The Dark Knight Rises… with political twist?
いよいよ今週末、アメリカでは映画「The Dark Knight Rises(邦題:ダークナイト・ライジング)」が公開されます。現場では、映画公開前から話題沸騰!夏休み映画の目玉である上に、実は超保守派のラジオ・パーソナリティであるラッシュ・リンボーをはじめ悪役に熱視線が注がれたから。
バットマンのダーク・ナイトのシリーズ第3弾、悪役はイギリス人俳優でアメリカでも人気を誇るトム・ハーディ。監督であるクリストファー・ノーランとは、「Inception(インセプション)」でもタッグを組んでました。そんな事情からかノーラン監督、目をのぞいて顔を覆うマスクをかぶる終始必要がある悪役に、「すぐに、トムの顔が浮かんだ(I knew immediately that Tom would be up for that)」そうな。トムのファンからしてみれば、端正な風貌をマスクで隠した作品は不満かもしれませんが、目と声だけで役柄をまっとうする演技力がトムに備わっていた証です。
問題はトムでもなく、マスクでもありません。悪役の名前「Bane(ベイン)」こそ、リンボーを初めとした右派、左派の間で、議論の対象となったのです~。スペルが違うとはいえ、「ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)」と同じ読みですからね。ベインといえば、共和党のミット・ロムニーが最高経営責任者(CEO)を務めたコンサルティング会社なだけに、超右派のラジオ・パーソナリティーであるリンボーは、「民主党の陰謀だ!!」と鼻息荒く抗議したんですよ。民主党にとっても、ロムニー候補へのネガティブ・キャンペーンの一環として捕らえる良い機会になりました。
確かにトムといいロムニーといい、古典的オットコ前顔かもしれませんが。中央はリンボー。
実際のところ、Baneは悪役キャラクターとして1992年に誕生したので、当然ながら全くの偶然の産物なんです。しかも共同クリエイターであるチャック・ディクソン氏は、「オレは、根っからの極右さ(I’m a life-long right-wing extremist)」とことわった上で、「ベインは悪の力であり、そして体制を破壊する。政治的に捕らえようとするなら、ベインは”ウォール街を占拠せよ”にずっと近いね。(Bane is a force for evil and the destruction of the status-quo. He’s far more akin to an Occupy Wall Street type if you’re looking to cast him politically)」と、巷の噂を吹き飛ばしました。
さらに、こんな事実も。このニュースにあるように、大手映画配給会社のライオン・ゲートのマイケル・バーンズ副会長、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーの元CEOであるハリー・メイヤーにならい、映画の配給元であるワーナー・ブラザーズの元会長でヤフー!の元最高経営責任者(CEO)であるテリー・セメルも、予備選からロムニー候補の支持者でした。
チャック・ディクソン氏も、キャラクターの政治性についてこうまとめてましたっけ。「もしブルース・ウェインが米大統領に出馬するなら、ブルースはロムニーに他ならなかっただろう(If there ever was a Bruce Wayne running for the White House it would have to be Romney)」。
Bane=Bain=ロムニーで、バットマン=オバマっというのが、かなり短絡的なコジツケであることがお分かりいただけましたでしょうか。しかも映画「The Dark Knight Rises」に登場するキャットウーマンのキャラクターを踏まえると、ブルースはロムニーっぽい。だってキャットウーマンことセリーナ・カイルは、お金持ちから富を奪う泥棒であり、大富豪のバットマンであるブルースに対し「今までの贅沢な暮らしっぷりと裏腹に、残りの者がどれだけ虐げられたかって、思い知るでしょうよ(you’re all going to wonder how you ever thought you could live so large and leave so little for the rest of us)」とささやきますからね。
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