U.S. Q3 Growth Better Than Expected, Recession Fears Fades.
米7〜9月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率1.9%増と、市場予想の1.6%増を上回った。前期の2.0%増に届かず、年初来で最低の伸びとなる。トランプ政権の目標である3%成長から後退したが、3期連続で潜在成長率を保った。前年同期比は2.0%増と前期の2.3%増を下回り、2016年10〜12月期以来の低水準だった。
GDPの7割を占める個人消費は前期比年率2.9%増と、市場予想の2.6%増を上回った。前期の4.6%増に及ばなかったとはいえ、成長を牽引している。GDPへの寄与度は1.93%ポイントと、2017年10~12月期以来の高水準で着地した前期の3.10%ポイントを下回った。
▽個人消費の内訳
・耐久財 7.6%増<前期は13.0%増と2014年4~6月期以来で最大
・非耐久財 4.4%増<前期は6.5%増と2003年7~9月期以来で最大
・サービス 1.7%増<前期は2.8%増と3期ぶりに高い伸び
民間投資全体の寄与度は0.27%ポイントと、1年ぶりに低下し2015年10~12月期以来で最大の落ち込みとなった前期のマイナス1.16%ポイントから下げ幅を縮小した。企業の設備投資を示す非住宅固定投資はマイナス0.4%ポイントと、前期の0.14%ポイントに続き低下。在庫投資の寄与度はマイナス0.05%ポイントと、2014年1~3月期以来で最大の下げ幅となった前期の0.91%ポイント(改定値の0.96%ポイントから下げ幅を縮めつつ、2期連続でマイナス。一方で、住宅投資は7月からの利下げと金利低下を支えに、7期ぶりにプラスに転じた。
▽民間投資の内訳
・民間投資 1.5%減>前期は6.3%減と1年ぶりの減少で2015年10~12月期以来で最大の落ち込み
・固定投資 1.3%減>前期は1.4%減と2015年10~12月期以来の減少
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 3.0%減、2015年10~12月期以来で最大の落ち込み<前期は1.0%減
>構築物投資 15.3%減、2016年1~3月期以来で最大の落ち込み<前期は11.1%減
>機器投資 3.8%減、2016年1~3月期以来で最大の落ち込み<前期は0.8%増
>無形資産 6.6 %増>前期は3.6%増
・住宅投資 5.1%増、7期ぶりに増加>前期は%減、速報値は1.5%減、前期は1.0%減
・在庫投資 690億ドル<前期は694億ドル
7~9月期の成長率・速報値、個人消費と住宅投資が企業部門や純輸出などの弱さを相殺。
(作成:My Big Apple NY)
国内の最終需要(変動が大きい貿易と在庫を除く)は前期比年率2.0%増と、1年ぶりの高水準だった前期の3.6%増に及ばなかった。
純輸出の寄与度は、0.08%ポイントと前期の0.69%ポイントのマイナスとなり、過去5四半期で4回目のマイナスとなった。政府支出の寄与度は0.35%ポイントとなり、前期の0.82%ポイント以下ながら3期連続でプラスだった。
▽純輸出
・純輸出の寄与度 0.08%ポイントのマイナス>前期は0.69%ポイントのマイナス
▽政府支出
・政府支出 2.0%増、3期連続でプラス<前期は4.8%増
・連邦政府 3.4%増(防衛支出が2.2%増、非防衛財は5.2%増)<前期は8.3%増
・州/地方政府 1.1%増、3期連続で増加<前期は2.7%増
GDP価格指数は1.7%上昇し、市場予想の1.9%を下回った。前期の2.4%からも後退している。コアPCEデフレーターは市場予想と一致し2.2%上昇、前期の1.9%を超え5期ぶりにFOMCのインフレ目標値「2%」を上回った。
――米7~9月期実質GDP成長率・速報値は個人消費と住宅投資、政府支出が支えた半面、ボーイング737MAXの運航停止に伴う生産停止が響き、設備投資が2期連続でマイナスとなりました。10月にかけては、約1ヵ月に及んだGMのストライキの影響も及ぶ見通し。ただ、パウエルFRB議長は0.2%ポイントにとどまるとの見通しを寄せ、10月ベージュブックでもGMの影響は限定的との見方であり、大きく下押しそうにありません。問題は、米中閣僚貿易協議での第1段階の合意到達が設備投資にどこまでポジティブな影響を及ぼすか否か。ひとまず、米10月ISM製造業景況指数が50を回復するか、試されます。
(カバー写真:crlevine/Flickr)
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