覚えてます?クリストファー・ウォーケンの華麗なステップとスパイク・ジョーンズ監督のコマ割りが人々の目を釘付けにした、あのファットボーイ・スリムのビデオ 。タイトルのWeapon of Choice=オレが選んだ武器というやつではありませんが、毎日の生活は選択で彩られてますよね。例えば毎日のお買い物は自らの意思で、自らの指で、自らが手にしたお金で選んだ商品をお買い上げしている・・・はず。
私が「はず」と指摘したのには、理由があるんです。こちらをご覧下さい。
P&G、クラフトフーズ、コカコーラ、ペプシコ、ケロッグ、マーズ、ユニリーバ、ジョンソン・アンド・ジョンソン、ネスレ、ジェネラル・ミルズなどの世界の大手企業がいかに人々の生活に密着した商品を提供しているかがひと目で分かりますね。ドイツの高級ファッション・ブランドのヒューゴ・ボスがP&Gの傘下にあるなんて、お恥ずしながら存じ上げませんでした。
この画像はウェブ分析・マーケティング界の奇才Avinash Kaushik氏のフェイスブック で紹介されています。同氏のコメントでは
「The Illusion of Choice.--This wonderful visualization shows how amazing marketing can be. 10 companies in the US control almost 100% of the “choices” that we have when it comes to consumer products. We feel that we have a choice, but not really.」
(この素晴らしい図をみると、いかにマーケティングが卓越しているかが分かる。たった10社が、米国の消費財のほぼ’『選択肢』の100%を支配しているんだから。僕達は選択肢をもっていると感じているけれど、そうじゃないんだ。)
しかも毎日、TVの視聴者は大企業が垂れ流す大量のCM漬けですしね。個人的にCMはクリエイティブの観点から好きですし、人々の心をわしづかみにするたった1行のキャッチ・コピーの威力に圧倒されたりしますよ。「我々は虐げられた99%だ!」なんてウォール街を占拠せよ!のごとき反キャピタリズムに走る気はないですけど、一握りの会社に牛耳られているとの認識は、心地よくはないです。
↓クリストファー・ウォーケンも、思わず壁をよじのぼっちゃうくらいオドロキの事実。
思い出したのは、塩野七生氏がエッセイで書いていたお話。共産主義世界の人々が自由を渇望し脱出したものの、配給に慣れた生活ゆえに毎日食べるものから職業、衣類まで選択することに疲弊し、ウィーンにある収容所へ足を向けたというものです。人間にとって、自由って幻想であった方がいいのかしら。
Comments
NYのアパート事情、ロングアイランド・シティでも家賃は高騰止まらず Next Post:
The Nationalでは、国民的有名シェフがまさかの饗宴