Pennsylvania State Gave A Green Light To Tesla.
テスラは14日、3.9%の大幅高で引けました。
ペンシルベニア州で、遂に直販5店舗の営業を承認する法案が通過したからです。当初は自動車ディーラーの猛反発に抗えず、同州は石油生産で知られるテキサス州やアリゾナ州、バージニア州、メリーランド州と並びカーディーラーを介さず直接消費者に販売するテスラの進出にブレーキを掛けていました。しかし6月のニュージャージー(NJ)州に次いで、禁止令が解かれたのです。ちなみにニューヨーク州ではNY自動車ディーラー協会とテスラの協議を経て3月に直営5店舗の営業継続で合意し、6月に販売権を勝ち取りました。オハイオ州でも、3月に直営店の生き残りに成功。将来的な直営店の増設で制限が掛かるとはいえ、電気自動車(EV)ファンと環境団体のプッシュもあって独自路線を維持できたというわけです。
6月にNJ州で承認された当時は、3.1%高で取引を終えました。今回テスラの上昇率が6月当時より大きかった理由は、悪材料で足元下落が目立っていたから。7月4日の独立記念日の未明に盗難された「モデルS」は時速100マイル(約161km)の猛スピードで疾走しパトカーと映画顔負けのカーチェイスを演じた後、カリフォルニア州ロサンゼルスはウエストハリウッドで複数の車および電灯に衝突。あろうことか、真っ二つに大破する事件が発生していました。
黒い車がテスラ。前部と後部がご覧の通り分断され後部は壁の間に突っ込む始末。
(出所: Bloomberg)
(出所 : ecomento)
さらに7月8日には、中国人投資家が中国でテスラを商標侵害にて提訴。販売停止を申し立てだけでなく、ショールームをはじめ充電ステーション、サービスセンターなど諸々の閉鎖に加え販売マーケティングの中止、さらには2390万元(約3億9200万円)の賠償金を求めました。中国ならではのニュースとはいえ、4月に北京と上海を皮切りに納車を開始し6月には杭州と深圳で予約済み「モデルS」の引き渡しを2ヵ月以内にスタートさせる計画を発表したばかりだっただけに、出鼻をくじかれたかたちです。
立て続けに祟られたテスですが6月12日に特許技術を公開する方針を打ち出し、EVの競合であるBMWや日産が充電ステーションでの提携に色気を見せたと伝えられています。かつてジョージ・クルーニーが苦言を呈したように、ドライバーにとってガス欠ならぬバッテリー切れは非常に怖い。走行距離への不安が拭えないようではEVの前進もないというわけで、3社提携で充電ネットワーク網が強固になれば販売加速も期待できますね。
何よりテスラには、パナソニックと手を結んで計画するギガファクトリーという武器がございます。テキサス州のリック・ペリー知事ですら、ギガファクトリーを同州に建設するならショールームのみで販売を許可していない現状を変更する可能性をちらつかせていました。決定次第では、いよいよテキサス州で解禁か・・・と色めき立つのはまだ早い。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は6月3日開催の年次株主総会で「3ヵ所を予定、年末までに1ヵ所選定する」と発言しており、8月6日に発表する4−6月期決算発表で明らかになる可能性は低い状況。当初は5月にも着工の噂がありましたが各社との提携のほか、直営店禁止の州の対応も含め戦略的に見据えているんでしょう。いやはやマスクCEO、「現実世界のアイアン・マン」と呼ばれるだけに役者ですね。
(カバー写真 : Green Autoblog)
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