Retail Sales Increase 5-month In A Row Without Additional Stimulus.
米9月小売売上高は前月比1.9%増と、市場予想の0.8%増を上回った。前月の0.6%増を含め、追加経済対策なしでも5ヵ月連続で増加した。
自動車とガソリンを除いた場合は1.5%増と、市場予想の0.5%増を上回った。前月の0.5%増(0.7%増から下方修正)に続き、5ヵ月連続で増加した。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は1.4%増と、市場予想の0.2%増を上回った。4ヵ月ぶりに減少した前月の0.3%減(0.1%減から下方修正)から改善。今回は予想外に好調だったが、10月は新型コロナウイルス感染者数が過去最多を更新しており、その影響が懸念される半面、予想に届かなかったとはいえ延期されたアマゾンのプライム・デーが鈍化を相殺する期待を残す。
チャート:小売売上高、前月比は市場予想を超え5ヵ月連続で増加
チャート:小売売上高は前年比で5.2%増となり、4ヵ月連続で増加し2019年末以来の高い伸び
前月比の内訳をみると、主要13カテゴリー中11種で増加し、前月の8種を上回った。今回牽引したのは、経済活動の再開を受けて追い風が吹く服飾で、5ヵ月連続で増加。また、一般小売のうち百貨店も力強く反発している。その他、スポーツ用品・趣味、自動車・部品、外食などが支えた。一方で、電気製品が唯一減少したほか、食料・飲料は一部で学校が再開したせいで家庭でのランチ需要が減退したのか、横ばいにとどまった。前月比の項目別詳細は以下の通り。
(プラス項目)
・服飾→11.0%増、5ヵ月連続で増加>前月は1.4%増、6ヵ月平均は36.9%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→5.7%増、3ヵ月ぶりに増加>前月7.4%減、6ヵ月平均は10.7%増
・自動車/部品→3.6%増、2ヵ月連続で増加>前月は0.7%増、6ヵ月平均は8.1%増
・外食→2.1%増、5ヵ月連続で増加<前月は4.3%増、6ヵ月平均は5.8%増
・一般小売→1.8%増、3ヵ月ぶりに増加>前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.6%減(百貨店は9.7%増>前月は2.2%減と4ヵ月ぶりに減少、6ヵ月平均は4.9%増)
・ヘルスケア→1.7%増>前月は0.5%減と4ヵ月ぶりに減少、6ヵ月平均は0.2%増
・ガソリンスタンド→1.5%増、5ヵ月連続で増加>前月は0.9%増、6ヵ月平均は1.6%増
・雑貨→1.1%増、5ヵ月連続で増加<前月は1.3%増、6ヵ月平均は3.7%増
・建築材/園芸→0.6%増、2ヵ月連続で増加<前月は2.4%増、6ヵ月平均は2.1%増
・家具→0.5%増、5ヵ月連続で増加<前月は2.1%増、6ヵ月平均は12.0%増
・無店舗(主にネット)→0.5%増、3ヵ月連続で増加>前月は0.2%増、6ヵ月平均は2.6%増・食品/飲料→横ばい>前月は1.4%減、6ヵ月平均は2.2%減
(マイナス項目)
・電気製品→1.6%減、5ヵ月ぶりに減少<前月は0.4%増、6ヵ月平均は6.3%増
チャート:9月の業種別動向
(作成:My Big Apple NY)
――9月の小売売上高は予想外に好調で、コロナ以前の水準を回復した業種は9つと、8月の8種から増えました。
チャート:2月時点との比較
(作成:My Big Apple NY)
8月は需要が高まる住宅市場を追い風に家具がプラスに転じていましたが、今回は追加経済対策が妥結していないなかでも、一般小売という裁量消費財の分野で回復しております。その陰で、今回牽引した服飾のほか百貨店、価格要因もあってガソリンスタンドがさえませんが、クラリダFRB副議長が「米経済は驚くほど力強い」と自信を表明するはずですね。
(カバー写真:joey zanotti/Flickr)
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