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米12月ISM製造業景況指数、追加関税措置に原油安重なり急低下

by • January 7, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2151

ISM Manufacturing Sentiment Suffers Worst Monthly Decline Since Financial Crisis.

米12 月ISM製造業景況指数、米12月マークイット製造業PMI確報値、各連銀の製造業景況感指数をおさらいしていきます。

米12月ISM製造業景況指数はと54.1と、市場予想の57.5を下回った。前月の59.3から5.2ポイント下げたが、下げ幅は金融危機直後の2008年10月以来で最大に。このような大幅低下は、2008年のほか2001年9月11日の同時多発テロ事件発生の2回しかない。結果、2016年11月以来の低水準となる。トランプ政権が鉄鋼・アルミ関税を3月に発動し6月からはEU、カナダ、メキシコに拡大、さらに通商法301条を根拠とした対中関税措が7月6日発動。その裏でEUとは米欧首脳会談で7月に関税撤廃交渉開始で合意し、8月にはメキシコとのNAFTA再交渉で合意した。ただし中国に対しては厳格な姿勢を保ち、9月24日に自動車関税や対中知財関税として追加で2,000億ドル相当を発動、12月1日の米中首脳会談で追加関税措置は90日間猶予となったが、予断を許さない状況が続き製造業のセンチメントを冷やしたようだ。加えて、米株安・原油安も、大きな打撃となった可能性がある。

内訳をみると、追加関税や原油安などの影響か新規受注、生産の低下が著しい。また、仕入れ価格も大幅に落ち込んだ。詳細は、以下の通り。

・生産 54.3、2012年初め以来の大幅低下により2016年10月以来の低水準<前月は60.6、6ヵ月平均は60.1
・新規受注 51.1、約5年ぶりの大幅低下により2016年8月以来の低水準<前月は62.1、6ヵ月平均は59.6
・雇用 56.2、6ヵ月ぶりの低水準<前月は58.4、6ヵ月平均は57.5
・在庫 51.2<前月は52.9、6ヵ月平均は52.8

・新規輸出受注 52.8>前月は52.2と2016年11月以来の低水準、6ヵ月平均は54.0
・入荷遅延 57.5<前月は62.5、6ヵ月平均は61.9
・受注残 50.0<前月は56.4、6ヵ月平均は55.0
・仕入れ価格 54.9、2017年6月以来の低水準<前月は60.7、6ヵ月平均は70.2

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「製造業からのコメントは引き続きビジネスの力強い拡大維持を示したが、以前よりずっと低い水準にとどまり、需要は軟化し新規受注は直近で最低となった」と振り返る。ただし「顧客の在庫はかなり逼迫したとみられ、受注残も拡大していない状態」であるため、1~3月期の在庫積み増しが期待できるとの見解を表明。仕入れ価格も低下しており、「(追加関税措置により混乱した)サプライチェーン動向が改善した」と考えられるとし、楽観的なトーンを保った。18業種別でビジネス拡大を報告したのは11業種とし、10~11月の13業種から縮小したと報告。今回は印刷関連機器、組み立て金属、非金属鉱物、石油・石炭、製紙、プラスチック・ゴムが縮小していたという。他1セクターは横ばいだったとみられる。

▽米12月IHSマークイット製造業PMI・確報値、2017年9月以来の低水準

米12月IHSマークイット製造業PMI確報値は53.8と、市場予想と速報値の53.9から下方修正された。前月の55.3も下回り、2017年9月以来の低水準となる。内訳をみると、新規受注が15ヵ月ぶりの低水準となったほか、ビジネス信頼感も2016年10月以来の水準へ巻き戻し、雇用も1年半ぶりの水準へ低下した。仕入れ価格も、11ヵ月ぶりのレベルへ落ち込むなど、全体的にISM製造業景況感指数と同様に、製造業活動の鈍化を示唆する内容となっている。

クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、今回の結果を受け「年末に製造業PMIは下振れし、生産と新規受注は1年ぶり以上の水準へ落ち込み、見通しも約2年ぶりの水準へ沈んだ」とコメントした。鈍化の背景としては「稼働能力の制限が挙げられ、人手不足が広範囲のセクターで広がり、十分に生産できていない」と指摘。とはいえ「需要自体も鈍化し、追加関税措置への懸念も強まり、3分の2の製造業者は追加関税を価格上昇要因に挙げた」と振り返った。追加関税措置により見通しに不確実性が高まるなか、企業は「在庫縮小にシフトした動向が現れており、支出に慎重になっている」といい、製造業センチメントは急速に好転する可能性は低いと言えよう。

ISM製造業景況指数、マークイット製造業PMIと共に急低下。

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(作成:My Big Apple NY)

――ISM製造業景況指数、マークイット製造業PMI・確報値だけでなく、各連銀が発表する製造業景況感指数も、軒並み低下しました。

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(作成:My Big Apple NY)

特にリッチモンド、ダラスなどエネルギー関連の比率が高い州を含む地区連銀では景気判断の分岐点を割り込む展開をみせました。とはいえ、NY、フィラデルフィア、ダラスの3地区連銀の6ヵ月先設備投資見通しは、意外に健闘しています。

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(作成:My Big Apple NY)

足元のセンチメント急低下が、米株安のほか原油先物の大幅下落による影響である可能性は拭えません。また、雇用関連の項目がそこまで落ち込んでいない点も注目。米12月雇用統計では賃金の着実な上昇を確認しており、米経済ファンダメンタルズは曲がり角に差し掛かりつつあるとはいえ、現時点では底堅いと言えそうです。

(カバー写真:astrid westvang/Flickr)

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