Did The Movie Do A Great jOB?
アップル・ファンなら、お馴染みの4月19日。アップルの生みの親スティーブ・ジョブズ元最高経営責任者(CEO)の半生を追った映画「jOBS」は、同社創立37年目にあたる記念日にアメリカで公開される運びとなりました。
サンダンス映画際で25日に初お披露目されたこちら、監督は2008年に1人の男が大統領選の決定を下す投票を握るという映画「チョイス!(Swing Vote)」で知られる、ジョシュア・マイケル・スターン(42)。脚本は今作がデビューとなる、マット・ウィットリーです。スティーブ・ジョブズというアメリカが誇る著名人の映画が、自主映画の作品として生まれたなんてアップルのスタートアップと被りますね。
スターン監督〔中央〕、アシュトンとスティーブ・ウォズニアック演じるジョシュ・ギャッドとともに。
主役を張るアシュトン・カッチャーも、俳優としての知名度はけっして高いとはいえないでしょう。アメリカではコメディ・ドラマ「That’s 70 Show」の印象が強い上、MTVで放映していたアメリカ版スターどっきりマル秘報告、もといセレブ向けイタズラ仕掛け番組「Punk’d」の制作者兼司会者を務めたこともあって、本格派俳優というイメージは皆無に近いです。日本人の間でも、ハリウッド・ゴシップ愛好家には「デミ・ムーアの元ダンナ」くらいが関の山かと。あ、そういえば過去の暗い記憶を書き換えようとする青年を描いたサスペンス映画「The Butterfly Effect」がありましたっけ。あれは確かに、アシュトンの別の魅力を引き出した良作でした。
アシュトン、こうしてみると生き写し。ERのノア・ワイリーでもイケたかもですが。
そうはいってもアシュトン、曲がりなりにも俳優なだけあってジョブズ元CEOという人物像に迫るため食生活まで果実・野菜・ナッツ類に徹するストイックぶり。結果、2日間にわたって入院するというハプニングに見舞われました。すい臓が機能麻痺になったとコメントしていたところを振り返ると、ジョブズ元CEOがすい臓ガンで命を落としたことが思い起こされます。
風貌が似ているという利点を存分に活かしながらジョブズ元CEOの食生活に密着しただけでなく、猫背の歩き方、話しぶり、あのポーズを研究し尽したというのアッパレ。メガホンを取ったスタイン監督も、歩き方のシーンではキャットウォークならぬ猫背ウォークを強調するよう、カメラワークに留意したんですって。
さて、肝心の「jOBS」の評価は?
真っ二つと言っても過言ではないかもしれません。IT情報サイトで、みてみましょう。
ギズモードは、「アップル・ファンに満足を与える作品(A Satisfying Experience for an Apple Fan)」と歓迎しておりました。映画自体は「予想外に良かった」としております。映画では、かつての友人でありライバルとなるビル・ゲイツ以外の主要キャラのほか、ジョブズ元CEOが崇拝してやまなかったボブ・ディランをフューチャーしているとも説明してましたね。アシュトンの演技は「完璧ではないながら、適任だろう」としています。アシュトン自身を世に送り出した「That’s 70 Show」そのままに1976年からストーリーが始まるなかで、見事なジョブズっぷりでかつてのドラマを思い出す余地がなかったと賛辞を送ってました。
ユーチューブで、映画のワンシーンがチェックできますよ。
CNETはむしろ、レビューのタイトルからして「主人公を褒めそやす一方で、映画は薄っぺら(While “jOBS” fawns over subject, film falls flat)」と辛口。映画自体はジョブズ元CEOの功績を何度も何度も称賛するばかり、とも指摘してましたね。ジョブズ元CEOの生き方、人を触発する力には数え切れないドラマを見出すことができるとしながら、「感傷的な『iJOBS』では見つからないit is not to be found in the saccharine “jOBS.”」と締め括ってます。ただし、映画全編の4割をしゃべり通したアシュトンに対しては「声色を真似るだけでなく、役になりきり、型にはまったジェスチャーをものにしていた(inhabiting Jobs in his mannerisms and gestures)」と、好感しておりました。
脚本がウォルター・アイザックソン著書の伝記「スティーブ・ジョブズ」を源流としていたらしく、真に迫るストーリー仕立てでないのは否めないようです。映画情報サイトのIMDBでは、10点満点中6.2。皆さんがご覧になったら、どんな採点を下すのでしょうか。
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