5月21日、地球最後の日を目前に14万ドルはたいた男

by • May 18, 2011 • NY TipsComments (0)1205

ある日の週末、ユニオン・スクエアから自宅へ向かうため4-6番線のホームに立っていたのです。すると大声で「Prepare the doomsday!」などと声を上げながら歩く男性に、私の友人のハイチ人、しおり型の紙を押し付けられました。私にも差し出してきたのですが、頑なに目をそらし完全無視して、やり過ごしたんです。

不審に思って友人の手にのせられた紙をみると、「Judgment day May 21st」などと書き込まれた、地球最後の日を予言する怪しげなパンフレットだったんです。どおりで、「Doomsday=破滅の日」だなんて、不吉なことを叫んでるはずですな。

当時はやり過ごしていたんですけど、通勤のため7番線に乗って唖然。車両広告に5月21日・世界終末論をデカデカとアピールした広告が掲げられていたんです!バスの停留所でも見かけられるようになり、露出の高さに驚きしかりでございます。そのうちNY地元フリーペーパーのメトロをはじめ、フォックスやCBSなど各局地方ニュース番組で取り上げられるまでになりました。

実はこの地球最後の日を予言した広告、元MTA職員であるロバート・フィッツパトリック氏、60歳の手で成し遂げられたんです。彼は2006年に引退してから、カリフォルニアの福音伝道師ハロルド・キャンピング氏に心酔。キャンピング氏が聖書を元に世界終末の日を2011年5月21日とはじき出し、大震災によって世界が滅亡すると予言したところ、引退して余生を送るフィッツパトリック氏の目に止まったんですな。

↓NY地元フリーペーパー、メトロ紙からの一枚。なんとなくシュールなフィッツパトリック氏。

My Big Apple

フィッツパトリック氏は予言を妄信した挙句、せめてニューヨーカーに真実を伝えようと、あろうことか退職年金14万ドルを解約。MTA関係の広告費に使い果たしたんです。

内訳はというと。

1)MTA地下鉄の広告費 約9万ドル

2)バス停留所の広告費 約5万ドル

個人的には、MTA元職員として財政赤字に耐えかね、私財を投げ打ったと思いたいところ。

ちなみに、イスラエル時間の5月21日の午前12時に大地震が世界を襲うそうなので、ニューヨーク時間ではまだ5月20日の午後5時ですかね。フィッツパトリック氏いわく「予言を理解するものは、他者に伝える義務を負う」、カッコ良く自身の使命を全うする理由を語っていましたけど、せめてNY時間に直してほしかったところです(笑)。

もちろん、一般の方は私を含めだーれも信じてません。そもそもキャンピング伝道師、1994年当時も9月7日が「地球滅亡の日」と予言してたんですよ。しかも予言を信じる者は「all those in the know will be saved in the rapture」って・・・。こういう意味の分からない理由で説得できるなんて、ホントに恐ろしい思い込みです。

↓キャンピング氏、御年79歳でバリバリ現役の伝道師とは、ある意味敬服に値するかも?

My Big Apple

なぜ2011年5月21日かという疑問を大雑把に説明すると、ノアの箱舟が誕生するきっかけとなった大洪水の発生が紀元前4万9900年で、2011年はそれから神が警告した7000年後にあたるそうな。また聖書にある過ぎ越しの日に関連し、かつキリストが十字架にかけられた日らしき西暦33年4月1日からちょうど72万2500日にあたってどうのこうの・・らしいんです。

ま、正直こんなお話がニュースになるだけ、ニューヨークが平和だということでしょうか。

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