金曜の夜、赤坂。エスカレーターに運ばれ地上に出てまず気づいたことは、まだ酒気を帯びていないのに紅潮しているような人々の顔でした。週末を控え、会社から解き放たれる瞬間をビールの乾杯で味わおうと待ち構えているようで、コートの下からでも、沸き立つ心がはっきり見て取れました。
もちろん、私も例外ではありません。いくら休暇中とはいえ、週末のあの高揚感に触れれば、元来享楽的な私ですから「触れなば落ちん」、という言葉そのままにほだされてしまいます。待ち合わせの時間通りに、今夜のご夕食にご招待下さった方の姿を認めたときには、街に琥珀がかかったようでした。ビールの幻影が浮かんだわけです。
案内されるままに赤坂の街を抜けると、そこには鳥居が現れてきました。まさかと思ったら、そのまま鳥居を通り抜け、まるでどこかの山中にひっそりたたずむ参道のような階段をのぼります。赤坂を知らないと、金曜の宵の口に、わざわざこの向こう側を覗いてみようとは思わないはず。興味津々で小径を踏みしめていくと、やがてほんのり灯りが2つ、みえてきました。ここが今夜の夕餉をいただく「うまや」です。
↓隠れ家と呼ぶには惜しい。たたずまいだけで、和の美しさが花開く。
何でも料亭があった場所にスーパー歌舞伎の創始者である市川猿之助が新稽古場を建設するにあたり、九州・博多の味を届けるお店を立ち上げることになり、産声を上げたお店なんです。焼き鳥を中心に博多料理をそろえるメニューは、伝統という太い幹にこだわりという枝葉が広がって、ゆったりたゆたう時間を味わいつくすことができます。
↓ほんのり焼き加減なので、しっとりした噛みごたえがたまらない。
↓やっぱりこれ明太子、わが3大好物のひとつ。
↓からすみなんて、最後に口にしたのは何年前だっかすら不明。
うかがったお話も、お酒のお肴で済ますには、あまりに惜しいおいしいものばかり。原子力が融解点に達する「コールド・シャットダウン」が100度=沸点に当たるなんて、初めて知りました。日本に大挙して押し寄せる復興需要を見越した海外企業の野心、訪日したフィンランド人閣僚が口にした「深夜の午前2時半まで会議を重ねる」というアメリカ流ユーモア・・・ここにしたためきれないことが、いとくちおし、よよよ。
ちなみにフィンランド人閣僚がいわく、「過去3年間、危機は5つのサイクルを繰り返した--①危機が発生する、②緊急首脳会議を開く、③深夜の午前2時半まで会議を重ねる、④何とか妥協し画期的な合意だと発表する、⑤不十分な対応だと月曜にひじ鉄を食らう」。なかなかいいえて妙でしょ、③の「午前2時半」の下りと、⑤の「ひじ鉄を食らう」なんて、サイコーですね。アメリカも、ベア・スターン危機くらいから、この道筋を何度となく通ったことでしょう
そういう意味では、メルケル独首相には頭が下がります。なんせ12月21日から1月4日まで、ホリデー休暇を満喫されるんですから・・・。マーケットからいくらひじ鉄が飛んできても、ドイツの「鉄の女」は不感症なのかもです。
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