夜遊びライフから遠ざかってはや1年以上。最近はブログでご想像いただけるように、めっきり妖気漂うナイトライフに足を踏み込んでおりません。最近なんて金曜にどこにも出掛けず家でまったりなんて、しょちゅう。数年前まで金、土はクラブ活動し、日曜までもブランチ・パーティーに出掛けてたなんて我ながら信じられません。家人がアンダーグラウンドを中心としたハウスミュージック派、私がどちらかというとヒップ・ホップ風メインストリーム派とキッパリ分かれていることも、クラブから遠ざかった理由でもありますが・・。
あまりにナイトライフからかけ離れた生活を送るなかで、キャッチアップしようとプロモーターのアメリカ人に近況を聞こうとお茶をすることにしました。彼は、NYで悪名高いミッドタウンの横綱LAVOをはじめミートパッキングのKiss and FlyやらRDVを手掛けるプロモーター兼デイトレーダー。1年半ぶりに会うのに決めた場所は、ソーホーの憩いのオアシス、クロスビー・ストリート・ホテル(Crosby Street Hotel)でございます。
クロスビーホテルは、チャーミングなインテリアに裏庭にあるテラスが開放的で私はよく利用するんです。セレブの方々もよく登場する場所で、この日はDef Jamレコードの創立者ラッセル・シモンズ氏がその姿を現しておりました。クラブでセレブを見慣れた彼でも、ラッセルというレコード界の大御所をみて、興奮を隠せないでいたのは、おかしかった。
↓クロスビーホテルのティールームはポップ過ぎず、上品過ぎず、バランスが妙。
紅茶を傾けながらなんてサマにならないと思いながら、おてんと様がサンサンと輝く午後5時過ぎにはお酒を飲む気になれず。アールグレーをすすりながら、最近のクラブ事情をインタビュー。開口一番、彼は景気良くLAVOで5万ドル(約400万円)使った男性がいたと報告してくれるではありませんか。「5G」の間違いかと思ったら、「50G」だというので、間違いありません。誰がそんな大金をはたいたかと思ったら、NYで創業した大手銀行のファミリーご出身の方でした。息子さんのお誕生日パーティーだったんで、大判振る舞いの極みだったんですね。
とはいえ、クラブシーンは景気の波を受けて変化を遂げておりました。数分後には「以前とは大分様変わりしちゃったね」と本音がこぼれてきたんですもの。かつて栄華を誇ったバンガロー8やクロバーからマンションへ姿を変えた大型クラブが建っていた23丁目周辺がギャラリー・ストリートに変化したように、新しいクラブの名前を聞かないんですよ。アメリカ人のプロモーターも「WIPやThe Bunker Clubが新しいといえば新しいけど、どちらもできて1年とか半年は経ってるかなぁ」とつぶやきます。
しかも、どちらのクラブもフロアが何階にも渡って広がるというわけでもなく、インテリアも日常から人々を切り離すほどセンショーナルというわけでもないんですって。確かに写真を探してみると、あんまり食指は動かない・・・。WIPは特にグリーンハウスの地下を切り取ったアバンギャルドなクラブと言われて、余計に興味が失せます。グリーンハウスといえば、一時期リアーナの行きつけだったとはいえ、LAVOと同じで人種差別の例が多くしかもスタンド式のフロアが危ないんですもの!!
↓Wip。私から見たら80年代に大流行した英字新聞風シャツと変わりなし。
↓The Bunker Club。30丁目にあるBanc Cafeとあまり区別がつかない・・。
何より興味深かったことは、最近のクラブシーが熱が冷めつつあるという事実。特に旅行者が減っていて、フロアを人で集めることが以前より格段と難しくなったといいます。たとえば冬場のNY、重苦しい夜には人の数が一気に減ってしまうのが常。少なくなった人のアナを埋めるのは、これまで海外からの旅行者でした。しかし今年は、暖冬だったというのに特に若い層での旅行者が格段に減ったということです。さすがにスペインでの若者の失業率が約50%、イタリアで約35%、フランスでも約20%とあって、NYで羽目を外す贅沢は味わえなくなったということでしょう。
セレブの魅力とDJのリズムで彩りを与えてきた、NYのナイトライフ。明らかにスケールは落ち、出店する数のダダ下がり状態をみると、ビジネス自体は不透明な景気の波にもまれ下火になってきたようです。
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