ブラック・ヒストリー・マンツ、本当にお祝いしてる?

by • February 16, 2010 • NY TipsComments (0)3927

2月は、全米でブラック・ヒストリー・マンツとなっております。なぜ2月かと申しますと、提唱者であり歴史家のアフロ系アメリカンであるカーター・G・ウッドソン氏が、奴隷制の継続に反対を訴え南北戦争を導いたリンカーン大統領と、奴隷制廃運動止の開祖と言えるフレデリック・ダグラス氏の誕生日がそろって2月だった点に目を付けたから。

リンカーン大統領は2月12日、ダグラス氏は2月20日の誕生日なんですよ。アフロ・アメリカンの地位向上に偉大な功績を築いた2人に敬意を表しているわけですな。

↓元奴隷のフレデリック・ダグラス。逃亡を繰り返し勝ち得た自由でした。

My Big Apple

この時期には音楽専門チャンネルMTV、Vh1、そして当然ながら本家本元Black Entertainment TVであるBETなど、そろってアフロ・アメリカン啓蒙活動にいそしみます。タイム・ワーナーもアフロ・アメリカンのコメディアン特集番組を組んでましたね。

2月を意識してか、約10年ぶりにニューアルバムをリリースしたシャーデー、ファースト・シングルに選んだソルジャー・オブ・ラブ のビデオ・クリップのラストシーンに、顔を地面に向けつつもコブシを握りながら片腕を空高く突き上げる、というポーズを採用してましたね。これ、黒人公民権運動グループ、ブラック・パンサーのポーズですよ。

↓1968年のメキシコ・シティ五輪にて。公民権運動の象徴たる1枚です。ちなみに、このポーズはブラック・パワー・サルートと呼ばれてます。

My Big Apple

ブラック・ヒストリー・マンツ、他人事として聞いていると意義深さを感じますが、実は当のアフロ・アメリカンから批判されてます。反対派はイスラム系のアフロ・アメリカンや急進派が占めるほか、俳優のモーガン・フリーマンも「There’s no White History Month」と苦言を呈してますね。個人的にはシェルビー・スティール博士が著書「黒い憂鬱」 で記したように、アファーマティブ・アクションなどを通じた偽善的な匂いのする黒人の地位向上には反対なので・・・ブラック・ヒストリー・マンツにも、違和感がないとは言えません。

ブラック・ヒストリー・マンツに「黒」という言葉が入っているからというよりも、ひとつの米国の歴史として受け止められないかな、と思うんですよね。非常にデリケートな問題ですけど・・。

ところで、このブラック・ヒストリー・マンツにちなみ、NBCの食堂でこんな貼り紙が出されました。

My Big Apple

ブラック・ヒストリー・マンツなだけに、アフロ系アメリカンのお気に入りとされるフライド・チキン、コラード・グリーン(コラード葉の煮付け)、ハラペーニョ・コーンブレッドなどが並べられたわけです。俗に言うソウル・フードに当たるメニューに怒りの矛先を向けたのが、NBCのジミー・ファロン・ショー のメインバンド、ザ・ルーツ のドラマー兼リーダーであるクエストラブ。自分の雇用者に楯突いたわけです。

↓コラード・グリーン。見た目どおりベチャベチャしていて、私あんまり好きじゃないです・・。

My Big Apple

しかし、オチがありまして・・・。何とメニューを考案したシェフ自身が他ならぬアフロ系アメリカン女性で、NBC食堂のローザ・パークス(黒人公民権運動のシンボルとなった女性)とのニックネームがあったほどなのですよ。彼女自身、「They’re just good stuff」と誠にシンプルな見方からメニューに載せた理由を説明してまして・・・クエスト・ラブ、彼女と和解したことは言うまでもありません。

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