January FOMC, It’s All About Communication!
米連邦公開市場委員会(FOMC)、新年第1発目が29日から開催され30日に声明文が発表されます。
今回はFOMCメンバーの経済見通しの公表、および米連邦準備制度理事会 (FRB)の記者会見は予定されていません。従って、ワタクシがざっと目を通したエコノミスト諸氏のレポートによりますと、大きな決定は持ち越されるとの観方が大勢を占めています。
2012年のFOMCスケジュールをみると、根拠は一目瞭然です。※はFOMCメンバーの経済見通しの公表、バーナンキ議長の記者会見のある場合。
1月24-25日※
3月13日
4月24-25日※
6月19-20日※
7月31-8月1日
9月12-13日※
11月23-24日
12月11-12日※
このうち、
1)1月→時間軸の強化(2013年半ばから2014年終盤へ変更)
2)6月→オペレーション・ツィストの延長(6月末から年末へ)
3)9月→住宅ローン担保証券の追加買取(QE3)の開始発表、時間軸の強化(2014年終盤から2015年半ばへ変更)
4)12月→オペレーション・ツィスト終了にあわせた米国債の買取、数値目標の導入(失業率6.5%以下、インフレ率2.5%以上で低金利解除)
と実に大きな転換点はFOMCメンバーが描いた経済見通しを提供して金融政策と整合性をもたせ、かつバーナンキ議長が説明責任を果たすというセットで行われたわけです。2012年12月のFOMC議事録では、複数のメンバーが「2013年末以前」に資産買取の縮小あるいは終了する可能性があると言及しておりましたが、経験則に当てはめると今回、資産買取に対するコミュニケーション手段の決定は見送られるかと。
1月声明文では景況判断をはじめ、労働市場への記述を微調整するでしょう。住宅指標は12月分こそ中古住宅販売件数に始まって全般的に予想以下でしたが、足元のレンジ内に収まっている上、在庫不足に伴う販売動向の下押し効果が大きく、わざわざ変更する必要はありません。強いて言うならダウ平均からドイツDAX指数まで株式相場はざっくり5年ぶり高値を達成しているため、「海外市場における緊張は、経済見通しに大いなる下方リスクを与え続けている」という文言から「大いなる(significant)」という文言が削除される可能性が考えられます。
とはいえ、資産買取をはじめコミュニケーション手段について議論することは間違いなく。今週末2月2日には米1月雇用統計も発表されますし、ね。
注目の資産買取の縮小あるいは終了へ導くコミュニケーション手段の議論は、どのように形成されるのか。JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、数値目標で採用された失業率ではなく、雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の伸び率こそ、資産買取の縮小・終了への扉を開く鍵だと指摘しています。
数値目標、もともとシカゴ連銀のエバンス総裁の提案でした。「エバンス・ルール」という異名で、ご案内の通りでございます。今年の投票メンバーを務めるハト派寄りのエバンス総裁、実は2012年9月に「2四半期でNFPの伸びが20万人以上であれば」資産買取の終了を考慮できると発言していたんですね。
「エバンス・ルール」、「Evans Ruled!」 なんてダジャレが思いついたの私はオヤジです。
今後の議論で、こうしたベンチマークが続々出てくること必至!ひとまず今年のFOMCは、2011年春以来となる出口政策への足固めとなりそうです。
【追記】
3兆ドルという未踏の領域に踏み込んだバランスシートを考えても、出口政策をにらむ必要が出てきたFOMC。BNPパリバのジュリア・コロナド米国担当主席エコノミストは資産買取につき2013年こそ850億ドルのペースを維持すると予想しつつ、終盤の成長回復に沿って、2014年は550億ドルへの縮小を見込んでいます。2014年8月まで縮小した規模で行い、以降は年末までは償還を迎えた証券への再投資のみという現状維持のシナリオを描いているんですが・・2013年は何も波乱がなければ劇的な展開に欠け、Fedウォッチャー泣かせの年になりそうです。
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