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8月FOMC、景況判断を上方修正し9月利上げにバトンを渡す

by • August 7, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1710

FOMC Revised Up Economic Assessment, Suggesting September Rate-Hike.

7月31~8月1日開催のFOMCで、予想通りFF誘導金利目標が1.75〜2.00%で据え置いた。FRB議長の記者会見、並びに経済・金利見通しの発表を予定しない今回、声明文で経済活動をめぐる文言を「力強いペース」に上方修正している。今回の主な変更点とポイントは、以下の通り。

【景況判断】

前回:「経済活動は、堅調な(solid)ペースで拡大している」

今回:「経済活動は、力強い(strong)ペースで拡大している」
4~6月期の実質GDP成長率・速報値は前期比年率4.1%増と約4年ぶりで最高を記録したため、表現を上方修正。7~9月期GDPも、アトランタ地区連銀やNY地区連銀の予測値では足元3%近い数字が見込まれる。

前回:「雇用の伸びは力強く、総じて失業率は低下した」

今回:「雇用の伸びは力強く、総じて失業率は低水準を維持している」
※失業率は7月に3.9%と低下、2001年以来で最低近くを保つ。

前回:「足元のデータが示すように、家計支出は回復し、企業投資は力強く伸びている」

今回:「家計支出と企業投資は力強く伸びている」
※米4~6月期GDP速報値では個人消費が約1年ぶりの伸びを記録し、企業投資も在庫を除けば2011年以来となる2桁増を記録した前期に届かなかったとはいえ、高水準をキープ

前回:「前年比ベースで、全体的なインフレと食品とエネルギーを除くコアインフレは2%近くへ上昇している」

今回:「前年比ベースで、全体的なインフレと食品とエネルギーを除くコアインフレは2%近くで推移をし続けている」
6月のコアPCEをはじめ、過去分の下方修正もあって2%乗せは3月のみであり、2%付近が続くとの文言に調整。

コアPCE、平均時給と合わせ過熱感を示さず。
(作成:My Big Apple NY)

【統治目標の遵守について】

前回変更した以下の文言は、今回維持。
「委員会は、さらなるゆるやかなFF金利目標レンジの引き上げが、経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場環境、中期的に委員会の対称的な目標となる2%に近い物価と整合的と見込む」

【政策金利について】

前回変更した以下の文言は、今回維持。
「FF金利の目標レンジを調整する時期と規模を決定する上で、委員会は最大限の雇用という目標と2%と対称的な物価の目標に照らし合わせ、経済動向の実勢と見通しを評価する」

【票決結果】

票決は、1、3、5、6月に続き全会一致。輪番制である地区連銀総裁からは今年、クリーブランド連銀のメスター総裁、リッチモンド連銀のバーキン総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁に加え、今年新たにタカ派で知られるカンザスシティ連銀のジョージ総裁が加わった。今年の投票メンバーでサンフランシスコ連銀総裁だったウィリアムズ氏が、FOMCの副議長で常任投票メンバーであるNY連銀総裁職に横滑りしたためだ。なお2017年の地区連銀総裁の投票メンバーはシカゴ連銀のエバンス総裁、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ダラス連銀のカプラン総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁。投票結果は同年1月、5月、7月、9月、11月の5回で全会一致だったが、同年3月と同年6月にミネアポリス連銀総裁1人が据え置きを求め反対票を投じ、同年12月はミネアポリス連銀総裁にシカゴ連銀総裁が加わった格好である。

――今回、利上げの方向性をめぐり「当面は(for now)」との文言を使用せず。7月の議会証言で使用された「当面、金利をゆるやかに引き上げることが最善の方法と信じる」と発言していただけに注目を集めていましたが、変更してきませんでした。9月利上げ小休止の憶測を回避するためなのでしょうね。

その他「見通しへのリスクは概して均衡」、「金融政策のスタンスは緩和的」との文言を維持してきました。9月利上げは織り込み済みですから、今回は消化試合ということで、9月FOMC声明文で再び「当面」が入ってくるのかが注目されます。中立金利の水準との合わせ技で変更してくる可能性もあり、残暑は厳しくなりそうです。

(カバー写真:Federalreserve/Flickr)

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