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米4月鉱工業生産、2ヵ月連続で上昇もコロナ前の水準以下

by • May 30, 2021 • Finance, Latest NewsComments Off1784

Industrial Production Index Still Below Pre-Covid19 Level.

米4月鉱工業生産指数は前月比0.7%上昇し、市場予想0.8%を下回った。前月の2.4%の上昇(1.4%から上方修正)に届かなかったが、2ヵ月連続でプラスに。年初来では、3回目の上昇となる。

産業別の前年比は以下の通り。2020年4月に経済活動が停止した反動で、少なくとも鉱工業生産と製造業は1990年以降で過去最大の伸び

・鉱工業生産→16.5%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は1.0%の上昇
・製造業→23.0%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は3.2%の上昇
・鉱業→2.4%低下、13ヵ月連続でマイナスと<前月は9.7%の低下
・公益→1.9%の上昇、5ヵ月連続で上昇>前月は1.1%の上昇

設備稼働率は74.9%。コロナ禍直前にあたる20年2月の高水準だが、当時の76.9%には届いていない。なお、1990~2021年2月の平均値は78.8%となる。

鉱工業生産指数の業種別内訳を前月比でみると、製造業(全体の75.3%)が2ヵ月連続で上昇した。ただし、製造業では耐久財が低下。これは半導体不足により生産活動に支障をきたす自動車・部品、及びボーイング“737MAX”の電気系統不具合の影響を受ける航空・輸送機の落ち込みが響いた。その他、鉱業や公益はそろって上昇した。詳細は、以下の通り。

チャート:鉱工業生産、前年比は経済活動停止の反動で急伸

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チャート:前月比は、年初来で3回目の上昇

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(作成:My Big Apple NY)

■製造業 0.4%の上昇、2ヵ月連続でプラス<前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の上昇

▽耐久財 0.4%の低下、年初来で2回目のマイナス<前月は3.2%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の上昇

・一次金属 1.7%の上昇、年初来で3回目の上昇<前月は2.2%の上昇、6ヵ月平均は1.2%の上昇
・電気製品 1.1%の上昇、年初来で3回目の上昇<前月は2.0%の上昇、6ヵ月平均は1.2%の低下
・機械 0.7%の上昇、年初来で3回目の上昇<前月は3.6%の上昇、6ヵ月平均は1.0%の上昇
・コンピュータ/電子部品 0.3%の上昇、年初来で3回目の上昇<前月は2.9%の上昇、6ヵ月平均は0.6%の上昇
・木材 0.2%の上昇年初来で3回目の上昇<前月は4.7%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の上昇

・組立金属 0.2%の低下、年初来で2回目のマイナス<前月は4.0%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の上昇
・家具 0.2%の低下、年初来で2回目のマイナス<前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は横ばい
・航空機/輸送機 0.7%の低下、年初来で初のマイナス<前月は2.6%の上昇、6ヵ月平均は1.2%の上昇
・自動車関連 4.3%の低下、年初来で2回目のマイナス<前月は3.8%の上昇、6ヵ月平均は1.2%の低下

▽非耐久財 1.3%の上昇、年初来で3回目の上昇<前月は3.2%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇

・化学品 3.2%の上昇、2ヵ月連続でプラス<前月は3.2%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・石油製品 1.6%の上昇、年初来で3回目のプラス<前月は8.1%の上昇、6ヵ月平均は1.6%の上昇
・服飾 0.7%の上昇、年初来で3回目のプラス<前月は1.2%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の上昇
・食品/飲料/タバコ 0.3%の上昇、年初来で3回目のプラス<前月は2.6%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の上昇
・繊維 0.1%の上昇、5ヵ月連続でプラス<前月は2.9%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇

・プラスチック/ゴム 0.8%の低下、3ヵ月連続でマイナス>前月は1.4%の低下、6ヵ月平均0.3%の低下

■公益 2.6%の上昇、年初来で2回目のプラス>前月は9.0%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下

・電力 2.0%の上昇、年初来で2回目のプラス>前月は6.7%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・天然ガス 6.1%の上昇、年初来で2回目のプラス>前月は19.7%の低下、6ヵ月平均は0.6%の低下

■鉱業 0.7%の上昇、年初来で3回目のプラス<前月は8.9%の上昇、6ヵ月平均は1.1%の上昇

チャート:鉱工業生産、主な業種別ではコンピュータ・電子部品以外、コロナ前の水準以下

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(作成:My Big Apple NY)

――米4月鉱工業生産は、半導体不足の自動車・部品や”737MAX”の電気系統の不具合を受けた航空・輸送機が押し下げた分を、化学品や一次金属、電気製品、コンピュータ・電子部品などが支え2ヵ月連続で上昇した。経済活動の再開に伴い、需要が回復しつつある様子を示したが、業種別でコロナ禍に陥る直前の20年2月の水準を上回ったのはコンピュータ・電子機器にとどまる。設備稼働率もコロナ以前の水準以下が続いており、企業部門の回復の歩みは未だ鈍い状況。サプライチェーンの問題が改善も、引き続き生産活動の重石となる見通しで、やはりFedの資産買入縮小に至るには、十分に議論を重ねるとみられ早くとも決定は年末ではないでしょうか。

(カバー写真:Brookhaven National Laboratory/Flickr)

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