※お仕事原稿を時間差を置いてUploadしたものです。いつものおちゃらけ内容とは異なりますので、悪しからず。
～値上げの影で、09年のニューヨーカーの所得は40年ぶりに減少～
ニューヨーク州都市交通局（MTA）は8日、地下鉄料金の値上げに踏み切った。9億ドルもの膨大な赤字を計上する見通しのなか、赤字縮小が値上げのねらい。今回の決定を受け、働くニューヨーカーの定期券とも言える1カ月フリーパスの価格は、12月30日から現行の89ドルから17％上昇の104ドルへ引き上げられる。その裏で値上げの負担が重くのしかかるニューヨーカーの所得は、2009年に約40年ぶりに減少を記録しており、働けど働けど給与は生活を支える資金へ消えていくこと必至の状況だ。
今回の値上げで、地下鉄料金は全米ナンバーワンに
NY市内を縦横に走るニューヨーカーの足、地下鉄の料金が再び値上げされてしまう。NY州が92億ドルもの財政赤字に直面することから、同州から1400万ドルに及ぶ支援をカットされてしまったことが一因だ。今回の措置を受け、実に5年で4回目の料金引き上げとなる。東京の営団地下鉄が少なくとも初乗り料金を160円で15年以上据え置きしていること踏まえると、驚異的な頻度だ。
今回の値上げにより、初乗り料金は2.25ドルから0.50ドル引き上げられ2.50ドル、1週間フリーパスは27ドルから29ドルへ引き上げられる。そして働くニューヨーカーの定期券の役割を担う1カ月フリーパスの料金にいたっては、実に17％増の104ドル。今回の引き上げにより、収入を前年比で7.5％増となる見通しだ。9億ドルに膨らむ赤字を補てんするため、1週間に850万人とも言われる地下鉄利用者から吸い上げることとなる。
MTAは値上げだけでなく、リストラにも手を広げている。職員のカットを進めつつ残業時間の削減を目指し給与を抑制する構えだ。値上げに踏み切る以前には、赤字の路線であるW線をはじめバスの一部路線なども廃止・統合を決定。今回の値上げの前に、サービス削減で特にマンハッタン以外に住むニューヨーカーの無念をあおったとも言えよう。
1カ月フリーパスが100ドルを超えるのは、実は全米では初めてではない。すでにフロリダ州のマイアミが100ドルと大台に乗せていた。とはいえNYはこれで全米一高い地下鉄料金を誇ることとなる。なお他の都市と比較すると、NYの大動脈とも言える地下鉄の料金は異常に高いことが一目瞭然だ。車社会という背景もあってか、カリフォルニア州ロサンジェルスは75ドル、ペンシルベニア州フィラデルフィアで85ドル、オバマ米大統領のお膝元であるイリノイ州シカゴでも86ドルに過ぎない。
↓「予算削減のため、路線カット」の文字が痛々しい
財政難で、税金負担が重なり生活費はうなぎのぼり
リーマン・ショックの余波を引きずる2009年、金融危機のグラウンド・ゼロとも言えるニューヨークの所得は前年比で4.1％減少した。実に約40年ぶりに減少に転じている。米国全体の平均が1.8％減であることを踏まえると、世界の金融市場の中心地に残る、景気後退の爪あとの深さがうかがえよう。
所得減少の影で、ニューヨークでの生活費は、NY州の財政難を背景にうなぎ上りといっても過言ではない。地下鉄の料金の値上げに加え、これまで服飾・靴類などを対象とした消費110ドルまでなら税金を徴収しなかったところ、10月1日からは厳密に州の消費税4％が課され始めた。またタバコの税金が新年度入りの7月から、1箱当たり2.75ドルから4.35ドルと1.6ドル引き上げられたことは、記憶に新しい。これによりNY市税分を合わせたタバコ税は従来の4.25ドルから5.85ドルに増税され、ウォールストリート周辺でのマルボロ・ライト1箱の値段は約12ドルと全米で最高となったことは、既に伝えた通りである。
税金や地下鉄料金だけではない。生活の基盤である住居にも、値上げの影が忍び寄る。これまで大家は新規契約者には2－3カ月家賃無料、また既存のテナントには契約更新に値下げキャンペーンを張ってきた。しかし足元、米4－6月期空室率が7.8％と3年ぶりに低下を示現したように需要が回復したためか、家賃の値上げに踏み切る大家が増加中なのだ。筆者の近所に住むヘアスタイリストからは「100ドル以上も家賃が上げられたので、クィーンズに引っ越したんです」との報告が聞かれる始末。挙句の果てには、筆者のアパートの真横に住むファッション・バイヤーも「うちのアパート、地下をレストランに改装するらしく家賃が150ドル上がっちゃったんです！」と泣きついてきた。
次々に降りかかる生活負担に根を上げ、筆者も今年禁煙を決めただけでなく、アルコール消費を大幅にカットしたばかりである。
↓オバマ政権の文句言いたくなるの、分かります・・。
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about the author: Sawako
