米最高裁判所は、アリゾナ州の2010年不法移民取り締まり法の無効を連邦政府が訴えていた裁判で、主要条項を支持する一方で、一部は違憲とする玉虫色の決断を下しました。
以下、ロイターから抜粋
「移民法を連邦レベルではなく州レベルで執行できるかを争った今回の裁判で、最も争点となっていた信号無視などでも警察が呼び止めて違反者の在留資格を問えるとの条項は、全会一致で支持した。
一方、在留証明の常時携帯、不法移民に公共の場での職を求めることの禁止、国外退去を求められる重度な犯罪の場合に令状なしで逮捕が可能――とした3条項については5対3あるいは6対2で無効との判断を示した。ただ保守派の判事は、反対意見に回った。」
ちなみに判事の顔ぶれと指名した大統領をみると・・。
ジョン・ロバーツ(最高判事)→2005年 ジョージ・W・ブッシュ 保守派
アンソニー・ケネディ(男)→1988年 ロナルド・レーガン やや保守派
ルース・ベイダーギンスバーグ(女)1993年 ビル・クリントン リベラル派
ステファン・ブライヤー(男)→1994年 ビル・クリントン リベラル派
ソニア・ソトマイヨール(女)→2009年 バラク・オバマ リベラル派
追記※エレナ・ケリガン(女)→2010年 バラク・オバマ リベラル派
忘れてました。すいません!そして彼女こそアリゾナ州の票決に参加してません。ソトマイヨールさんは参加してます。
アントニン・スカリア(男)→1986年 ロナルド・レーガン 保守派
クラレンス・トーマス(男)→1991年 ジョージ・H・W・ブッシュ 保守派
ジョン・アリトー(男)→2006年 ジョージ・W・ブッシュ 保守派
というわけで、共和党が送り込んだ判事が5名と保守派寄りが優勢であることが分かります。保守>リベラルな情勢を踏まえると、連邦政府に遠慮したのかなと邪推する一方で、少なくとも在留証明の常時携帯など厳格な措置が盛り込まれずホッとしてみたり。
↓アリゾナ州の不法移民取締法案には、子供も反対活動に参加。
オバマ・ケア、いわゆる医療保険改革法案が違憲どうかの判決が28日に下りますが、最高裁は今回のように保守寄りでも連邦政府に配慮するのか、注目ですね。
オバマ大統領といえば、アリゾナ州の不法移民取締法の判決につき、恩恵を受けております。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙がNBCと実施した世論調査によると、ヒスパニック系の間でオバマ大統領に対し「非常にポジティブ」との評価は5月から10%ポイントも急伸して41%となりました。オバマ米大統領の移民政策を支持するとの回答も、90%に及びます。不法移民取締法の判決はオバマ米大統領の主張を完全に汲んだ内容とはなりませんでしたが、米大統領選であるヒスパニック層の取り込みの一助となったことは間違いなさそうです。
↓オバマさんにしてみれば、してやったり。
余談ですが、WSJ/NBCの世論調査で、外国人である私にとっても感慨深かったのが、この項目。「移民は米国にとって助力か打撃か」との質問に対し、アメリカ人のほぼ半数が「助力」と回答していたんです。反対に「打撃」との回答は39%に過ぎず、リーマン・ショック前の52%から大きく低下しました。
外国人としてアメリカで働く身として、医療保険改革法案後に盛り上がった草の根保守主義運動「ティーパーティー」やら、格差問題を訴えた左派運動「ウォールストリートを占拠せよ!(Occupy Wall Street)」などの流行で、非常に残念な思いをしたんです。失業率が9%オーバーだった2010年に転職に絡んでビザの書き換えを迎え、OWSが広がりをみせる間に大使館面接があったんで、その影響なんかが気になって気になって・・・私の脳裏に、こうした運動が常に不安を刻んでいたものです。左右のラディカルな活動にも関わらず、アメリカ人が自国の成り立ちを忘れずにいてくれて、私ホントに安心しました~。
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政治献金戦線に異常アリ、オバマさんはこんなモノまで狙っちゃう