Looking Back Romney, On The Last Debate..
第3回の米大統領・討論会。CNNの特別番組に登場していた政治評論家に「野球なら、4回コールドで終了していた」といわしめたほど、痛々しい結果に終わりました。CNNの世論調査でこそ48%対40%でしたが、「より強い指導者は?」との質問には、過半数の51%がオバマ米大統領と答えたのも、むべなるかな。前回はオバマ発言を中心に成り行きを説明させていただいたので、今回はロムニー発言を軸に追っていきます。
外交策がテーマとあって、ロムニー節が炸裂し迷言が続出!以前からの主張を繰り返し、中国は「為替操作国」とコメントとするのは分かります。その後が問題。オバマ米大統領が「でも中国企業に投資してたじゃないか」とシナリオ通りの突っ込みを入れたら、「中国とは素晴らしい関係を築きたいんだよ」と付け加えるなんて、まるで漫才です!
コロコロと立場を返る=フリップフロップ=サンダルというわけで、19ドル也。
オバマ米大統領から「ロシアを『地政学的な脅威(geopolitical threat)』に挙げたよね、アルカイダじゃなくって」と問い詰められたら、「いや違う『地政学的な敵(geopolitical foe)』と言ったんだ、その後でアルカイダやイランを羅列したさ」なんて・・・嘆かわしいこと限りなしです。ロムニー候補、確かに3月26日のCNNで「地政学的な敵対者」としてロシアを挙げており、「脅威」と指定していません。とはいえ、「No1 geopolitical foe」と言い切っており、「一番」の敵と名指ししていました。
何か忘れてる、と思ったあなた。そうです。討論会ではリビアについて一切触れず。第2回の討論会で大きな墓穴を掘っただけに、完全スルーでした。
ロムニー候補は、オバマ米大統領に対し就任1年目で「Apology Tour(謝罪行脚)」を敢行したのはなんだったんだとも批判。ちなみに、この「Apology Tour」は、ロムニーさんが名づけたのであって、そんなツアーはありません。名づけ親としてロムニー候補、サウジアラビア、イラク、トルコ、エジプトなど中東各国を中心に歴訪した当時、オバマ米大統領が「謝罪してまわった」と矛先を向けたんです。訪問先にイスラエルを含まず、「アラブのテレビに対し、アメリカが中東地域を占領したと言い放った」と、それは口角泡を飛ばす勢いでした。
確かに、オバマ米大統領は中東ツアーに出ましたよ。アメリカによる同地域への失策についても発言しました。ただ、「謝罪」は彼の口から一言も出てないんです。ロムニー候補の糾弾は、ちょうどオバマ米大統領がロムニー候補による英国訪問、イスラエル訪問の文脈で飛び出しただけに、子供のケンカを連想させました。だってロムニーさん、英国では物見遊山よろしくロンドン五輪の開会式に出席し(ミシェル夫人が出席しオバマ大統領は欠席)、イスラエルでは寄付金巡りしてきたんですから。
オバマ米大統領は、イスラエルをスキップしたとの批判に返す刀で米大統領就任前にイスラエルへ足を運んだと説明しただけでなく、「まず米軍を表敬し、寄付金集めのパーティーには行かず、(ホロコーストの美術館として有名な)ヤド・ヴァシェムを巡って自身に悪の本質、そしてイスラエルとの決して壊れない絆を思い返した」と明言しました。「イスラエルが盟友」とも、宣言しておりしたね。
外交・安全保障の面で「強いアメリカ」という言葉が出てきたとき、オバマ米大統領が雇用の根幹として教育の重要性を説くと、ロムニーオ候補は「国が企業を生み出すわけではない」と激しく抗議したことも、印象的でした。CNNの女性視聴者の支持率がマイナスに落ち込んだのは、言うまでもなく。しかも、舌の根が乾かない間に「I love teachers」だなんて、節操がなさ過ぎです・・。
女性層の支持、バインダー発言後も低下の一途をたどるのみ(黄色い線が女性の支持です)。
挙句の果てに、ロムニー候補が自身を「デトロイトの息子(son of Detroit)」とぶち上げたときには、耳を疑いましたよ。確かにロムニー候補はインディアナ州デトロイトで誕生し、父親はアメリカン・モーターズの会長でしたよ。そうはいってもロムニーさん、GMの救済に反対した張本人ですから。ツィッターからは、「ロムニーがデトロイトを持ち出すなんて、クリントン元大統領がモニカ・ルインスキーを語るようなものだ」と揶揄するメッセージをみつけたものです。
第2回までの討論会で、CNBCで看板番組をもつTVパーソナリティのラリー・カドロー氏は、「ビッグバードとバインダーをあげつらうなんて、民主党はロムニーにまともな攻撃もできないんだ」と苦笑していました。彼は、ロムニー候補をどのようにフォローするんでしょうね。
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