NFIB Small Business Optimism Hovers Around All-Time High.
米9月NFIB中小企業楽観度指数は107.9となり、市場予想の108.3を下回った。過去最高を更新した前月の108.8に届かなかったものの、高水準を維持。トランプ政権は6月から鉄鋼・アルミ関税を欧州連合(EU)、カナダ、メキシコを盛り込み、7月と8月には対中知財関税措置の一部である340億ドルを発動。さらに中国には、2,000億ドルの追加関税対象リストを発表した。ただ7月の米欧首脳会談にて、貿易協議の進行中は新たな関税を導入しない方針で合意し、NAFTA再交渉も3ヵ国で合意。明るい材料が届くなか、直近では対中追加制裁で年明けから2,670億ドル、中国製品全体に掛かるリスクが台頭しつつあり、センチメントは小幅に低下した。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、「回答者は、ビジネスが勢いを増し見通しは引き続き非常に明るい」と振り返った。
内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は6~7月の10項目を経て、11項目へ増えた。内訳をみると、今回低下が目立ったのは「経済がより良くなる」で前月を5%ポイント下回った。結果、順位も前月の2位から3位に転落し、「賃金引き上げ」の追撃を受けた。また、景気回復サイクルで初めてプラス圏を回復した「黒字トレンドにある」も、マイナスへ戻している。そのほかプラス項目は前月の低下が優勢で、上昇したのは「賃金引き上げ」と「売上拡大見通し」の2項目のみだった。プラス項目自体は今回10項目で、前月の11項目を下回った。以下は、項目ごとの変化。
「求人件数」38%、過去最高=前月は38%、6ヵ月平均は36%
「賃金引き上げ」37%>前月は32%、6ヵ月平均は33%
「経済がより良くなる」33%<前月は34%、6ヵ月平均は34%
「事業拡大に良いタイミング」33%<前月は34%、6ヵ月平均は32%
「設備投資を拡大した」30%<前月は33%と2006年7月以来で最高、6ヵ月平均は30%
「売上拡大見通し」29%>前月は26%、6ヵ月平均は27%
「賃上げ見通し」24%、1月に続き過去最高>前月は21%、6ヵ月平均は22%
「採用見通し」23%<前月は26%、6ヵ月平均は22%
「販売価格の引き上げ」15%<前月は17%、6ヵ月平均は16%
「在庫を増加させる」3%<前月は10%、6ヵ月平均は5%
「黒字トレンドにある」−1%<前月は1%で景気回復サイクルにて初のプラス回復、6ヵ月平均は±0%
「在庫満足度」−1%>−3%、6ヵ月平均は−3%
「信用状況が緩和する」−5%>前月は−6%、6ヵ月平均は−5%
――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメントは過去最高から低下したとはいえ、高水準を保ち追加関税の影響は現時点で限定的です。敢えて取り上げるなら、「経済がより良くなる」が低下し、景気回復サイクルで最高となる2016年12月の50から低下をたどります。
少なくとも中小企業にとって、トランプ政権を支持する如何に関わらず、経済への楽観度は後退しつつあるようです。
(カバー写真:Independent We Stand/Flickr)
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