久々に、米大手金融機関のエコノミストの方と、ちょい飲みへ。米経済動向の見方をおうかがいしようと思ったわけです、はい。相手方から指定されたお店は、Ninth Ward。半月ほど前にオープンしたばかりなんですよ。
午後7時半過ぎ、まだ明るい日差しに目をくらませながら到着して、店内に足を踏み入れます。外の明るさとは裏腹に、間接照明オンリーのほの暗い店のなかでは視界が定まらない。ちょっとした低い階段を下りるにも、目をしばたかせなければならず、乱視の私は床を踏みしめなければいけません。
↓こんな浅い階段でも、明暗のギャップから距離感がつかめなくって。
ようやく目が慣れてエコノミストの方の人型を見つけ、席に着きます。Ninth Ward=ミシシッピ川の下流にあたる地域の名称が指すとおり、ここはニューオーリンズの香りただようお店。同地出身のオーナーみずから、ストリートを駆け巡り、壊れかけたステンドグラスや、打ち捨てられた石造・木造の像を引っ張って来て、デザインしたそうです。そんな店内なので、新しさはまったく感じられず。むしろマントルピースのふちどりすら、アメリカの歴史をたっぷり吸い込んだかのようです。
生ビールはベルギー産のブルームーンや ブルックリン産のビールのほか、もちろんニューオーリンズが誇るアビータもございますよ。ご飯もケイジャン料理、レッドビーンズを使った南部の味を楽しめます~。
↓アビータ。次回はこれにチャレンジします!!
ここ、奥には庭園がございます。マンハッタンの喧騒のなか、蔦に絡まれた空間においてニューオーリンズの郊外にいるようです。ゴシックな小ぶりの噴水や石造は、マルディ・グラで知られるニューオーリンズなだけに、ラテン風味が融合され、何だか香ばしいような。
↓ゴシックなステンドグラスの向こう側に、庭園があります。
お店の雰囲気に酔いしれつつ、景気動向について質問。なんでも彼のお知り合いのUBSのエコノミストは、「米景気が二番底にまみえるなら、引退してやる!!」と宣言したんですって。でも彼いわく「でもさー、彼もう60を超えてるでしょ?だからそろそろ引退してもおかしくないよね」だなんて、苦笑いされてました。まぁ彼も、二番底は想定してはいないそうなので、意見は合うようですが。
経済とは別件ですが、個人的に面白いと思った話。彼はもともとFRBで勤務していたバリバリのエリートだったのです。しかし33歳のとき、上司との摩擦が元で退職を思い立ったとか。結局、退職するまでに数年を要したものの、このときが彼の人生のボトムとなったんですって。
33歳と言えば、日本では女性の厄年なんですよ、と相槌を打ちながらお伝えすると、彼は「そういえば、キリストが十字架にかけられたのって、33歳だったよね」と続けます。キップリングは「East is East and West is West, and never the twain shall meet」と詠いましたが、なかなかどうして宗教も文化も超えて東西つながるものだ、と実感するのは、こういうときですよね。
↓キップリング。ちょっとワトソン君な雰囲気と思うのは私だけ?
ちなみにエコノミストの方は33歳の経験をきっかけに、民間エコノミストへの道を切り開いたんだとか。そこはやはりカジュアルながらキリスト教徒、「やっぱ復活しないとね」ですって。
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