ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙、米国版にて「Dollar’s Fall Roils World --ドル安、世界を混乱に巻き込む」と題した記事を一面に掲載いたしました。
ドル実効相場は約9カ月ぶりの安値を示現し、9月15日の日本政府の介入をはじめ、ドルの下落に歯止めが掛からず、各国は我先にと自国通貨売り・ドル買い介入を実施しています。こうした状況を受け、ブラジルのマンテガ財務相は業を煮やしたのか、9月27日に「国際的な通貨戦争」の勃発を宣言。「我々は国際的な為替戦争の真っただ中にあり・・世界各国は為替水準を弱めようとしている。これは我々の為替における競争力を阻害する危険が潜む」と警戒を明らかにしました。
ユンケル・ユーログループ議長も、8日に
ユンケル・ユーログループ議長
「ユーロドルの1.4ドル台は適切ではない」
「ユーロは現在強すぎる」
「人民元は過小評価という表現では足りない」
と、気焔を吐きました。ここまで直接的な表現を選択するのも珍しい。いかにキレてるかが分かると言うものです。
↓ユンケルさん。黄帝液飲んじゃったのぉ?
前日、欧州中央銀行(ECB)定例理事会後の記者会見で、トリシェ総裁が
「為替動向は経済のファンダメンタルズを反映すべき」
「『強いドルは国益』とする米国に同意する」
と言及するにとどまり、いつものユーロ高けん制文句「荒っぽい(brutal)」とは口にせず、市場に釘を刺さなかったことへの不満なのでしょうか。ちなみにトリシェお爺ちゃーん、ガイトナー米財務長官は6日に
「通貨政策には打撃を与える力関係がある」
「輸出依存の国は政策を変更すべき」
「経済大国は回復を支援する必要がある」
「経済大国の低成長は世界回復のリスクに」
と発言しましたが、「強いドルは国益」なんて一言も発してませんよ・・・。ドル安に対する、完全なビナイン・ネグレクト(静観っていう訳語が合うかしら)ですな。
↓だって追加緩和策出ちゃうだろうしさ~、オバマは輸出促進政策打ち出してるしさ~、仕方ないじゃーん、と言わんばかり(?)のガイトナーさん。
Anyway、折りしも週末にワシントンで開催されるG20財務相会合を控え、WSJ紙は満を辞してドル安問題を取り上げたかたちです。ただ記事では、G20という枠組みでドル急落防止に向けたグランド・デザインは築かれる可能性は低いとしています
記事では、米連邦公開市場委員会(FOMC)の量的緩和策第2弾、NY市場関係者の間で言われるところの「QE2」への期待から、資産買取→米国債の買い→米債利回り低下→ドル安との連想を招き、ドルが下落していると指摘してますね。その上で、ご丁寧に写真付きで
Greenback Hits New Recordsと題して
①Record Low For Dollar VS. Swiss Franc
ドル、対スイスフラン(CHF)で過去最低を更新
②27-Year Low VS. Australian Dollar
ドル、対豪ドルで27年ぶり安値
そして
③15-Year Low VS Japanese Yen
ドル、対円では15年ぶり安値
とキャプションをつけています。しかし・・・・・。
これはないでしょ。
↓トップ記事。右端の写真にご注目。あれ、なんかおかしいと思いません??
よくみてみましょう。
あれ
あれあれ・・・?
↓日本円のお札、写真ちゃうやん!!!!
毛沢東らしき人物が描かれていることから、人民元でしょう・・・。これ、国内総生産(GDP)の世界第2位、そして米国保有高第1位を中国に奪われた、日本への皮肉なんですかね。
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