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米8月貿易収支、大豆など食品の輸出が急減し対中赤字は2ヵ月連続で最大

by • October 9, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1942

U.S. Trade Deficit With China Hits Record As Soybeans Export Declines.

米8月貿易収支は532.37億ドルの赤字となり、市場予想の536億ドルを下回った。前月の500.37億ドル(500.28億ドルから修正)から6.4%増加。3ヵ月連続で増加し、増加率は2015年3月以来で最大となった前月に続き大幅増となる。赤字水準自体は、鉄鋼・アルミ追加関税措置を発動する前となる2月以来の高水準を示した。原油関連を除く貿易赤字は487.48億ドルと、前月の457.74億ドル(修正値)を超え、ヘッドラインと同じく6ヵ月ぶりの高水準となる。1月に太陽光パネル・洗濯機、3月に鉄鋼・アルミへのセーフガードが発動し、6月には鉄鋼・アルミへの追加関税措置がEU、カナダ、メキシコへ波及した。対中追加関税は7月6日には通商法301条を根拠とした500億ドルのうち340億ドル、8月23日には残りの140億ドルが発動、そして9月24日からは2,000億ドル相当に広がる過程で、輸入が増加、輸出が減少した。

内訳をみると、輸出が0.8%減の2,094.33億ドルと3ヵ月連続で減少した。輸入は0.6%増の2,626.70億ドルと4ヵ月連続で増加した結果、過去最高を塗り替えている。

輸出減少・輸入増加が続き、貿易赤字は3ヵ月連続で増加。

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(作成:My Big Apple NY)

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、862.81億ドルだった。前月の824.44億ドル(修正値)を上回り、2006年1月以来の水準へ膨らんだ。

当該単月の輸出の内訳をみると、モノは前月比1.4%減と3ヵ月連続で減少した。項目別では食品・飲料が3ヵ月連続で減少、5~6月の2ヵ月間で2桁増を示した。そのうち大豆が7月に続き28.2%減と2桁減だったほか、コーンも10.7%減と2ヵ月連続で減少。その他、果物・冷凍ジュースも11.3%減ナッツ類も16.2%減小麦も6.9%減と軒並み減少した。一方で、消費財が3ヵ月ぶりに増加したほか、民間航空機が14.9%増と3ヵ月ぶりに回復し資本財が小幅増に転じた。モノで増加したのは産業財、自動車、サービスとなる。項目別動向は、以下の通り。なお中国は9月6日に追加で600億ドル相当の報復関税を賦課、対象は小麦、ワイン、液化天然ガス(LNG)など約3,500の製品を予定するなか、前述の通り小麦のほか、LNGが3.2%減、ワインを含む酒類も16.2%減となった。

(増加項目)
・消費財 10.3%増、3ヵ月ぶりに増加>前月は2.4%減
・サービス 0.3%増、13ヵ月連続で増加=前月は0.3%増
・資本財 0.2%増、3ヵ月ぶりに増加>前月は2.0%減

(減少項目)
・食品・飲料 9.2%減、3ヵ月連続で減少<前月は5.8%減
・産業財 5.2%減、3ヵ月ぶりに減少<前月は0.5%増
・自動車 2.1%減、過去6ヵ月間で5回目の減少<前月は1.6%増

輸入の内訳をみると、モノは0.8%増と4ヵ月連続で増加した。原油価格が2014年11月以来の高値近くで推移するなか、量ベースでのエネルギー関連輸入が2.4%増と2ヵ月連続で増加。前年比では0.8%減と、減少に転じた。金額ベースでは6ヵ月連続で上昇した。エネルギー製品を除いたモノの輸入は0.8%増と、4ヵ月連続で増加した。今回、増加した項目は自動車をはじめ消費財、産業財となる。項目別動向は、以下の通り。

(増加項目)
・自動車 3.3%増、3ヵ月連続で増加>前月は1.7%増
・消費財 1.6%増、前月から増加に反転>前月は1.5%減
・産業財 0.7%増、3ヵ月連続で増加<前月は1.1%増

(減少項目)
・資本財 0.8%減、前月から減少に反転<前月は1.2%増
・食品・飲料 1.1%減、前月から減少に反転<前月は2.2%増
国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比4.7%増の385.70億ドルと、2ヵ月連続で過去最大を更新した。大豆など食品関連の輸出減少などが響いたと考えられる。日本への赤字は、10.1%増の60.11億ドルと2ヵ月連続で増加。欧州全体への赤字額は逆に14.3%減の180.23億ドルと、過去最高を更新した前月から減少に転じた。対英貿易収支は12.2億ドルの赤字と、2017年8月以降続けた黒字トレンドにブレーキを掛けた。

主な産油国への貿易収支は、対カナダとOPECで赤字が減少した半面、対メキシコでは急増した。一方で、メキシコに対する赤字額は56.9%増の86.92億ドルとなり、大幅増となった結果、赤字額は過去最大を更新している。カナダへの貿易収支は前月比14.2%減の27.36億ドルの赤字、4ヵ月ぶりに減少した。石油輸出国機構(OPEC)への貿易赤字は60.6%減の13.66億ドルと、2014年1月以来で最大を記録した前月から半減した。原油輸入はOPECのみ前月比16.7%減、カナダは増加したものの6.4%増だったが、メキシコが21.4%増と大きく伸び、赤字拡大につながった。金額ベースでもカナダが3.7%増にとどまったが、メキシコは19.5%増だった。なお、米国とメキシコはNAFTA再交渉で8月27日に合意に到達。対してカナダは7月から米国による鉄鋼・アルミ関税への報復措置を7月1日から開始し、鉄鋼やアルミ、食品など166億加ドル相当の製品を対象とした。ただし、9月30日には米国・メキシコと歩調を合わせ、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に合意、NAFTAの枠組み維持で妥結した。

米国の鉄・鉄鋼の輸入は前月比0.4%減と、小幅ながら3ヵ月ぶりに減少した。米国の鉄鋼輸入国シェアは2017年にトップがカナダ(20%)、2位はブラジル(13%)、3位と4位に韓国とメキシコ(11%)。このうち7月から追加関税対象となったカナダでは、カナダ側の統計からみて鉄鋼の対米輸出は12.8%減と、前月の増加分をほぼ打ち消した。逆にアルミの対米輸出は、6~7月に続き減少し前月比13.2%減となった。なお、カナダの貿易収支は2016年12月以来の黒字に反転した。

国別動向の年初来・貿易赤字は、3~6月に続きカナダがトップ10圏外に陥落、今回は11位で、前月の14位から浮上した。各国ごとの単月の貿易収支動向は、以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

――8月に米国の輸出が大きく落ち込んだ背景に、中国とカナダなどによる報復関税が挙げられます。一連の結果を受け、7~9月期の純輸出は追加関税措置前に輸出が急増した前期に反し、成長を押し下げる公算が大きい。それでも、個人消費と企業支出の両輪により高成長をたどる見通しで、アトランタ地区連銀は前期比年率で4.1%増と約4年ぶりの2期連続4%成長を見込んでいます。

貿易赤字は今後も成長に寄与する見通しにないものの、足元は米欧で貿易交渉の開始で一致し、NAFTA再交渉も合意に到達するなど、貿易戦争の苛烈さは後退しました。あとは対中への追加関税措置が長期化するかが注視されます。

(カバー写真:raymondclarkeimages/Flickr)

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