Industrial Production Falls Plummets The Most In 101 Years.
米4月鉱工業生産指数は前月比11.2%低下し、市場予想の11.5%の低下とほぼ変わらなかった。前月の4.5%の低下(5.4%の低下から下方修正)から悪化し、過去5ヵ月間で4回目の低下となっただけでなく、統計を開始した1919年以来で最も激しい落ち込みなる。新型コロナウイルス感染拡大を受け4月に約95%の州が外出禁止措置に踏み切り、需要”蒸発“とサプライチェーン問題により工場は閉鎖を余儀なくされ、さらに渡航禁止から航空機も打撃を負い、生産活動が急低下した。4月の製造業生産指数は13.7%低下し、市場予想の13.0%を下回った。前月の5.5%の低下(修正値)と合わせ4ヵ月連続で低下しただけでなく、こちらも統計開始以来で最悪となった。
鉱工業生産指数の前年比15.0%低下し、8ヵ月連続で低下した。製造業も18.0%低下、10ヵ月連続のマイナスに。それぞれ、2009年11月、2009年10月以来の低水準を記録した。
稼働率は64.9%と、市場予想の64.0%を上回った。もっとも、前月は73.2%(72.7%から上方修正)、市場予想の74.0%に及ばず、少なくとも1967年以降で最低を更新した。
チャート:鉱工業生産は製造業(前年比)、稼働率と合わせ過去最低を更新
チャート:指数ベースでは、主要業種全てが下振れし特に自動車が急落
(出所:My Big Apple NY)
内訳をみると、製造業(全体の75.1%)が4ヵ月連続で低下。そのうち新型コロナウイルス感染拡大の煽りから、耐久財が19.3%低下、前月の8.2%の低下(修正値)から急激に悪化した。非耐久財も8.2%低下、3ヵ月連続で落ち込んでいる。耐久財と非耐久財そろって、主な項目別で過去最大の落ち込みを記録した。鉱業(全体の14.2%)は、4月に5月先物の限月交代を受け現物受け取り不可の投資家が投げ売りした結果マイナス圏に突入した事情もあり、3ヵ月連続でマイナスとなっただけでなく、少なくとも1990年以降で最大の下げ幅に。公益(全体の10.4%)も2ヵ月連続で低下した。
■製造業 13.7%の低下、4ヵ月連続で低下<前月は5.5%の低下、6ヵ月平均は3.0%の低下
▽耐久財 19.3%の低下、過去5ヵ月間で4回目の低下<前月は8.2%の低下、6ヵ月平均は4.3%の低下
・コンピュータ/電子部品 5.0%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は1.2%の低下、6ヵ月平均は0.4%の低下
・電気製品 6.0%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は2.8%の低下、6ヵ月平均は0.8%の低下
・木材 9.0%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は3.2%の低下、6ヵ月平均は2.0%の低下
・機械 11.0%の低下、4ヵ月連続で低下<前月は3.0%の低下、6ヵ月平均は2.5%の低下
・組立金属 11.3%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は3.2%の上昇、6ヵ月平均は2.5%の低下
・一次金属 20.4%の低下、4ヵ月連続で低下<前月は3.9%の低下、6ヵ月平均は4.2%の低下
・家具関連 20.6%の低下<前月は6.5%の低下、6ヵ月平均は4.3%の低下
・航空機/輸送機 21.6%の低下、4ヵ月連続で低下<前月は8.9%の低下、6ヵ月平均は6.6%の低下
・自動車関連 71.7%の低下、4ヵ月連続ぶりに低下<前月は30.0%の上昇、6ヵ月平均は14.9%の低下
▽非耐久財 8.2%の低下、3ヵ月連続で低下<前月は2.6%の低下、6ヵ月平均は1.8%の低下
・化学品 5.1%の低下、3ヵ月連続で低下<前月は1.5%の低下、6ヵ月平均は1.3%の低下
・食品/飲料/タバコ 7.1%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は1.6%の低下、6ヵ月平均は1.2%の低下
・プラスチック/ゴム 11.0%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は4.4%の低下、6ヵ月平均は2.3%の低下
・石油製品 18.5%の低下、3ヵ月連続で低下<前月は6.6%の低下、6ヵ月平均は3.9%の低下
・繊維 20.7%の低下、3ヵ月連続で低下<前月6.9%の低下、6ヵ月平均は4.7%の低下
・服飾 24.1%の低下、過去4ヵ月間で3回目の低下<前月は10.3%の低下、6ヵ月平均は5.9%の
下
■公益 0.9%の低下、過去5ヵ月間で4回目の低下<前月は1.9%の低下、6ヵ月平均は1.1%の低下
・電力 3.3%の低下、過去5ヵ月間で4回目の低下<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は1.5%の低下
・天然ガス 10.7%の上昇<前月は4.5%の低下、6ヵ月平均は1.4%の上昇
■鉱業 6.1%の低下、3ヵ月連続で低下<前月は1.1%の低下、6ヵ月平均は1.3%の低下
――米4月鉱工業生産は外出禁止措置や工場閉鎖など、経済活動の停止を背景に急低下しました。ただし、4月20日のテキサス州などを皮切りに経済活動は段階的に再開され、5月半ばにはNY州を含め経済規模で約7割を占める州で外出禁止措置を徐々に解除。トヨタとホンダは5月11日に、GMとフォード、フィアット・クライスラーは5月18日に工場の稼働を再開させており、今後は非常に緩やかなペースが見込まれながら下げ幅を縮小していくことでしょう。
実際、5月のNY連銀製造業景況指数もマイナス48.5と市場予想のマイナス60.0、並びに前月の78.2ほど悪化しませんでした。エネルギー需要も底這い状態から少しずつ回復しつつあり、鉱工業生産など製造業関連の指標も個人消費関連と合わせ、4月で底打ちする公算。
チャート:エネルギー需要、ジェット燃料は過去最低を更新も石油とガソリンは回復
次の問題は、第2波への懸念と合わせ、米新規失業保険申請件数ベースで労働市場の約4分の1が職を失った段階で、米経済の約7割を担う個人消費がどれほどのペースで回復できるか。何より米中間の対立再燃が本格化すれば、製造業が新たな苦境に立たされるリスクもはらみ、楽観視しづらい状況が続きます。
(カバー写真:Thomas Hawk/Flickr)
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