ストロスカーン前IMF専務理事、懲役受刑者並みの扱いに疑問

by • May 23, 2011 • NY TipsComments (0)1710

前週末にヘッドラインをみて、思わず飲んでいたお茶を吹き出してしまった、IMFのストロスーン専務理事の逮捕劇。今さら説明の必要がない事件ですね。

日本やニューヨークでも報道されるように、フランス人の57% が逮捕につき次期仏大統領候補の失脚をねらった「陰謀」と予想。社会党寄りのフランス人の間では、70%にも及ぶんですね。

フランス人の友人がアメリカ人を「無礼で横暴」と不満をあからさまにしていただけに、個人的には陰謀説よりも、ストロスカーン容疑者に対するNY市警の扱いに違和感と興味を抱いた次第。逮捕した経緯から、手錠をかける必要があるのでしょう。しかし14日の逮捕後、アップタウンにある性犯罪特捜班の留置所 を経て16日にライカーズ・アイランドに拘留されたという事実に、フランス人でなくとも大いなる疑問が湧き上がったんです。

↓日焼けした肌と無念の表情のコントラストが印象的。

My Big Apple

なぜかといいますと。

ライカーズ・アイランドといえば、懲役が決定した実刑犯が行き着く先。つまりは正真正銘の刑務所です。最近ではラッパーのリル・ウェインや同じくラッパーのフォクシー・ブラウンなんかが収監されてましたっけ。とにかく、彼らは裁判を経て犯罪者がたむろする絶海ならぬイーストリーバーにポツンと浮かび、たった一本架かる橋でのみ出入り可能な孤島に護送されたんですな。

いわば、IMF専務理事として欧州債務危機に尽力した世界金融の功労者を、実刑者がたむろする刑務所に容赦なくぶち込んだ、ってことになるんです。フランス人じゃなくっても、眉をひそめたくなります。

↓実はラガーディア空港(紫色の部分)があるクィーンズの、目と鼻の先にあります。

My Big Apple

気になってニューヨーカーに聞き込み調査をしたところ、以下が通常の逮捕から実刑判決までの行き着く先です。実刑者や刑事弁護士の方々にうかがったワケではありませんから、正確とは言いがたいですが、ご参考までにどうぞ。

1)逮捕直後は最寄りの警察署にある留置所で拘束

2)立件から裁判で判決が出るまではセントラル・ブッキングで拘留

→いわゆる拘置所。マンハッタンではNY市庁舎があるロウアーマンハッタン近く、チャイナタウン寄りにあり。

NY市の5つの区、マンハッタン (レビューがウケる!)、クウィーンズ、ブルックリン、ブロンクス、スタッテン・アイランドにそれぞれ5ヵ所はあるそうです。

3)ライカーズ・アイランドをはじめとした市立刑務所へ収監

→いわゆる刑務所。裁判で実刑が言い渡された犯罪者向かう場所です。銃器所持容疑で有罪が確定したグラミー受賞者リル・ウェインも、実刑判決が申し渡された後で護送と相成りました。

4)行き着く刑務所の違い

群立・市立、州および連邦刑務所で拘留する違いは、群立・市立の場合刑期が1年以下、州・連邦の場合が1年以上の刑期。群立・市立刑務所の場合は英語で「jail」、州・連邦刑務所の場合は「prison」と、呼び名が異なります。

ストロスカーンさんも、いきなりライカーズに投げ込んでしまうより、せめてセントラル・ブッキングに拘置できた気がするんですけど・・。

↓ソフィテルのスウィートから、わずか48時間内でライカーズへ真っ逆さま。

My Big Apple

性犯罪に厳しいアメリカですから、権力者といってもあくまで強い姿勢で対応に臨んだというところなのでしょうが。まだ逮捕された段階で、ここまで有罪判決者のような扱いを与える必要があったのかと不快を禁じえません。

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