Jobless Claims Fall By 249K, Slower Pace In 6 Weeks Ahead Of Memorial Day.
5月16日週までの米新規失業保険申請件数は243.8万件と、前週の268.7万件(修正値)を下回りました。ただし過去9週間では約3,864万件となり、新型コロナウイルス感染拡大前にあたる2月の労働人口の約4分の1に相当しますから、全米で労働力人口の4人に1人が失業者ということになります。
新規失業保険申請件数は8週連続で減少したとはいえ、気掛かりな点がございます。5月13日までに全米50州の7割以上の州で経済活動の段階的な再開措置が講じられたにも関わらず、前週比24.9万人減と過去6週間で最も小幅にとどまります。もちろん絶対数が違うという議論がありますが、それでも約2週間後の5月25日はトラベル・シーズンの開幕日にあたるメモリアル・デーであることを踏まえれば、減少幅が鈍化するというのは心もとない。
また、5月9日週までの継続受給者数は7週連続で過去最高を更新しただけでなく、前週比252.5万人増となり、4月30日週の17.1万人増から再び拡大しています。関連指標の結果は、以下の通り。。
・新規失業保険申請件数(5/13週)→24.9万人増の243.8万人、7週連続で減少
・継続受給者数(5/9週)→前週比252.5万人増の2,507万人、7週連続で過去最高を更新
・失業者に占める被保険者の割合(同)→17.2%、前週の15.5%から1.7%ポイント上昇、6週連続で過去最高を更新
チャート:米新規失業保険申請件数は減少基調も、継続受給者数は増加トレンドを維持
チャート:減少幅は過去6週間で最も小幅
5月20日までに全米50州(ワシントンD.C.は6月8日まで外出禁止措置を延長)で経済活動の段階的な再開措置が講じられましたが、果たして来週は改善するのでしょうか?こちらのデータをみると、米新規失業保険申請件数の劇的な減少を阻む存在が見え隠れします。
その存在とは・・・ゾンビ企業です。
アーバー・データ・サイエンスによれば、債務返済が極めて困難なゾンビ企業の従業員は、全米で220万人を抱えるというではありませんか。
チャート:業種別での従業員数トップ10
米連邦準備制度理事会の緊急資金供給措置が、ジャンク債格付けの社債ならびにそれらで組成されたETFを買い入れ対象とした結果、新規の社債発行高が急増中で、過去最大に膨らんでいます。安心感が広がるのは結構ですが、支援金ではなく支援策であって償還時期がやってくるのですが、そこはお構いなしのようです。
Fedの緊急資金供給措置を支えに米株高が上昇気流に乗る陰で、米株高を演出するのはデイ・トレーダーやオプション・トレーダーなど長期の投資家ではない――ウォール街からは、そんな噂が届いています。確かに、コロナ第2波を意識しファンドマネージャーは株式に弱気との調査もありましたよね。
それでもこのまま、米株相場は最高値更新へ突き進むのか。3月21日以降、1週間平均の陽性率(検査人数に占める陽性者の割合)が全米で6%(5月21日時点)と、最低を更新しているのは好材料。しかし、州別ではNY州やコネチカット州と共に5月20日から外出禁止措置を緩和したニュージャージー州が8.5%、4月27日に緩和したコロラド州も10.2%と、それぞれ5月10日以降にジリジリ上昇している点は気掛かりです。
(カバー写真:Glenn Halog/Flickr)
Comments
米4月鉱工業生産、コロナ禍により過去101年間で最大の低下 Next Post:
経済活動の再開が進む米国、レストラン利用状況は?