Tariff Man Managed To Narrow Trade Deficit In 2019.
米12月貿易収支は488.8億ドルの赤字となり、市場予想の482億ドルを上回った。前月の2017年2月以来の低水準だった436.9億ドル(431.0億ドルから修正)から11.9%増加している。原油関連を除く貿易赤字も486.9億ドルと、2018年6月以来の水準へ縮小した前月の443.7億ドル(修正値)を上回った。米中通商協議・第1段階の合意が2019年10月に閣僚協議で合意し、同年12月にトランプ大統領が承認、20年1月に署名の運びとなるなかで、貿易赤字は12月に増加したとはいえ2018年の平均値523億ドルから縮小した水準に終わった。
内訳をみると、輸出が0.8%増の2,096.4億ドルと2ヵ月連続で増加した。輸入は2.7%増の2,581.6億ドルと4ヵ月ぶりに増加した。
国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの貿易赤字は804.7億ドルと、2017年3月以来の低水準だった前月の762.0億ドル(修正値)を上回った。
輸入の減少幅が輸出を上回り、実質ベースのモノの貿易赤字は2018年3月以来の低水準。
2019年の貿易赤字(財・サービス)は前年比1.7%減の6,167億5,500万ドルと、6年ぶりに縮小した。輸出は同0.1%減の2兆4,998億ドル、輸入は同0.4%減の3兆1,165億ドル。中国からの輸入が減少したほか、エネルギー自給国に変貌を遂げるなか石油輸入が落ち込み貿易赤字の縮小につながった。対中貿易赤字(財ベース)は過去最大だった2018年から17.6%減の3,456億ドル、石油の貿易赤字は137億ドルと過去最低となった。
当該単月の輸出の内訳をみると、モノは前月比1.0%増と前月の0.3%増を合わせ2ヵ月連続で増加した。サービスを含めた6大項目別では、前月と同じく4項目が増加。今回はサービスが4ヵ月連続で増加したほか、食品・飲料、資本財が2ヵ月連続で増加、産業財が増加に転じた。転じた。逆に、自動車と消費財は減少に転じた。モノの輸出項目別動向は、以下の通り。
(増加項目)
・産業財 3.8%増>前月は0.4%減
→金額ベースで増加幅が大きかった順に原油が前月比28.4%増、燃料が同17.5%増、LNGが15.0%増と支えた。
・食品/飲料 0.8%増、2ヵ月連続で増加<1.7%増
→米中貿易協議・第1段階の合意をトランプ大統領が承認するなか、アルコール飲料が35.5%増、大豆が6.2%増と力強い伸びを示した。一方で、コーンが0.5%減、魚・貝類が3.7%減となった。
・サービス 0.4%増、4ヵ月連続で増加>前月は0.7%増
→旅行が1.1%増だったほか、その他ビジネスサービスが0.3%増、その他ビジネスサービスが0.5%増だった。
・資本財 0.3%増、2ヵ月連続で増加<前月は1.4%増
→民間航空機が34.3%増、民間航空機向けエンジンが4.1%増、コンピュータ周辺機器が2.7%増となった。
(減少項目)
・自動車 7.8%減<前月は3.8%増
→乗用車が12.3%減、エンジン・エンジン部品が5.6%減となった。
・消費財 3.6%減<前月は3.0%増
→医薬品が6.4%減、ダイヤモンド宝飾品が10.8%減と弱く、携帯電話その他家庭用製品の7.4%増などを相殺した。
輸入の内訳をみると、モノは3.2%増と過去5ヵ月間で2回目の増加となった。原油価格が60ドル台を目指すなか、量ベースでのエネルギー関連輸入が16.0%増と増加に反転。前年比では1.8%増と、少なくとも9ヵ月ぶりに増加した。金額ベースでは、上昇に転じた。エネルギー製品を除いたモノの輸入は前月比で1.9%増と、4ヵ月ぶりに増加した。5大項目別では、4項目で増加し前月の2項目を上回った。今回、自動車のみが減少し多だけで他は全て増加している。項目別動向は、以下の通り。
(増加項目)
・産業材 9.7%増、足元久々に増加>前月は1.3%減
→金額ベースでは原油が19.5%増、鉄鋼製品が19.5%増、鉄鋼製品が8.7%増となった。
・資本財 1.2%増>前月は2.0%減
→コンピュータ周辺機器が1.5%増、通信機器が前月比0.7%増、測定機器が2.6%増となった。
・消費財 1.3%増>前月は1.9%減
→第4弾の追加関税措置のうち、携帯電話などを対象とした555品目分が発動されず、携帯電話が6.2%増、服飾も4.0%増と増加を支え、医薬品が0.5%増となった。
・食品/飲料 0.4%増、3ヵ月ぶりに増加>前月は1.3%減
→魚・貝類が3.8%増、果物・冷凍果汁が0.7%増だった半面、ワイン・ビールなど関連品は14.5%減となった。
(減少項目)
・自動車 1.0%減<3.7%増
→乗用車は微増だったが、エンジン・エンジン部品が6.5%減、その他関連部品が4.1%減だった。
国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は国際収支ベースで前月比6.0%減の247.9億ドルと3ヵ月連続で減少し、4ヵ月ぶりの低水準となった。日本への赤字は12.1%減の47.9億ドルと、日米貿易交渉が2019年8月末のG7首脳会談で合意に結び付くなかで縮小。通商協議の火花を散らす欧州全体への赤字額は、WTOがエアバスの補助金に対する報復関税を承認しながら、15.6%増の195.7億ドルとなった。ジョンソン英首相の下で米英通商協議が意識される英国への貿易収支は600万ドルの赤字と5ヵ月ぶりに赤字に転落した。
主な産油国への貿易収支は、対カナダで赤字と対メキシコで拡大した。石油輸出国機構(OPEC)に対しては、4ヵ月連続で黒字を計上した。カナダは前月比約3倍増の50.9億ドルと2ヵ月連続で拡大した。メキシコに対する赤字額は3.1%増の85.52億ドルだった。一方で、OPECへの貿易収支は30.5%増の13.26億ドルの黒字と、5ヵ月ぶりの黒字を計上した。なお、原油輸入量はカナダが前月比28.5%増、メキシコは11.9%減、OPECは7.5%増だった。金額ベースではカナダが前月比57.9%上昇、メキシコが7.1%下落、OPECが9.1%上昇となり、油価上昇が少なくとも対カナダの貿易赤字拡大の一因となったことが伺える。
2019年の国別動向(財ベース)を振り返ると、貿易赤字で1位は中国、2位はメキシコ、3位は日本となる。2018年9月~19年1月まで3位だったドイツは、4位を維持した。貿易額でトップは少なくともメキシコとなり、2018年の中国から首位を奪った。また、米商務省が7月2日に韓国、台湾の鋼材品をベトナムで最終加工する迂回輸出を抑制する狙いで最大456%の追加関税措置を発動するなか、対ベトナムの輸入額は引き続き2桁増で2018年の12位から7位へ上昇した。各国ごとの貿易動向の詳細は、以下の通り。
――トランプ政権は貿易赤字縮小を狙い対中追加関税を発動、結果的に2019年は輸入が縮小し成長率を押し上げました。2019年の実質GDP成長率は2.3%増でしたが、そのうち純輸出の寄与度は0.16%ポイントのマイナスと、2014年以降で最も小幅な下押しにとどまりました。ある意味、トランプ政権の政策が奏功したわけですが、世界経済並びに中国経済の減速は米国の輸出に打撃を与えますから、安穏としていられません。新型コロナウイルスの影響も無視できませんし・・。
(カバー写真:Louis Vest/Flickr)
Comments
新型コロナウイルスで、米中Q1成長率はどうなる? Next Post:
米12月求人数は2ヵ月連続で大幅減、労働市場は頭打ちか