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米6月CPIは08年以来の高い伸び、中古車が上昇の約3割占める

by • July 13, 2021 • Finance, Latest NewsComments Off3575

Consumer Prices Accelerates Again, Used Car Accounted For More Than One-Third Of The Increase.

米6月消費者物価指数(CPI)は、市場予想の0.5%を上回り前月比0.9%上昇した。前月の0.6%を超え、13カ月連続で上昇し2008年6月以来の高い伸びとなる。

内訳を前月比でみると、エネルギー(全体の6.1%を占める)が1.5%上昇ガソリンは2.6%上昇し3ヵ月ぶりにプラスに転じた。なおエネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格はコロニアル・パイプラインへのサイバー攻撃により供給停止に見舞われ、6月28日週に一時3.091ドルと、2014年10月以来の高値をつけた。その他のエネルギーでは、電力など公益が0.2%上昇し前月の0.7%を下回った。そのうち電力が0.3%低下とマイナスに転じ、ガスは前月と変わらず1.7%上昇していた。エネルギー以外では食品・飲料は0.8%上昇し、前月の0.4%を上回った。食肉大手JBSによるサイバー攻撃で、一時供給が中断した余波が現れた可能性がある。豚肉は3.1%上昇(前月は0.4%)、牛肉も4.5%上昇(前月は2.3%)と加速していた。

CPIコアは前月比0.9%上昇し、市場予想の0.4%を上回った。前月の0.7%を超え、1982年6月以来の高い伸びとなった。

チャート:CPIの品目別寄与、前月比

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(作成:My Big Apple NY)

品目別にみると、ワクチン普及と経済正常化に加え、夏休みが本格化するなかで、宿泊が大幅上昇した。また、3ヵ月連続で航空運賃や自動車保険も上昇に寄与。その他、中古車も在庫不足と半導体不足に伴う減産を受け伸びが再加速し過去最大の伸びに、新車も前月を上回った。エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。

(上昇品目)

・中古車 10.5%の上昇、4ヵ月連続でプラス、過去最大の伸び>前月は7.3%の上昇
・宿泊 7.0%の上昇、4ヵ月連続でプラス>前月は0.4%の上昇
・航空運賃 2.7%の上昇、4ヵ月連続でプラス<前月は7.0%の上昇
・新車 2.0%の上昇、3ヵ月連続でプラス>前月は1.6%の上昇
・自動車保険 1.2%の上昇、6ヵ月連続でプラス>前月は0.7%の上昇
・服飾 0.7%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は1.2%上昇
・娯楽 0.5%の上昇、5ヵ月連続でプラス>前月は0.2%の上昇
・帰属家賃 0.3%の上昇、上昇トレンドを維持=前月は0.3%の上昇
・住宅 0.5%の上昇、上昇トレンドを維持>前月は0.3%の上昇
・家賃 0.2%の上昇、上昇トレンドを維持=前月は0.2%の上昇
・教育 0.1%の上昇、3ヵ月連続で上昇<前月は0.2%の上昇

(横ばい、低下項目)

・医療サービス 横ばい>前月は0.1%の低下

CPIは前年比で5.4%上昇し、市場予想の4.9%を大幅に上回った。前月の5.0%を超え、2008年4月以来の高い伸びとなった。CPIコアは同4.5%上昇し、市場予想の4.0%と前月の3.8%を超え1991年11月以来の水準へ加速した。

チャート:CPIの前年比、品目別の寄与など

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チャート:CPIとCPIコア、前年比

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(作成:My Big Apple NY)

米労働省が説明したように、今回も全体の前月比上昇分の約3割を中古車が占めた。引き続き中古車は、前述した理由により高い伸びを記録、夏休みが本格化したことも、需要を押し上げたとみられる。夏休み要因と言えば、宿泊や自動車保険、娯楽なども再び加速しており、需要の回復を感じさせる。

タカ派のFOMC高官が意識するのは、住宅だろう。住宅は今回0.5%上昇し、前月の0.3%を超えた。7月FOMCでテーパリングの必要性を唱え、特に住宅ローン担保証券の買い入れ縮小議論が高まりうる。ただ、まだ経済正常化の反動に加え中古車のようにサプライチェーン問題など特殊要因がかさ上げした側面は否めず、パウエルFRB議長は難しい舵取りを迫られそうだ。

(カバー写真:Mobilus In Mobili/Flickr)

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