女性のエレガントに揺れるカールに心を奪われ、視線を彼女の手元に走らせた後、欠けた爪先に潤いの欠片も感じられず、失望を禁じえなかったことはありませんか?
ここが、まさにそれ・・・。
Tudor Placeという、ミッドタウンはイーストリバー沿いに小高くしなる丘の上に立つレストラン。それが今回の主役Convivio です。イタリアン・レストランです。南イタリアの味を再現させながら、ニューヨーカーの肥えた舌に水準を合わせ粋を極めたお店と伺っておりました。しかも、Opentableをはじめ、レビューは常に星5つから4つ。お値段もお一人様50ドル以上ですから、カジュアル・モダンを越えてビジネス・クラスのイタリアンなはずだったのです。
↓NYの名店、という風格を感じません?
外観から重厚かつ壮麗で、期待を抱かさずにはいられない。扉を開けると、皮張りのソファを赤いランプが照らし、さながら欧州の社交クラブのよう。入って右に曲がると、別世界のように真っ白な壁が店内をめぐり、途端に欧州の退廃から南欧のまぶしさを感じます。L字型の店の奥の席に通され、ひと息。さてメニューをざっと見渡してウェイトレスさんを待ち構えたところ・・・。来ない!!!結局、水だけで15分近く待たされたでしょうか。
↓赤い光が妖しい。秘密クラブみたい!
やっとのことでワインのボトルをいただいたものの、オーダーした品は待てどくらせど、出てきません・・・カルパッチョやアンチョビを載せたブルスケッタだけでも、テーブルに並べられるまで20分以上はかかったでしょうか。席に通されてから、合計30分以上は経過したかと思われます。しかもマグロのCrudo di Tonno、オクトパスのPolpoなんて、味気のなさったらありません。弾力性に欠けるシーフードなんて、久々でしたね~。アンチョビだけは本場を仕入れているのか、酸味がスッキリ利いた美味でございましたが・・・。
極めつけはポークですな。Braised=蒸し煮というフレーズに惹かれ、Anissaでの体験を思い出してStinco di Maialeを注文したのが、玉にきず。これが骨付きのドタ煮のような無粋さで、愕然として食欲が減退してしまう有様でした・・・。連れのカリビアンも、これには辟易してちょっと手をつけただけでフォークを置いてましたっけ。
↓シックもモダンも、へったくれもない・・・。
個人的に一番打ちひしがれてしまったことには、PATATE PECORINOと呼ばれたサイドディッシュのポテト。実は大のフレンチフライ好きの私のために、ここをチョイスして下さったというのに・・・。ポテトの蒸し焼きなりそこないで、ホトホト食べる気もしません。私はいつもフレンチフライにマヨネーズを和えるのですが、ウェイターさんに尋ねると、軽く眉根を寄せられ「We have no mayo」と断られてしまいました・・・。おそらく広い店内をさばくのに忙しかったことと、マヨネーズなんて無粋な、という2つの不快感に苛まれたのでしょうね。でも、これはいけません。値段の割には、サービスの質も味も、実に残念なお店でございました。
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