This Chart Tells Why June FOMC Had No Surprise.
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、4月に続き6月もサプライズなしで幕を閉じました。
どうしてもタカ派に振り切れない理由でもあるかのように、大きな変化を回避しているかのようです。
理由があるとすれば、やはり労働市場ではないかと。米5月雇用統計では、リセッション以来失った雇用が回復したと指摘させていただきました。
しかし、労働市場の回復実体はというと・・・。
2008年1月以降からみた雇用回復は、以下の通りなんです。
(出所 : Marketwatch)
ご覧の通り、オバマケア始動の関係でヘルスケアが最も多いほか外食サービス、社会福祉、教育、派遣などが続きます。逆に製造業を始め建設、IT、金融など、時間当たり賃金が平均を上回るセクターほど、まだまだ雇用は喪失されたままなんです。
ちなみにリーマン・ショックがNYを直撃してまもなく、NYのウォールストリートからほど近いステーキハウスでは、受付係に男性が登場しました。彼はつい金融危機の発生前まで、某大手証券で株式セールスを担当していた人物だったのです。日本ではかつて失業者が増加するとタクシー運転手が増えるといわれましたが、NYではレストラン軒数が比類ない水準なせいか専ら飲食に移るケースが多いんですよね。
もうひとつ、重要なデータをご紹介しましょう。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙はFOMC直前に、Fed番記者ヒルゼンラス氏の署名入りで「Will Holding Down Rates Spark Inflation Without Helping the Long-Term Unemployed」と題した記事を配信しました。記事によると、期間6ヵ月以上の長期失業者数は4年前に680万人でしたが、今ではその半分だといいます。
グッド・ニュースのように聞こえますが、この数字には裏があります。
当時の長期失業者だった5人のうち、定職にありついたのはたった1人。他の4人は求職活動をあきらめたかパートタイムとフルタイムを転々としている状況で、とても雇用が回復したとは言えないのです。そういえば以前に広告代理店に勤務する友人の誕生日パーティーでは、同僚ながらフリーランスの比率が多かった。しかも3−5年と長期にわたっており、正社員への転身がいかに困難か思い知らされたんですよね。
確かにイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の指摘する労働市場の「たるみ」-1)不完全失業者、2)長期失業者、3)賃金、4)労働参加率--のうち、確かに1)から3)は改善を確認しています。
しかし労働参加率が約35年ぶりの水準で低迷しているだけに、少なくとも1)と2)の改善は、数字上に過ぎない可能性が残りますよね。上記のチャートをみれば、とてもではありませんが労働市場がグレート・リセッション以前の水準を回復したとは言えません。Fedはそんな事情を認識し、単月でインフレの芽を確認しながらもタカ派シフトに二の足を踏んでいるのではないでしょうか。
(カバー写真 : blogs.reuters.com)
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