FOMC Has Got A Grip To Shift Asset Purchases For The Future.
FOMC声明文、今回はほぼ予想通り大幅な変更はなし。それでも、ダウ平均が140ドル近くの大幅安で終了したのは・・・米4月ADP全国雇用者数が2012年9月以来の水準へ伸びを縮めたほか、米4月ISM製造業景況指数が年初来で最低となったことが関係しております。
ISM製造業景況指数は、かろうじて分岐点をキープしただけの体たらく。
(出所:WSJ)
S&P500がFOMC直前に2日連続で終値ベースで最高値を更新していたように、資産買入の拡大あるいは何らかのハト派寄りアクションを期待していたんです。この日発表された経済指標がそろって弱含んだことで膨れ上がったスケベ心、FOMCが資産買入の縮小だけでなく拡大の可能性をちらつかせましたが、満足できずに売りを失望売りを浴びせちゃいました。
以下は、声明文の主な変更点です。
【景況認識】
前回:「経済活動は2012年終盤に停止した後で、緩やかな成長軌道へ戻した」
↓
今回:「経済活動は緩やかなペースで拡大している」
※米2012年10-12月期が0.4%増だったが、1-3月期GDP速報値では2.5%増に回復。
前回:「雇用情勢はここ数ヵ月の間に改善の兆しをみせているが、」
↓
今回:「雇用情勢はここ数ヵ月の間に『いくらか』改善の兆しをみせているが、『どちらかといえば』依然として失業率は高止まりしている。」
※米3月雇用統計・非農業部門就労者数が8.8万人増と9ヵ月ぶり低水準だったほか、米4月ISM製造業景況指数の雇用が下振れし、米4月消費者信頼感指数でも楽観度が後退した点に留意。
前回:「財政政策がいく分、より抑制的となっている」
↓
今回:「財政政策が経済成長を抑制している」
※財政の崖交渉後の給与増税、強制歳出削減など始動後に米3月小売売上高が0.1%減と減少したように消費を中心に経済への悪影響を懸念。景気鈍化の責任はFedではなく、連邦政府の責任とも批判しているように映る。
【統治目標の遵守について】
特になし。
【追加緩和策について】
「委員会は労働市場およびインフレの見通しの変化に伴い、適切な緩和策を維持するため買入ペース拡大あるいは縮小する用意がある」を追加。
※経済指標、インフレ動向次第で資産買入ペースを変更させると表明し、政策の自由度を確保。追加的な緩和策が必要な場合に配慮か。
【政策金利について】
2012年12月に導入した数値目標、すなわち「1-2年先のインフレ率の見通しが2.5%以下、失業率が6.5%以上」の水準を続ける限り「例外的な低金利」政策を維持するとあらためて説明。そのほかの労働市場、インフレ動向および見通し、金融市場の動向と照らし合わせ、金融緩和の解除の判断材料とする。
【票決結果】
今回:地区連銀の投票メンバーは2013年、セントルイス連銀のブラード総裁、シカゴ連銀のエバンス総裁、ボストン連銀のローゼングレン総裁、カンザスシティ連銀のジョージ総裁。反対票は、前年のリッチモンド連銀のラッカー総裁に代わり同じくタカ派で知られるカンザスシティ連銀のジョージ総裁で、長期的な緩和政策に反対票を投じた。
カンザスシティ連銀のジョージ総裁。緩和を継続する限り反対票を投じるでしょう。
以下は、エコノミスト諸氏によるレビューです。
バークレイズ・キャピタルのマイケル・ゲイピン米エコノミスト
FOMC声明文は、景況判断を調整した程度だった。今回最も大きな変更点として、「委員会は労働市場およびインフレの見通しの変化に伴い、適切な緩和策を維持するため買入ペース拡大あるいは縮小する用意がある」との文言を挿入したものの、弱い経済指標後では織り込み済みだったといえる。ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁が「失業率が5.5%へ低下するまで低金利を維持すべき」などと具体的な数値目標の変更を求めていたことなどを踏まえると、数値目標より資産買入ペースの変更を選好しているようだ。全体的に今回の声明文は前回よりややハト派色を帯びた程度といえ、当方は引き続き年末まで毎月850億ドルでの資産買入ペースを維持し、2014年1-3月期に縮小すると見込む。
BNPパリバのジュリア・コロナド米国担当主席エコノミスト
FOMC声明文で、今回「委員会は労働市場およびインフレの見通しの変化に伴い、適切な緩和策を維持するため買入ペース拡大あるいは縮小する用意がある」との文言が追加された。バーナンキ議長が、3月FOMC記者会見で資産買入につき「会合ごとに変更されうる」と発言したことと整合的といえよう。FOMCでは多岐にわたる議論が展開されただろうが、声明文ではこれ以上大きな変更をもたらしておらず、資産買入の拡大/縮小いずれもハードルは現状高い。従って、年内の資産買入ペース維持との予想を据え置く。
いかがでしたでしょうか。次回6月18-19日のFOMCでは、FOMCメンバーの経済見通しとともにFF金利予想が発表されるほか、バーナンキ議長の記者会見を予定します。政策スタンスを変更するなら、1年の折り返し地点である6月となるに違いありません。
Comments
デジタル世代、面接中のスマートフォン利用は当たり前? Next Post:
イチローの引越し先は、ハーレム・シェイク風ペントハウス