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米1月ADP全国雇用者数は回復示唆、人員削減予定数は高止まり

by • February 5, 2021 • Finance, Latest NewsComments Off1880

Private Payrolls Rebound, But Job Cuts Still Elevated In January.

1月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。

米1月ADP全国雇用者数は前月比17.4万人増となり、市場予想の0.7万人増を大幅に上回った。前月は8ヵ月ぶりに減少し7.8万人減(12.3万人減から上方修正)だったが、労働市場は回復基調へ回帰した格好だ。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

チャート:ADP全国雇用者数、8ヵ月ぶりに減少した12月から増加に反転

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が15.6万人増と、8ヵ月ぶりに減少した前月の7.3万人減(修正値)から改善した。内訳は以下の通り。

・教育/健康→5.4万人増、9ヵ月連続で増加>前月は2.0万人増
・専門サービス→4.0万人増、9ヵ月連続で増加>前月は2.4万人増
・娯楽/宿泊→3.5万人増、増加に反転>前月は7.9万人減と8ヵ月ぶりに減少
・貿易/輸送→1.6万人増、増加に反転>前月は2.9万人減と8ヵ月ぶりに減少
・その他→1.0万人増、増加に反転>前月は0.8万人減と8ヵ月ぶりに減少
・金融→0.1万人増、6ヵ月連続で増加<前月は0.3万人増
・情報→0.2万人減、3ヵ月連続で減少>前月は0.5万人減

財部門(製造業、建設、鉱業)は1.9万人増と、8ヵ月ぶりにマイナスとなった前月の0.5万人減から増加に転じた。内訳は以下の通り。

・建設→1.8万人増、6ヵ月連続で増加>前月は0.9万人増
・製造業→0.1万人増、増加に反転>前月は1.4万人減
・鉱業→横ばい=前月も横ばい

ADPリサーチ・インスティチュートのアフ・イルディルマス共同ヘッドは、結果を受け「引き続き、コロナ禍の逆風を受け鈍い雇用の回復を示す」と指摘。また「雇用喪失は中小企業で集中していたが、足元は大企業にも及び始めている」とし、今回8ヵ月ぶりに減少した雇用が回復したとはいえ慎重な見解を維持した。

▽米1月人員削減予定数は、採用予定数を上回り高止まり

米1月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比で17.4%増の7万9,552人と11ヵ月連続で増加した。引き続き、単月で過去最多を更新している。前月比では3.3%増となり、2ヵ月連続で増加した。

チャート:人員削減予定数、コロナ前の2019年平均である約5万人超えを維持

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(作成:My Big Apple NY)

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのアドリュー・チャレンジャー副社長は、今回の結果を受け「足元、企業の人員削減予定件数はピークアウトの兆しみせ、数ヵ月後に雇用が回復する余地を残す」と振り返った。理由として「米企業は追加経済対策の影響を様子見している」と説明、「人員に関して決断を下す前に再評価しうる」とコメントし、前回より明るい見通しを示した。

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。

1位 航空・防衛 2万9,100人
2位 通信 1万9,002人
3位 倉庫 6,601人
4位 娯楽・宿泊 6,399人
5位 サービス 3,722人

州別動向は、年初来で以下の通り。航空・防衛が最多だったことから、ボーイングが本社を置くワシントン州が前年の圏外から1位へ急伸した。

1位 ワシントン州 2万9,277人
2位 テキサス州 2万779人
3位 カリフォルニア州 9,212人
4位 テネシー州 6,482人
5位 フロリダ州 2,008人

リストラ実施の理由別ランキングは、単月で以下の通り。

1位 需要低下 2万9,822人
2位 再編 1万9,526人
3位 市場動向 1万5,056人
4位 新型コロナウイルス 4,620人
5位 閉鎖  4,358人

採用予定数は、前年同月比で約3倍増の7万2,063人だった。前月比では6.7%減と減少に転じたた。

セクター別では、以下の通り。

1位 ヘルスケア 1万4,596人
2位 公益 1万3,887人
3位 金融 6,940人
4位 政府 5,682人
5位 輸送 3,600人

なお、2020年の人員削減予定数は前年比で約4倍増の230万4,755人と、ITバブル崩壊直後の195万6,876人を超え過去最高を記録した。

チャート:2020年の人員削減予定数、2019年と比較

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(作成:My Big Apple  NY)

2020年を業種別でみると、以下の通り。

ワースト5位(人員削減予定数が前年比で最も多かった業種)

1位 娯楽・宿泊 5,687%増の286万6,046人
2位 非営利団体 1,542%増の5万2,210人
3位 服飾 1,097%増の2万8575人
4位 航空・防衛 862.9%増の8万6125人
5位 不動産 757.8%増の2万896人

トップ5位(人員削減予定数が前年比で最も少なかった業種)

1位 製薬 82.6%減の2,131人
2位 化学 72.5%減の332人
3位 金融 45.6%減の1万3,677人
4位 公益 21.2%減の1,866人
5位 素材 12.4%増の7万9653人

2020年にリストラ実施の理由別ランキングは、年初来で以下の通り。なお、コロナ禍だけでなく737MAX生産停止の影響が響き、2020年の人員削減予定数の業種別では航空・宇宙が4位に入ったが、リストラ実施の理由でも「737MAXの生産停止」は3,233人で16位だった。

1位 新型コロナウイルス 110万9,656人
2位 市場動向 44万5,182人
3位 需要低下 25万7,640人
4位 閉鎖 10万6,102人
5位 コスト削減 9万3,537人

2020年の採用予定数は、前年比で約3倍増の319万862人だった。コロナ禍でテクノロジーや輸送・倉庫、素材など新たな特需が生まれた結果、人員削減予定数の230万4,755人を上回った。

――1月は人員削減予定数が前月比で増加した上、採用予定数を上回っていました。雇用増加に転じた米1月ADP全国雇用者数と、正反対の結果を示します。米1月雇用統計に係る問題は、カリフォルニア州の夜間外出禁止措置解除が1月25日で、雇用統計のサンプル週にあたる1月12日を挟んだ週でないことです。カリフォルニア州の人口は全米最多で約12%を担うため、影響は無視できません。

(カバー写真:COD Newsroom/Flickr)

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