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6月FOMC、新メンバー参加でも調和を維持へ

by • June 18, 2014 • Finance, Latest NewsComments (0)1925

June FOMC  Will Keep The Tone With New Members.

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文をはじめ経済・金利見通しが18日、公表される。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見が実施されるほか、フィッシャーFRB新副議長、ブレイナード新FRB理事も初めて出席する注目の会合は、エコノミストの見方を借りると「無難」に終わる公算だ。

▽資産買い入れ減額
100億ドルの見方が優勢。フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁、ダラス連銀のフィッシャー総裁が150億ドルの増額を求め反対票を投じるリスクも残る。あえてサプライズを予想するならば、150億ドルへの減額規模引き上げ。そもそもFedは減額につき「規定路線にない」と断っているだけに、見捨てておけない選択肢だ。

理由は4つ。第1に米5月雇用統計や米新規失業保険申請件数など、労働指標を中心にファンダメンタルズで改善がみられまる。第2にバブルの芽を摘む利点がある。株式市場が過去最高値近くを保つ一方、S&P500は40営業日連続で終値ベースで1%に達しない状態で、これは1995年以来初めて。ボラティリティが低下し、信用スプレッドも過去最低近くまで縮小する状態で、Fedがカンフル剤を打つ場合も考えられる。フィッシャーFRB副議長が金融市場の安定を目指すタイプである点を踏まえると、なおさらといえよう。第3に、イエレン議長の記者会見で説明責任を果たせるほか経済・金利見通しで低金利継続をアピールできる。第4に、9月頃にQE終了のファンファーレを鳴らす前に7月に旧ハンフリー・ホーキンス証言、8月にはジャクソン・ホールでのイエレン議長による講演で調整が可能となる。すでにイエレンFRB議長が出席すると発表されており、舞台は整ったと言えるのかもしれない。

▽FOMC声明文
フォワード・ガイダンスを維持

▽経済・金利見通し
3月時点での最新の失業率は2月時点の6.7%だった一方で、今回参考となる5月失業率は6.3%であり失業率は下方修正される公算が大きい。反対にPCEデフレーターは、3月FOMC時点の1.1%から今回は1.8%へ上向いており、上方修正へ。成長率は、1−3月期国内総生産(GDP)改定値が1.0%減とマイナス成長だったため、3月時点の予想中央値2.8—3.8%を達成するには「残りの四半期で平均4.5%増を達成しなければならず」(モルガン・スタンレー)、下方修正が濃厚となる。

JPモルガン作成、過去の経済見通しと(f)は同社の予想値。
jpm

ゴールドマン・サックスの予想は、以下の通り。
gs

▽FF金利見通し

3月FOMC議事録で市場関係者のFF金利見通しに対する解釈に配慮する姿勢をみせていたものの、JPモルガンは2015年中央値につき従来の1.0%から25bp以内の上方修正を見込む。バークレイズは、1.0%で据え置いた。一方でモルガン・スタンレーはFF金利先物が足元2015年末で0.75%、2016年末で1.75%を織り込むように、FF金利見通しの下方修正の余地をみている。またFOMC参加者からFF金利の中立水準4%を高過ぎるとの認識が聞かれるなか、モルガン・スタンレーは潜在成長率を2%と想定した上で中立水準を1.5%と試算。FOMCは長期的なFF金利見通しを徐々に下方修正するシナリオを描く。

3月時点のFF金利予想は、以下の通り。
frb−dot
(出所 : FRB)

▽FOMC新メンバーの動向
フィッシャーFRB新副議長、ブレイナードFRB理事、そしてクリーブランド連銀のピアナルト前総裁の後任としてメスター氏の3名が新たに投票権をもつメンバーとなる。フィッシャー氏は入れ替わりとなるスタイン前FRB理事と同じく金融市場の不均衡を懸念する可能性を残すとはいえ、マクロ経済の認識は現在のFOMC体制と一致する。メスター新クリーブランド総裁はフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁の下で働いていきた人物だが、金融市場の安定を目指す金融政策を推進するタイプでタカ派と判断しづらい。ブレイナードFRB理事は、どちらかといえば労働市場と分配の問題を研究した立場上、ハト派寄りと考えられる。

▽イエレンFRB議長の記者会見、その他
経済見通しの修正に合わせ、イエレンFRB議長が記者会見でテーパリングの終了時期を10月と発表する余地が残る。また、小委員会の委員長にフィッシャー氏を任命したと発言すればFOMC内の調和を際立たせる見通しだ。

FOMCでは、出口戦略をあらためて検討する公算が大きい。NY連銀のダドリー総裁やサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、利上げを開始してから再投資を停止すべきと主張していた。特にダドリー総裁は、根拠として 1)バランスシート縮小より利上げを行った方がコミュニケーションが容易、2)FFレートをゼロの下限から引き上げれば政策の柔軟性が高まる――といった2点に注目。バークレイズはこうした見解を受け、「FOMCが将来必要な場合にバランスシートの拡大より利下げで対応する余地を残したもの」と解釈していた。

(カバー写真 : Bankrate)

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