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米5月新築住宅販売、米中貿易摩擦激化の下で年初来で最低

by • June 26, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2018

New Home Sales Decline To The Lowest In The Year Despite Lower Rates.

米5月新築住宅販売件数、米4月FHFA住宅価格指数、米4月S&P/ケースシラー住宅価格指数をおさらいしていきます。

米5月新築住宅販売件数は年率62.6万件と、市場予想の68.4万件を下回った。前月の67.9万件(67.3万件から上方修正)を7.8%上回り、2ヵ月連続で減少。労働市場は堅調ながら、米中貿易摩擦が激化し金利が低下したものの年初来で最低となる。前年比では3.7%減と、5ヵ月ぶりに減少した。

4大地域別では、2地域で増加し前月の1地域から増加した。IT企業が集まる西部が35.9%減(2ヵ月連続で減少)の12.5万件と全体の足を引っ張ったほか、北東部も7.8%減(前月の増加から反転)の2.8万件と、高価格帯が集中する地域で減少が目立つ。一方で、3月にアイオワ州やネブラスカ州、ノースダコタ州など複数の州で洪水被害に見舞われた中西部は6.3%増(過去5ヵ月間で4回目の増加)の8.4万件だったほか、住宅規模が最大の南部は4.9%増(過去5ヵ月間で4回目の増加)の38.9万件となった。

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(作成:My Big Apple NY)

在庫総数は、前月比0.3%増の33.3万件だった。販売件数が減少し在庫が小幅ながら増加したため、在庫相当は6.4ヵ月と、前月の5.9ヵ月から延び4ヵ月ぶりの長さとなった。

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(作成:My Big Apple NY)

中央価格は30.80万ドルと、前月の33.51万ドルから8.1%下落した。過去最高を更新した2018年3月の33.54万ドルから一段と遠ざかり、2017年2月以来の低水準となる。前年比で2.7%下落と、2018年9月以降(2018年10月と2019年3月を除く)の下落基調をたどった。

▽米4月住宅価格指数、前年比は約4年ぶりの低い伸びを維持

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米4月宅価格指数は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.2%を上回った。前月の0.1%を超えた。前年比は5.2%上昇、2012年3月以降の上昇トレンドを維持。ただし、2015年以来の5%台の伸びにとどまった。国勢調査ベースの9地域別では、前月比にて7地域で上昇、3月の5地域を上回った。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

▽米4月S&P/ケースシラー住宅価格、20都市は2015年以来の5%割れ視野

米4月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は前年同月比3.54%上昇の207.97となり、前月の206.06(修正値)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では2.54%上昇の215.68となり、市場予想の2.50%を上回った。前月の2.61%(2.68%から下方修正)を超え、2012年8月以来の3%割れを迎えた。季節調整済み・20都市別の前月比は0.01%の低下と、市場予想の0.10%を下回り8ヵ月ぶりの低水準だった。

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(作成:My Big Apple NY)

20都市別での季節調整済みベース・前月比では、18都市で上昇し3月の17都市を上回った。トップは2ヵ月連続でマサチューセッツ州ボストンで0.87%上昇、2位はカリフォルニア州サンフランシスコで0.46%上昇、3位はカリフォルニア州ろさんじぇうすで0.57%上昇した。最下位はワシントン州シアトルで0.58%の低下、続いでワシントンD.C.で0.05%の低下、3位がミネソタ州ミネアポリスが0.04%の低下となる。今月はテキサス州ダラスを含め4都市で低下し、3月の3都市(カリフォルニア州ロサンジェルス、イリノイ州シカゴ、テキサス州ダラス)から増加した。

――新築住宅販売件数は住宅着工件数でみられる一戸建て住宅販売向け件数を下回り、在庫薄の状況が改善する余地を残します。とはいえ、金利低下や価格下落という追い風にも関わらず年初来で最低となりました。米5月中古住宅販売件数の改善を踏まえると、やはり高価格帯の物件に触手を伸ばす購入者が少ないのでしょう。

また、中古住宅の在庫環境の改善も新築販売件数のしわ寄せとなった可能性を残します。レイモンド・ジェームズのアナリストによれば、ネバダ州ラスベガスの販売向け中古住宅件数は前年比85%増ワシントン州シアトルで同52%増テキサス州ダラスで21%増だったといいます。

住宅建設大手2位のレナーが25日に発表した4~6月期決算によれば、調整済みの1株利益は前年比38.3%増の1.30ドルと、市場予想の1.13ドルより力強い数字でした。住宅販売件数も、同5%増の1万2,729件と同社予想レンジの11.7万~12万件を上回り、受注件数もどう0.5%増の1万4,518件と同社予想の1万4,300件を超えてきました。売上高は同1.9%増の55.6憶ドルと、もちろんこちらも市場予想の51憶ドルを上回ります。

しかし、レナーは景気減速を背景に通期の住宅販売件数を5万件で据え置きました。その上、ジェフ会長はカンファレンス・コールで「中国製品への追加関税措置は2018年9月に10%へ引き上げられ、さらに今年15%引き上げられた結果、住宅1軒当たりの平均単価を500ドル押し上げる」と指摘粗利益率も20.1%と予想以下にとどまり、投資家心理を冷やした格好です。住宅市場は金利低下の追い風を受けるものの、建設資材コストの上昇や景気減速に伴う需要鈍化などで大幅改善する余地が広いと判断するのは、時期尚早なようです。

(カバー写真:Lee Haywood/Flickr)

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