Used Car Drives Consumer Price Index Higher In August.
米8月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.3%を上回った。6~7月の0.6%を経て、3ヵ月連続でプラスとなる。
内訳をみると、エネルギー(全体の6.1%を占める)が0.9%上昇、ガソリンも2.0%上昇し、それぞれ3ヵ月連続で上昇しつつ前月(2.5%、5.3%)からは鈍化した。なおエネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は8月に一時2.182ドルをつけ、経済活動の再開と共に4月の1.773ドル(2016年2月以来の低水準)から切り返し続けた。その他のエネルギーでは、電力など公益が0.2%低下し、前月の横ばいから転じ過去4カ月間で3回目のマイナスとなる。そのうち電力が0.2%低下し同じく過去4カ月間で3回目のマイナスに、ガスも0.2%低下し2ヵ月連続でマイナスとなった。エネルギー以外では食品・飲料が0.1%上昇、2019年4月以来の下落に転じた7月から小幅ながらプラスに転じた。
CPIコアは0.4%上昇し、市場予想の0.2%を上回った。前月の0.6%に届かなかったとはいえ、3ヵ月連続でプラスを示す。今回は中古車が上振れしたほか、引き続きコロナ禍で打撃を受けた航空運賃や宿泊、服飾、自動車保険が改善。今回は娯楽も3ヵ月ぶりに上昇し、コロナ禍からの低迷から脱却した。一方で、前月下落に転じた食費は食品・飲料の上昇に合わせプラスに反転したが、外食は2017年以来のマイナスとなった。エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。
(上昇項目)
・中古車 5.4%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は2.3%の上昇
・航空運賃 1.2%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は5.4%の上昇
・宿泊 0.9%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は1.2%の上昇
・娯楽 0.7%の上昇、3ヵ月ぶりにプラス>前月は0.6%の低下
・服飾 0.6%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は1.1%の上昇、
・自動車保険 0.5%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は9.3%の上昇
・教育 0.1%の上昇、2ヵ月連続でプラス<前月は1.1%の上昇
・医療サービス 0.1%の上昇、少なくとも3ヵ月連続でプラス<前月は0.5%の上昇
・帰属家賃 0.1%の上昇<前月は0.2%の上昇
(横ばい、低下項目)
・新車 横ばい<前月は0.8%の上昇
・食費 0.1%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は1.1%の低下
CPIは前年比で1.3%上昇し、前月の1.0%はもちろん市場予想の1.2%を上回った。CPIコアは同1.7%上昇し、市場予想並びに前月の1.6%を超えた。6月に1.2%と2011年3月以来の低水準をつけてから改善が続き、3月以来の2%回復を視野に入れつつある。
チャート:CPIの前年比、経済活動の再開を追い風に改善
――8月は中古車の上昇が全体を押し上げました。中古車価格が上振れした背景としては、①新車の在庫不足、②新車の価格高騰、③低金利――が挙げられます。自動車情報サイトのエドマンズ・ドットコムによれば、7月の中古車価格は前月比3.4%上昇の2万1,558ドルだったといい、8月も上昇トレンドを維持したもようです。
その他8月はコロナ禍で打撃を受けた品目が回復を続けたほか、エネルギーや食品も上昇し、3ヵ月連続で上昇しました。ただし航空運賃や宿泊、服飾、自動車保険などはそろって上げ幅を縮小。自動車保険は3月以降の落ち込みをほぼ打ち消す半面、航空運賃や宿泊、宿泊はまだまだ回復に程遠く、一段の上昇が望まれます。
チャート:主要品目別動向、航空運賃を始め宿泊、服飾は未だ低水準、逆に外食や食費、中古車は上昇傾向。
食品・飲料は外食が堅調だったものの肉類・魚・卵が押し下げ食費が2ヵ月連続で低下し、前月比小幅上昇にとどまりました。結果、前年比では鈍化の兆しをみせています。感染者が一時期は最多だったNY市でも、クオモ州知事が9月30日から25%の稼働率でレストランの店内飲食が可能となる方針を表明。正常化が進めば、食費の高騰も一段と落ち着く見通しです。
チャート:食費の前年比は肉類の物価が落ち着き、外食以外は加速にブレーキ
あとはワクチンと治療薬の開発・流通と、米議会の追加経済対策が待たれるところ。ファイザーは独ビオンテックとのワクチンが米国で年末までに実用化できる方針を示しており、クリスマスの帰省シーズンに間に合えば航空運賃や宿泊の需要を支えることでしょう。
(カバー写真:Moto “Club4AG” Miwa/Flickr)
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