エンパイア・ステート・ビルディング(ESB)と言えば、映画キングコングでNYのランドマークとしての地位を確立し、現在でもシティの象徴として君臨しております。34丁目に立つひときわ高い摩天楼で、周辺を圧倒する存在感はさすが。
ところが、NY市議会を承認したある計画により、ESBに激震が走りました。
ESBの管理会社Malkin側が強く反対していた、スカイスクレーパー建設に許可が下りたのです。ESBの西側2ブロック先にあるターミナル駅、ペン・ステーションに建設される15 Penn Plazaが誕生すれば、ESBのすぐ真横に両雄が並ぶ立つことになります。
↓完成すれば、こんな風景になります。Vornado Reality Trustが建設にあたります。
ESBは言わずと知れた、1931年に完成した歴史ある摩天楼。展望台が102階を数えるだけに1250フィート=381mにもおよびます。電波塔を含めると、1453フィート(443m)におよびますから、キングコングの目に止まるはずでよね~。ワールド・トレードセンター(1776フィート、541m)亡き後はNYでナンバーワンの高さを誇ります。ESBに弊社オフィスを構えていた当時は、76階という事情もあって、眺望はすこぶる良好!ただ高層すぎて、曇りだと思って傘をささずに外に出ると、実は雨が降っていた、ということがよくありました。
ちょうどダウンタウン、ブルックリン、ニュージャーを見下ろせるため、夜ともなれば絶景でした。母、伯母、友人が旅行に訪れたときは、たっぷり満喫してもらったものです。
15 Penn Plazaは67階建てとESBよりはやや低め。とはいえ、1216フィート(370m)と、ESBと10mほどしか変わりませんから、ESBの管理会社Malkinとしては地位危うし!ということで大反対してました。
NY市議会が47対1と圧倒的は票数で可決した背景は、やはり雇用の確保が大きかったようです。クリスティーナ・クィン議長は「NYには第二のクライスラー・ビルディング、あるいはロックフェラー・センターが必要」と語っておりましたが、15 Penn Plazaの建設で8000件ものフルタイム雇用が確保されるといいます。さらに6000件の雇用を生み出し、33億ドルもの経済効果をもたらすと試算されてまして、かつ女性やマイノリティの雇用も15%割り当てられるそうです。
これじゃ、Malkin側が「NYの摩天楼のユニーク性を損なう」と反論しても、聞き入れてもらえないはずですね。
↓管理会社CEOのAnthony Malkin。2006年にESBを手にしたときには、想像だにしていなかったことでしょう。
ただESB、エコ・スカイラインを目指した計画がありますので、新たな魅力が引き出されるかと。管理会社のMalkinは、200万ドルをかけてヒート・プロテクト・ウィンドウを設置することを決定。2013年までに終了すれば、38%もの電力カットにつながるそうです。何でも、温暖化現象を抑制するためクリントン元大統領が設立したクリントン・イニシアチブの流れを汲んでいるとか。単に最も歴史のある、かつ最も高層のビルとしてだけでなく、NYのエコ活動の最先端を行くスカイスクレーパーとして名を馳せたりするかもしれませn。
Comments
POP Burger、ハンバーガーの名に騙されるなかれ Next Post:
夏が終わる前に、Let's get grilling!!!