Used Car Drives Consumer Price Index Higher In April.
米4月消費者物価指数(CPI)は前月比0.8%上昇し、市場予想の0.2%を上回った。前月の0.6%を超え、11ヵ月連続で上昇しただけでなく、2009年6月以来の高い伸びとなる。
内訳をみると、エネルギー(全体の6.1%を占める)が0.1%低下、ガソリンも1.4%低下し、それぞれ11ヵ月ぶりに低下した。なおエネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は4月に一時2.872ドルへ上昇。5月にはコロニアル・パイプラインへのサイバー攻撃により供給停止に見舞われ、一時は3ドル台に乗せた。その他のエネルギーでは、電力など公益が1.5%上昇。そのうち電力が1.2%上昇、ガスは2.4%上昇していた。エネルギー以外では食品・飲料が0.4%上昇した。
CPIコアは0.9%上昇し、市場予想の0.3%を上回った。前月の0.3%を超え、11ヵ月連続で上昇しただけでなく、1982年4月以来の高い伸びとなる。
品目別にみると、ワクチン普及と経済正常化を背景に、今回は航空運賃が急伸したほか、中古車や宿泊、自動車保険も上振れした。一方で、医療サービスは横ばいにとどまった。エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。
(上昇品目)
・航空運賃 10.2%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は0.4%の上昇
・中古車 10.0%の上昇、2ヵ月連続でプラス(1953年以来の高い伸び)>前月は0.5%の上昇
・宿泊 7.6%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は3.8%の上昇
・自動車保険 2.5%の上昇、4ヵ月連続でプラス<前月は3.3%の上昇
・娯楽 0.9%の上昇、3ヵ月連続でプラス>前月は0.4%の上昇
・新車 0.5%の上昇>前月は横ばい
・服飾 0.3%の上昇、3ヵ月ぶりにプラス>前月は0.3%の低下
・教育 0.3%の上昇>前月は0.1%の上昇
・帰属家賃 0.2%の上昇=前月は0.2%の上昇
(横ばい、低下項目)
・医療サービス 横ばい<前月は0.1%の上昇
チャート:CPIの前月比はエネルギーや食品以外が上昇を牽引
CPIは前年比で4.2%上昇し、前月の2.6%を超え2008年9月以来の高い伸びを遂げた。CPIコアは同3.0%上昇し、市場予想の2.3%と前月の1.6%を超え、1995年12月以来の水準へ加速した。
チャート:CPIの前年比、経済活動の再開を追い風に改善
――4月のCPIの上振れは、コロナ禍による需要後退で価格が抑えられた品目が牽引していました。特に中古車はCPIシェアのうち2.8%と航空運賃の0.6%を上回り決して低くないだけに、無視できません。なぜ突如、中古車が急伸したのでしょうか?
ここでも、サプライチェーンの途絶が影響しています。そう、半導体不足に伴う減産が、中古車価格を押し上げたというわけです。半導体不足を受け、2021年の新車生産台数は390万台押し下げられる見通しで、当初予想の220万台から修正されていますよね。さらに、ハーツなどレンタカー大手などがコロナ禍の直撃を受けた2020年に大量放出してしまい、新たな供給が限定的だった事情もあります。
つまり、中古車を始め航空運賃、娯楽などは経済正常化に伴い価格が収斂される見通しです。ただ、中古車のようにサプライチェーンの途絶の解消に時間が掛かる場合は、一部で高止まりのリスクを残します。
FRBのチーフエコノミストの役目を担うクラリダFRB副議長は5月12日、全米企業エコノミスト協会(NABE)で講演した際に、米4月CPIの結果につき「驚いた」と素直な感想を吐露。その上で「仮に我々の基本シナリオに反し、需要が供給を執拗且つ過剰に上回り物価とインフレ期待が我々の統治目標と合致しない水準に上振れする兆候が現れれば、長期的インフレ目標2%へ押し下げるべく行動することを躊躇しない」と発言しました。ただし「前年比のインフレは足元で上昇し、しばらく続いた後、年末にかけ落ち着く公算が大きい」、「足元では(統計指標に)かなりのノイズがみられ、証左を集めることが賢明で適切」、雇用の回復も不確定とも言及。ユーロドル先物は同日に2022年12月の利上げ確率を80%織り込みましたが、クラリダFRB副議長の発言を読み解く限り、少なくとも次回6月FOMCでテーパリングに着手のサインを点灯する可能性は低いのではないでしょうか。
(カバー写真:dave_7/Flickr)
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