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米12月雇用統計、人種別の失業率は全て低下しバイデン大統領は有終の美を飾る

by • January 12, 2025 • Latest News, NY TipsComments Off1005

December Jobs Report Shows Lower Unemployment, Ending Biden’s Term On A High Note.

米12月雇用統計は、こちらで紹介しましたように予想外に強い結果となりました。

ここでは、業種別や賃金動向の他、性別や人種、学歴などではどうなったのかを取り上げます。詳細は、以下の通り。

〇平均時給

平均時給は前月比0.3%上昇の35.61ド ル(約5,340円)と市場予想と一致し、11月の0.4%を下回った。2021年2月以降の上昇トレンドを維持している。前年同月比は3.9%、市場予想と前月の4.0%以下となり、3カ月ぶりの低い伸び。生産部門・非管理職の前年同月比は3.8%と、前月の3.9%を下回り2021年5月以来の低い伸びだった。

業種別を前月比でみると、平均時給の伸びが0.3%以上だったのは13業種中で8業種で、前月の速報値ベースの5業種を上回った。一方で、マイナスとなった業種は前月に続き2業種(小売、輸送・倉庫)で、小売は雇用の伸びが好調だった一方で、少なくとも3カ月連続でマイナスだった。

チャート:業種別でみた前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額

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(出所:Street Insights)

チャート:前年比では引き続きインフレ目標値2%超えが目立ち、財部門はそろって強い伸びとなったほか、今回は専門サービスや小売、上方、娯楽・宿泊サービスなどが全米の平均時給の前年同月比3.9%以上に入った。一方で、NFPで増加を主導したヘルスケアを含む教育・健康などは3.9%以下にとどまった。

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(出所:Street Insights)

〇労働参加率

全米の労働参加率は3カ月連続で横ばいで62.5%。働き盛りの男性(25~54歳)をみると、全米では25~54歳と25~34歳、そろって低下した。

・25~54歳 89.0%と23年10月以来の低水準、前月は89.3%、24年7月は90.0%と2009年8月の90%乗せ
・25~54歳(白人) 89.9%と23年2月以来の低水準、前月は90.2%、24年7月は90.7%と2019年3月以来の高水準
・25~34歳 89.1%と4カ月ぶりの低水準、前月は89.3%、24年7月は90.3%と2009年8月以来の高水準
・25~34歳(白人) 90.1%、前月は90.4%、24年7月は91.3%と2019年3月以来の水準に並ぶ

チャート:働き盛りの男性の労働参加率

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(出所:Street Insights)

働き盛りの女性はそろって上昇し、特に25-34歳は0.7ポイントも急伸し過去2番目の高水準だった。

・25~54歳 77.9%と3カ月ぶりの水準を回復、前月は77.7%、24年8月は78.4%と1997年のデータ公表以来の最高記録更新、前月は78.1%
・25~34歳 78.7%と22年8月は78.8%に接近(この数字は1997年のデータ公表以来で最高)、前月は78.0%

65歳以上の高齢者の労働参加率は、男性と女性それぞれ低下した。

・男性 23.0%と7カ月ぶりの低水準、前月は23.7%、24年10月は24.5%と20年2月(25.2%)以来の水準を回復
・女性 15.9%と23年6月以来の低水準、前月は16.0%、24年9月は16.8%と2020年2月以来の高水準

チャート:65歳以上の高齢者の労働参加率

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(出所:Street Insights)

労働参加率を16~19歳と20~24歳は上昇も、55歳以上は低下した。米12月雇用統計ではパートタイムが前月比24.7万人増となったが、経験に乏しく賃金が比較的低い若者が担ったと考えられよう。

・16~19歳 37.5%と7カ月ぶりの高水準、前月は36.2%、24年3月は38.2%と2009年6月以来の高水準
・20~24歳 71.9%、前月は71.5%、24年1月は72.7%と2020年2月以来の高水準
・55歳以上 38.3%と5カ月ぶりの低水準、前月は38.4%、2020年2月は39.7%

チャート:16~19歳、20~24歳、55歳以上の労働参加率

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(出所:Street Insights)

〇縁辺労働者

縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は、労働参加率が3カ月連続で横ばいのなか、前月比0.4%除うの550.5万人男性が労働参加率の低下と整合的で同13.9%増の260.8万人と増加をけん引した一方で、女性は働き盛り世代で労働参加率が改善したように同9.3%減の289.7万人だった。それでも、縁辺労働者は6カ月連続で女性が男性を上回った。

チャート:職を望む非労働力人口

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(出所:Street Insights)

〇男女別の労働参加率と失業率

男女別の労働参加率はまちまちで男性が横ばいで女性は上昇。男性は前月の67.9%で変わらなかった一方で、女性は前月の57.3→57.4%へ上昇した。

チャート:男女別の労働参加率

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(出所:Street Insights)

男女の失業率は、そろって低下男性は労働参加率の低下というテクニカル的な側面に支えられ、失業率は前月の4.3%→4.1%へ低下した。なお、24年7月は4.4%と2021年10月以来の高水準だった。女性は労働参加が上昇したにもかかわらず、2021年11月以来の高水準だった前月の4.2%→4.1%へ低下。パートタイムの雇用増加が影響したと考えられる。なお、女性は2023年1月に3.3%と1952年9月以来の低水準を記録していた。

チャート:男女別の失業率

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(出所:Street Insights)

〇人種・男女別の就業者、20年2月比

人種・男女別の就業者数を20年2月比でみると、ヒスパニック系男女と黒人女性が前月を上回る結果となった。白人男性は下げ幅を広げ、白人女性は横ばい、黒人男性は上げ幅を縮小した。なお、全て季節調整前の数字である点に留意しておきたい。

チャート:男女別の就業者数の20年2月との比較

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(出所:Street Insights)

人種別の週当たり賃金は2023年5月時点で以下の通りで、ヒスパニック系が762.8ドルと最低、次いで黒人が791.02ドル、白人は1,046.52ドルとなる。アジア系が最も高く1,169ドル。

チャート:実質ベースのフルタイム従業員の週当たり賃金、ヒスパニック系が最も低い

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(出所:Street Insights)

〇人種別の労働参加率、失業率

人種別の動向を紐解く前に、人種別の大卒以上の割合を確認する。2010年と2016年の比較では、こちらの通りアジア系が突出するほか、白人が全米を上回る一方で、黒人とヒスパニック系は全米を大きく下回っていた。なお、正確にヒスパニック系は中米・中南米系出身者を指し、民族であって人種にカテゴリーにあてはまらないが、便宜上、人種別とする。

人種別の労働参加率は、白人ヒスパニック系で上昇したが、黒人は変わらず、アジア系は低下した。なお、データはアジア系を除き全て季節調整済みとなる。

・白人 62.2%、前月は62.1%と9カ月ぶりの低水準、なお2023年8月は62.5%と2020年3月(62.6%)以来の高水準、2020年2月は63.2%
・黒人 62.4%と2022年11月以来の低水準を維持、前月は62.4%、なお2023年3月は64.0%と2008年8月の高水準に並ぶ
・ヒスパニック系 67.5%と24年8月以来の高水準、前月は66.9%、24年8月は67.8%と2020年2月の水準に並ぶ
・アジア系 64.3%と9カ月ぶりの低水準、前月は64.6%、24年6月は65.9%と2009年9月以来の高水準 2020年2月は64.5%
・全米 62.5%と3カ月連続で変わらず、なお2023年11月は62.8%と2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ

チャート:人種別の労働参加率

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(出所:Street Insights)

人種・男性別の労働参加率は、白人と黒人が低下、ヒスパニック系のみ上昇した。

・白人 69.8%と8カ月ぶりの低水準、前月は69.9%、2020年3月は71.0%
・黒人 68.2%と4カ月ぶりの低水準、前月は68.7%、なお23年3月は70.3%と2010年3月(70.4%)以来の高水準
・ヒスパニック系 79.6%と2カ月カ月ぶりの高水準、前月は79.3%と11カ月ぶりの低水準、24年6月は80.6%と2020年2月(80.8%)以来の高水準

チャート:人種別、男性の労働参加率

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(出所:Street Insights)

人種・女性別の労働参加率は、白人とヒスパニック系は横ばい、黒人は上昇した。

・白人 57.6%と前月と変わらず24年11月以来の低水準を維持、前月は57.6%、24年8月は58.0%と2020年2月以来の高水準(58.3%)
・黒人 62.4%、前月は62.3%と5カ月ぶりの低水準、2023年4月は63.9%と2009年7月(64.0%)以来の高水準
・ヒスパニック系 62.3%と前月と変わらず、前月62.3%、24年8月は62.4%と1976年6月からのデータ公表以来で最高、2020年2月の62.2%を上回る

チャート:人種別、女性の労働参加率

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(出所:Street Insights)

人種別の失業率はすべて低下した。労働参加率を振り返ると白人とヒスパニック系は上昇、黒人は変わらず、アジア系は低下した。

・白人 3.6%、前月は3.8%と2021年10月以来の高水準、なお2022年12月は3.0%と2020年2月(3.0%)に並ぶ
・黒人 6.1%、前月は6.4%と2022年8月以来の高水準、23年4月は4.8%と過去最低
・ヒスパニック系 5.1%、前月は5.3%と3カ月ぶりの高水準、なお2022年9月は3.9%とデータが公表された1973年以来の低水準
・アジア系 3.5%と7カ月ぶりの低水準、前月は3.8%、なお2023年7月は2.3%と2019年6月(2.0%)以来の低水準
・全米 4.1%、前月は4.2%、24年7月は4.3%と2021年10月以来の高水準、なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準

チャート:人種別の失業率

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(出所:Street Insights)

人種・男女別の失業率は、労働参加率につれ白人と黒人の男性は低下労働参加率が横ばいだった白人とヒスパニック系の女性の失業率は前月と変わらず黒人女性のみ労働参加率が上昇しながらも失業率は低下なお、ヒスパニック系男女は季節調整前の数字となる。

・白人男性 3.3%と6カ月ぶりの低水準、前月は3.5%、なお2022年12月は2.8%と20年2月以来の低水準
・白人女性 3.4%と2カ月連続で変わらず24年8月以来の水準に並ぶ、前月は3.4%、なお23年6月は2.6%で過去最低
・黒人男性 5.6%と3カ月ぶりの水準へ低下、前月は6.0%と4カ月ぶりの水準へ上昇、24年7月は6.6%と2022年1月以来の高水準、なお23年12月は4.6%と2023年4月につけた過去最低に並ぶ
・黒人女性 5.4%と2カ月ぶりの水準へ低下、前月は5.9%と22年3月以来の高水準、なお23年2月は4.3%と2019年8月につけた過去最低の4.2%に接近
・ヒスパニック系男性 4.3%と4カ月ぶりの水準へ上昇、前月は4.1%、なお22年9月は3.0%と2019年11月以来の低水準
・ヒスパニック系女性 5.1%と前月と変わらず24年8月以来の水準、前月は5.1%、24年7月は5.7%と2021年8月以来の高水準、なお2023年5月は3.1%と過去最低

チャート:人種・男女別の失業率

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(出所:Street Insights)

白人と黒人の失業率格差は小幅に縮小。白人と黒人の失業率がそろって低下するなかで黒人の下げ幅が大きく、失業率格差は前月の2.6ポイントから2.5ポイントへ縮めた。2019年平均の2.8pt以下を保つ。

チャート:白人と黒人の失業率格差

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(出所:Street Insights)

〇学歴別の労働参加率、失業率

学歴別は中卒と短大卒で上昇も、高卒は横ばい、大卒は低下した。

・中卒 47.6%、前月は47.2%と5カ月ぶりの低水準、24年7月は48.9%と1992年にデータが公表されて以来で最高、前月は48.1%
・高卒 56.9%と前月と変わらず、前月は56.9%、なお2023年11月は57.3%と2020年2月(58.3%)以来の高水準
・短大卒 62.7%と3カ月ぶりの水準を回復、前月は62.5%、8月は63.5%と2023年3月以来の高水準、2020年2月は64.8%
・大卒以上 72.1%と21年11月以来の低水準、前月は72.5%、24年8月は73%と2023年9月以来の高水準を維持、なお2023年8-9月は73.5%と2020年1月(73.7%)以来の高水準に並ぶ
・全米 62.5%と前月と変わらず、前月は62.5%、なお23年11月は62.8%と2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ

学歴別の失業率は、大卒が上昇したのみで他は低下した。大学院卒は大卒以上の労働参加率が低下したにもかかわらず、失業率が上向きホワイトカラー職の逆風を感じさせる。

・中卒以下 5.6%と23年9月以来の低水準、前月は6.0%、24年8月は7.1%と2021年以来の高水準に並ぶ、なお2022年10月は4.4%と1992年のデータ公表開始以来で最低
・高卒 4.6%と4カ月ぶりの水準へ上昇、前月まで3カ月連続で4.0%、7月は4.6%と2022年1月以来の高水準に並ぶ、なお2023年7月は3.3%と2000年4月以来の低水準に並ぶ
・短大卒 3.5%、前月は3.6%と2022年2月以来の高水準、23年11月は2.8%と2019年12月以来の低水準
・大卒 2.4%、前月は2.5%と2021年9月以来の高水準に並ぶ、なお2022年9月は1.8%と2007年3月以来の低水準に並ぶ
・大学院卒 2.2%と4カ月ぶりの水準へ上昇、前月は2.0%と6カ月ぶりの低水準、24年8月は3.0%と2021年7月以来の高水準、なお2021年12月は1.2%と2000年4月の低水準に並ぶ
・全米 4.1%、前月は4.2%、24年7月は4.3%と2021年10月以来の高水準 なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準

チャート:学歴別の失業率

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(出所:Street Insights)

チャート:大卒以上の労働参加率は低下も、大学院卒の失業率は上昇

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(出所:Street Insights)

2024年の米大統領選でトランプ氏が勝利した理由は、不法入国者を含めた移民の急増だった。米議会予算局やサンフランシスコ連銀など、多くが移民の急増をめぐる影響を分析するように、足元の米労働市場にも大きな変化をもたらしている。そこで、海外生まれ(不法移民を含む)と米国生まれの雇用動向を確認してみた。

労働力人口(以下、全て季節調整前の数字)は、前月比0.2%減(2カ月連続で減少)の約1億6,775万人となる。コロナ禍直前の2020年2月比では、351.1万人増加してきた(前月は392.9万人増)。そのうち、米国生まれは12.9万人増(前月は37.6万人増)である一方で、海外生まれは338.2万人増(前月は355.3万人増)と、労働力人口の回復は不法入国者を含めた移民がけん引してきたことが分かる。12月の前月比の増減をみると、米国生まれが2カ月連続で減少したほか、海外生まれは4カ月連続で減少した。

チャート:米労働力人口(季節調整前)、米国生まれと海外生まれの比較

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(出所:Street Insights)

労働参加率は海外生まれが前月の66.3%→65.7%と2024年1月以来の水準に低下したほか、米国生まれも前月の61.7%→61.4%と24年1月以来の水準に下振れした。なお、海外生まれは就労ビザを取得して入国した者が多いほか、家族に頼れない事情もあり、米国生まれを上回る傾向が強い。

チャート:労働参加率、米国生まれと海外生まれの違い

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(出所:Street Insights)

就業者数も労働力人口と同じく、海外生まれがリード。海外生まれの就業者数は2020年比で303.2万人増(前月は312.6万人増)だった一方で、米国生まれは同24.5万人増(前月は31.3万人増)にとどまる。12月の前月比では海外生まれが4カ月連続で減少、米国生まれは2カ月連続で減少した。就業率は海外生まれも63.3%→62.9%と23年1月以来の水準、米国生まれが前月の59.2%→59.1%と4カ月ぶりの水準へ下振れした。

チャート:米国生まれと海外生まれ、就業者数の比較

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(出所:Street Insights)

チャート:米国生まれと海外生まれ、就業率の比較

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(出所:Street Insights)

全米の失業率は4.1%と前月の4.2%から改善したように、労働力人口が減少した米国生まれと海外生まれ共に低下した。海外生まれの失業率は5カ月ぶりの高水準だった前月の4.5%→4.3%へ米国生まれも前月の3.9%→3.7%と8カ月ぶりの水準へ低下した失業率は低下したがとはいえ労働参加率につれた動きであり、就業率の下方向が示すように労働市場の改善とは判断しづらい

チャート:米国生まれと海外生まれ、失業率の比較

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(出所:Street Insights)

--今回の雇用統計の詳細のポイントは、以下の通り。

①平均時給は前月比で市場予想と一致したが、13業種のうち8業種が前月比0.3%以上となり、賃上げ圧力の低減にブレーキか。

働き盛りとされる25~54歳の男性の労働参加率は、白人を含め25~54歳と25~34歳で低下。高スキルの職探しが困難なだけでなく、パートタイムの増加を踏まえればサービス業の低賃金の求人が増えたため男性の働き盛りの求職需要を後退させている可能性も。なお、2024年9月以降、航空大手ボーイングや通信機器シスコシステムズ、メディア大手パラマウント、自動車大手ステランティス、食品大手カーギルなど大規模な人員削減計画を発表。

③労働参加率は男性が横ばいで女性は低下、女性は働き盛りで労働参加率が上昇しており、男性と対照的。男性の労働参加率改善が16-24歳の間であることも注目。男女の失業率は労働参加率が横ばいの男性と、労働参加率が改善した女性で、そろって低下。

④人種別では労働参加率が上昇した白人とヒスパニック系は上昇、黒人は変わらず、アジア系は低下するなか、失業率は全て低下。ただし、男女別でみると以下の通りで、労働参加率が改善し失業率が低下したのは黒人女性のみで、そのほかは基本的に労働参加率の推移につれた動きに。

画像:労働参加率と失業率、人種別の動向

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(出所:Street Insights)

⑤学歴別では、大卒以上の労働参加率が低下したにもかかわらず、大学院卒の失業率は上昇。やはりホワイトカラー職が減少か。

⑥季節調整前の数字ながら、海外生まれは労働参加率が著しく低下、失業率が改善。米国生まれも労働参加率につれ失業率は低下。就業率は海外生まれも米国生まれも低下しており、失業率の改善が労働参加率の低下、すなわち職探しをする失業者の減少が主因であると考えられよう

――以上の結果を踏まえると、非農業部門就労者数(NFP)が25.6万人増など好調な結果だったものの、詳細を踏まえると質的に改善したとは言い難いその他、失業率などを含めた家計調査は今回、季節調整の改定があり、例えば黒人女性の失業率は2024年11月の6.4%→5.9%へ大幅に下方修正されています。米12月雇用統計は、バイデン政権最後の米雇用統計となり、有終の美を飾ったといえますが、好調な数字が今後も続くのかは疑問が残ります。

(カバー写真:The White House/Flickr)

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