Computers And Autos Push Industrial Production Down For The First Time In 5 Months.
米9月鉱工業生産指数は前月比0.6%低下し、市場予想の0.5%の上昇に反する結果となった。前月の0.4%の上昇より弱く、5ヵ月ぶりの低下となる。年初来では、4回目のマイナスとなる。
前年比は以下の通り。
・鉱工業生産→前年比7.3%低下し、13ヵ月連続で低下し前月の7.0%から下げ幅を小幅拡大
・製造業→6.0%低下、15ヵ月連続で落ち込んだものの前月の6.3%から下げ幅を拡大
・鉱業→14.8%低下、6ヵ月連続でマイナスとなり前月の16.2%から下げ幅を拡大
・公益→6.1%低下、4カ月ぶりにマイナス
稼働率は71.5%と、市場予想の71.8%を下回った。コロナ禍により外出禁止措置が講じられ始めた3月以来の水準を回復した前月の72.0%(71.4%から上方修正)から、低下に転じた。
チャート:鉱工業生産は前年比で製造業と鉱業が弱くマイナス基調を維持
鉱工業生産指数の内訳を前月比でみると、製造業(全体の75.3%)が5ヵ月ぶりに低下した。航空機/輸送機や一次金属や雑貨、組み立て金属が上昇トレンドを維持したものの、これまで上昇を支えたコンピュータ・電子機器が5ヵ月ぶりにマイナスに反転。自動車も2ヵ月連続で落ち込んだ。そのほか油価が40ドル台で安定するなかで鉱業(全体の14.2%)が過去4ヵ月間で初のマイナスに。公益(全体の10.4%)は夏場は上昇に転じた。詳細は、以下の通り。
■製造業 0.3%の低下、5カ月ぶりにマイナス<前月は1.2%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
▽耐久財 0.5%の低下、5ヵ月ぶりにマイナス<前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の上昇
・航空機/輸送機 4.6%の上昇、5ヵ月連続で上昇>前月は2.2%の上昇、6ヵ月平均は0.9%の上昇
・一次金属 1.7%の上昇、4ヵ月連続で上昇<前月は4.9%の上昇、6ヵ月平均は1.6%の低下
・組立関連 1.7%の上昇、5ヵ月連続でプラス>前月は1.1%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の低下
・電気製品 0.2%の低下、2カ月連続でマイナス>前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は1.2%の低下
・機械 0.4%の低下、5ヵ月ぶりにマイナス<前月は1.6%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の低下
・木材 1.4%の上昇、4ヵ月連続でプラス<前月は3.5%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・家具 1.0%の低下、5ヵ月ぶりにマイナス<前月は1.0%の上昇、6ヵ月平均は0.6%の低下
・コンピュータ/電子部品 2.6%の低下、4ヵ月ぶりにマイナス<前月は1.7%の上昇、6ヵ月平均は横ばい
・自動車関連 4.0%の低下、2ヵ月連続でマイナス<前月は4.3%の低下、6ヵ月平均は30.3%の上昇
チャート:製造業、品目別をみると一度は2月時点の水準を上回るまで回復したコンピュータ・電子機器や、自動車の改善などにブレーキ。
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(作成:My Big Apple NY)
▽非耐久財 横ばい、上昇基調を5ヵ月で止める<前月は1.0%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の低下
・繊維 4.5%の上昇、5ヵ月連続でプラス>前月は2.9%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の上昇
・化学品 0.7%の上昇、4ヵ月連続でプラス<前月は1.0%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の低下
・プラスチック/ゴム 0.7%の上昇、5ヵ月連続でプラス<前月は3.6%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の上昇
・食品/飲料/タバコ 0.4%の低下、5ヵ月ぶりにマイナス<前月は1.4%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
・服飾 2.1%の低下、5ヵ月ぶりにマイナス<前月は8.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・石油製品 3.5%の低下、5ヵ月ぶりにマイナス<前月は2.1%の上昇、6ヵ月平均は1.7%の低下
■公益 5.6%の低下、4カ月ぶりにマイナス<前月は1.0%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・電力 7.3%の低下、2ヵ月ぶりにマイナス<前月は1.1%の低下、6ヵ月平均は0.5%の低下
・天然ガス 2.9%の上昇<前月は0.4%の低下、6ヵ月平均は3.9%の上昇
■鉱業 1.7%の上昇、過去4ヵ月間で3回目の上昇ぶりに低下<前月は1.4%の上昇、6ヵ月平均は3.0%の低下
――米9月鉱工業生産は、自動車が2ヵ月連続で振るわず。特に自動車のほか、コンピュータ・電子機器が弱かった点は気掛かりです。結果、コンピュータ・電子機器は8月に2月比でプラスに転じたものの、今回はマイナスに転じました。自動車も、7月にプラス圏を回復も一時的にとどまり、2ヵ月連続でマイナスに終わっています。
チャート:2月時点の指数と今回の比較、再び主要業種が全てマイナスに。
米9月ISM製造業景況指数が55.4と前月の56.0から小幅鈍化しながらも2019年1月以降で3番目の高水準だった結果と、正反対です。
チャート:米9月ISM製造業景況指数、コロナ禍でも健闘していたのですが・・
(作成:My Big Apple NY)
新規コロナウイルス感染者数が過去最多を更新するなかで、生産活動への制限が課されれば高止まりするセンチメントの結果を反映しない生産指標が出てきてもおかしくありません。
(カバー写真:Tim Engle/Flickr)
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