほか、海外中銀を含む公的機関は111億ドル買い越し前月の流出から転じた。海外投資家の米国債投資は267億ドルの買い越しと、前月の48億ドルの売り越しから反転した。3カ月ぶりの買い越しとなる。そのうち海外の民間が505億ドルの買い越しだったところ、海外の公的機関は238億ドルの売り越しだった。
期間中、3月23日にトランプ政権が鉄鋼・アルミ関税を発動させた後で4月に対中知財制裁関税の対象リストを公表、さらに1,000億ドル相当の対中追加関税の検討を命じた。中国政府が報復措置を決定するなど、4月は貿易戦争をめぐる懸念が台頭した半面、5月は後退。トランプ政権が輸入車関税引き上げを提案したとはいえ、米中通商協議を再開させたため、対中関税発動への懸念が後退した。一方で、トランプ政権は5月にイラン核合意から離脱を表明、米朝首脳会談実現への思惑も交錯した。なお米10年債利回りは一時3%を超え、約7年ぶりの高水準をつけた。
国別での米国債保有高トップ5動向は、前月に続き以下の通り。
1位 中国 1兆1,831億ドル、12億ドルの買い越し、前月から流入に反転
2位 日本 1兆488億ドル、2011年10月以来の低水準だった前月から回復、4ヵ月ぶりに買い越し
3位 アイルランド 3,010億ドル、6億ドルの買い越し、2017年5月以来の低水準だった前月から流入に反転
4位 ブラジル 2,992億ドル、51億ドルの買い越し、過去最高を更新、買い越し基調を継続
5位 英国 2,650億ドル、23億ドルの買い越し、前月から流入に反転
トップ5の米国債保有高の推移。
(作成:My Big Apple NY)
――中国は米国債を若干ながら買い増し、12ヵ月連続で保有高トップの座を堅持しました。日本は5月に買い越し額で首位となり、2位を維持しています。その他上位5ヵ国も、米企業の海外利益を抱えるアイルランドが小幅積み増しとなって3位だったように、4月と変わりません。
注目のロシアは、米国が4月6日に対ロシア追加制裁を決定した影響から俄かに米国債保有高を縮小させた結果、米財務省が公表する主要保有国リスト5月分から削除されました。主要保有国は300億ドル以上の米国債保有国が並びますが、ロシアの保有高は4月の487億ドル→5月に149億ドルと2ヵ月連続で急減したため、圏外へ去っていったわけです。
(作成:My Big Apple NY)
そのロシアは米国債の代わりに金の保有高を拡大中で、2月には中国を抜き世界で5位に浮上しました(1位米国、2位ドイツ、3位イタリア、4位フランス)。ただし、金額ベースで価格変動に影響されるとはいえ、シェアは今のところ限定的と言えなくもありません。
ロシアに代わってランクインしたのは、TPP11署名の舞台となったチリです。チリの経済は順風満帆で、同国財務相によれば2018年の成長率予想を従来の3.5%増から引き上げる見通し。ただ直近では銅先物価格の下落やチリ・ペソ安に見舞われており、米国債を買い増し続ける余力があるかは微妙です。
米国債保有高の縮小ではロシアばかりが目立つとはいえ、今後は自国通貨安の国に注意です。例えば5月に米国債保有高で主要国リストに入った各国のうち、保有高が300億ドル台は6ヵ国。そのうちトルコ、フィリピンで米国債保有高において減少傾向がみられました。仮に介入の事態となれば、対米証券投資で明確になるに違いありません。
(カバー写真:Kurtis Garbutt/Flickr)
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