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米7月PCE価格指数は市場予想以下も、スーパーコアが小幅ながら加速

by • August 30, 2024 • Finance, Latest NewsComments Off3807

July PCE Inflation Rises In-Line With Expectations, But The Supercore Accelerates.

米7月個人消費支出は前月比0.5%増と、市場予想と一致した。前月の0.3%増を上回りつつ、16カ月連続で増加した。

〇個人消費支出

個人消費の結果は以下の通り。前月比で、名目ベースとインフレを除く実質ベースはともに増加した。

・前月比0.5%増と16カ月連続で増加、市場予想と一致、前月は0.3%増
・前年比では5.3%増と2020年12月以降の増加トレンドを維持、前月は5.4%増
・実質ベース前月比0.4%増と3ヵ月連続で増加、前月は0.3%増
・前年比では2.7%増と2021年3月以降の増加トレンドを維持、前月は2.8%増

チャート:個人消費、前月比ベースでの名目と実質の違い、実質は3ヵ月連続で増加

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(作成:Street Insights)

耐久財は、自働車ディーラー向けソフトウェア大手へのサイバー攻撃の影響で6月に減少した反動で自動車・部品が前月比1.4%増と前月の0.1%減から増加に転じたほか、家具も同0.5%増と3ヵ月連続で増加した。非耐久財は食品・飲料が0.8%増と2カ月連続で増加した一方で、ガソリンは横ばいと、過去2カ月連続のマイナスから脱却した。サービスは住宅関連やヘルスケア、娯楽で増加した。

個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 0.7%増と3ヵ月連続で増加、前月は0.1%増
・耐久財 1.4%増、前月は0.1%減
・非耐久財 0.4%増と6カ月連続で増加、前月は0.2%増
・サービス 0.4%増と2022年2月以降の増加トレンドを維持、前月は0.4%増

チャート:個人消費、前月比の項目別内訳

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(作成:Street Insights)

〇個人所得

米7月個人所得は前月比0.3%増と、市場予想と前月の0.2%増を上回った

個人所得の結果は以下の通り。

・前月比0.2%増と2022年2月以降の増加トレンドを維持、市場予想と前月の.4%増を下回る
・前年比では4.5%増と2022年4月以降の増加トレンドを維持、前月は4.5%増
・実質ベースは前月比0.1%増と2カ月連続でプラス、前月は0.4%増
・前年比では1.9%増と2023年1月以降の増加トレンドを維持、前月は1.8%増

個人所得のうち、名目ベースで賃金・給与は9ヵ月連続で増加し、伸びも前月の0.2%増から0.3%増へ小幅に広げた。家賃収入は4カ月ぶりに増加に反転。一方で、資産収入は減少に反転、金利収入が減少を主導した。詳細は以下の通り。

所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。

・賃金/給与 0.3%増と9ヵ月連続で増加(民間は0.3%増、政府部門は0.4%増)、前月は0.2%増
・経営者収入 0.6%増(農業は8.5%増、非農業は0.5%増)、前月は横ばい
・家賃収入 1.0%増と4ヵ月ぶりに増加、前月は0.7%減
・資産収入 0.1%減(金利収入が0.3%減と4ヵ月ぶりに減少、配当は0.1%増とプラスに反転)、前月は0.1%増
・社会補助 0.3%増と8カ月連続で増加、前月は0.4%増
・社会福祉 0.3%増と8カ月連続で増加(メディケア=高所得者向け医療保険は0.8%増、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.1%減、失業保険は1.3%増、退役軍人向けは0.8%増と増加基調を維持、その他は横ばい)

チャート:個人所得、前月比の項目別内訳

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(作成:Street Insights)

〇可処分所得
・前月比0.3%増と2022年月以降の増加トレンドを維持、前月は0.1%増
・前年比は3.6%増と2022年5月以降の増加トレンドを維持、前月は3.5%増
・実質ベースの可処分所得は0.1%増、前月は0.1%増
・前年比は1.1%増と2023年1月以降の増加トレンドを維持、前月は1.0%増

チャート:可処分所得は前月比で2ヵ月連続で増加も伸びは鈍化

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(作成:Street Insights)

〇貯蓄率
2.9%、前月の3.1%を下回り2022年6月以来の低水準。2019年平均の7.4%以下が続く。なお、2022年6月は2.7%とリーマン・ショック前となる2007年6月に並ぶ落ち込みとなる。当時は、2007年9月から利下げを開始した。

チャート:個人消費の伸びが鈍化し、貯蓄率を小幅押し上げ

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(作成:Street Insights)

〇個人消費支出(PCE)価格指数

PCE価格指数は前月比は市場予想と一致した。ただし、前年同月比はコアが市場予想を上回った。

・PCE価格指数は前月比0.2%上昇、市場予想と一致、前月は0.1%
・前年比は2.5%と前月と変わらず、市場予想の2.6%を下回る
・コアPCEデフレーターは前月比0.2%上昇、市場予想と一致、前月は0.2%
・前年比は2.6%と2021年3月以来の低い伸びを保つ、市場予想の2.7%を下回る

チャート:コアPCEは、3ヵ月連続で2.6%と2021年3月以来の低い伸びを維持

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(作成:Street Insights)

スーパ―コア(住宅を除くコアPCEサービス)は前月比0.21%上昇し、前月の0.16%を上回り3カ月ぶりの強い伸びだった。米7月PCE価格指数がコアとそろって市場予想以下となったが、これが効いて一時ドル円を押し上げたとみられる。前年同月比も3.3%上昇し6月と変わらず、鈍化が一服した。ただし、こちらも少数第2位で比較すると3.34%と、前月の3.25%から加速した。

チャート:スーパ―コアの前年同月比は高止まり

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(作成:Street Insights)

チャート:スーパーコア、前月比で伸び加速

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(作成:Street Insights)

結果を受け、FF先物市場では9月0.25%利下げ織り込み度が支配的となった。11月も、前日発表の米Q2実質GDP成長率・改定値が前期比年率3.0%増に上方修正されたこともあって、0.25%利下げ予織り込み度が50%近くを保つ。もっとも、0.5%利下げ観測は根強く、足元は12月が有力視されている。

画像:FF先物市場、年内1回の0.5%利下げ観測が根強い

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(出所:Fedwatch)

FF先物市場では12月17-18日のFOMCでの0.5%利下げ予想に傾くが、11月6-7日のFOMCより現実的だろう。米大統領選の投票日を11月5日に予定するだけに、米大統領選結果が判明していないリスクをにらみ事前の大幅利下げを織り込ませる必要性を踏まえれば、0.5%の利下げを行うとは想定しづらい。共和党のトランプ氏はFedは米大統領選前に利下げすべきではないとの見解を表明済みだが、米大統領選直後の大幅利下げは政治的と判断されかねず、よほど米景気が急激に悪化しない限り、難しいだろう。

(カバー写真:Ron Bieber/Flickr)

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