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米11月中古住宅販売件数、春以降の増加分を打ち消し

by • December 22, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off1974

Existing Home Sales Plunge, Despite Low Mortgage Rates And Cheaper Gasoline Prices.

全米リアルター協会(NAR)が発表した米11月中古住宅販売件数は493万件となり、市場予想の520万件に届かなかった。2013年9月以来の高水準を果たした前月の525万件(526万件から下方修正)を6.1%下回り、6ヵ月ぶり低水準。過去6ヵ月間で2回目の減少を示す。前年比では2.1%増と、2ヵ月連続でプラス圏を維持。ただ10月の2.5%から鈍化した。

内訳をみると、一戸建てが前月比6.3%減の433万件と少なくとも過去6ヵ月間で最低となった。複合住宅も4.8%減の60万件となり、それぞれ3ヵ月ぶりに減少している。

4大地域別では、すべて減少。10月までは2ヵ月連続で3地域が増加していた。西部が9.6%減の103万件と2ヵ月連続で減少。中西部は8.9%減の113万件と、前月から減少に転じている。北東部は4.2%減の68万件、南部も3.2%減の209万件、と、それぞれ3ヵ月ぶりに減少した。

在庫件数は、前月比6.7%減の209万件と3ヵ月連続で減少。8ヵ月ぶり低水準だった。販売件数も減少したため、在庫相当は5.1ヵ月で10月と変わらず。金融危機以降で最も短期化した1月の4.3ヵ月から、遠のいた水準を保つ。中央価格は前年比で5.0%上昇の20.53万ドル。8ヵ月連続で20万ドルに乗せたが、前月比では1.1%下落し5ヵ月連続で前月比マイナスだった。売り出し平均期間は65日と、前月の63日から延び、足元最短だった2013年6月の37日を上回った水準を保つ。

買い手の内訳は、以下の通り。

・差し押さえ物件 6%<前月は7%、前年同月は9%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 3%>前月は2%、前年同月は5%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 9%=前月は9%、前年同月は14%
・新規購入者 31%>前月と合わせ5ヵ月連続で29%、前年同月は28%
・現金での購入者 25%<前月は27%、前年同月は32%
・住居用ではなく投資向け 15%=前月は15%、前年同月は19%

NARのローレンス・ユン米エコノミストは、「金利が低下したにも関わらず、販売件数は減少した」と振り返る。また10月半ばの米株安の痛手も「消費者に悪影響を与えたほか、住宅価格の上昇が投資家心理を冷やした」とまとめた。

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、今回の結果を受け「春以降の回復を打ち消した」と指摘。在庫の減少をめぐっては「冬期を控え通常、減少する傾向が高いものの過去平均の2.2%減を超える下げ幅となった」と付け加え、在庫減が販売件数が落ち込んだことが敗因との考えを示唆した。

中古住宅販売件数、5月以降の高水準から500万件割れへ戻す。

daiwa
(出所:Daiwa Capital Markets)

—−以上、NARのユン米エコノミストが説明するように低金利を迎えながら、販売件数は大きく減少しています。それだけではなく、ガソリン価格の下落という恩恵に浴しながらも増加しなかった。在庫の減少が販売件数を抑制したと考えられる半面、米株安ショックと米景気不透明感が購入ヘの決断を鈍らせた感は拭えず。米12月NAHB住宅市場指数米11月住宅着工件数を踏まえると、住宅市場の改善ペースがさらに鈍化する可能性は否定できません。

とはいえ、悪い材料ばかりでもなく。新規購入者の割合が31%と2012年10月以来の高水準だったほか、12月米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文のおかげでかなりゆっくりとした利上げとなる見通しで、来月ヘ向けわずかな希望を残します。

(カバー写真:World property journal)

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