Why Did Arrests By NYPD Plummet To 66%?
ニューヨーク市で異変が生じています。いつもなら5分駐車違反しただけで違反切符を残していく警察官の姿が、めっきり見られなくなっているのです。
地元紙ニューヨーク・ポスト(NYP)によると、その数字の落ち込みぶりに目を見張ります。クリスマスを挟む2014年22日週の検挙件数は、以下の通り。
刑事裁判の召喚状 300件(前年比94%減、2013年は4831件)
交通違反 587件(前年比94%減、2013年は1万69件)
駐車違反 1241件(前年比92%減、2013年は1万4699件)
逮捕件数 1820件(前年比66%減、2013年は5370件)
薬物取り締まり 63件(前年比84%減、2013年は382件)
年末年始といえば日本だと警備強化時期にあたるはずなのに、NYは逆なのでしょうか?いえいえ、違います。検挙件数の大幅減少の裏には、「警察官によるスト」や「職務放棄」が囁かれているのです。
なぜ12月22日週に急減したのでしょうか?
クリスマスの頃は、人出が多くなるとともに犯罪も増えそうですが・・。
(出所:My Big Apple NY)
12月20日午後3時頃、ブルックリンはベッドフォード—スタイベサントでパトカーで職務にあたっていた警察官2人が射殺される事件が発生したためです。ボルチモアからNYへ駆けつけ犯行に及んだイスマーイル・ブリンスリー容疑者は、インスタグラムで事前に「今日、豚どもに羽根をつけてやる」と宣言。NY市警が逮捕する最中に窒息死させたエリック・ガーナー氏、ミズーリ州ファーガソンで警官に射殺されたマイケル・ブラウン氏の”復讐”を意図していたことは、言うまでもありません。19回もの逮捕歴をもつブリンスリー容疑者は2人の警官を射殺後、自身の頭を撃って自殺しました。
2人警官が射殺された直後、NY地元紙デイリー・ニュースのインタビューに応じてた警官は震えながら「暗殺されたんだ」と口走ったといいます。関検挙件数の大幅減に対し、関係者はNYP紙に「安全上の問題」を挙げていました。NY市内で「Black Lives Matter(黒人の命だって大事だ)」とのキャッチコピーを掲げデモ活動が繰り広げられ、NY市警へのヘイトが渦巻くなか、真面目に職務に従事すれば自分が狙われかねない——NY市の警察官は、そう感じているのでしょう。
ビル・デブラシオ市長への不満も、検挙件数の大幅減少につながっています。デブラシオ市長がNY市警への反感を抑制する措置を講じないどころか、エリック・ガーナー氏の遺族や関係者に同情的な立場を表明しデモ活動の火に油を注いだと糾弾しているためです。NY市警とデブラシオ市長の関係悪化は、米大統領選を控えた2016年の民主党全国大会に遺恨を残しかねません。NY市はペンシルベニア州フィラデルフィア、オハイオ州コロンバスとともに最終候補として肩を並べる一方、舞台となるブルックリンは2人の警官が射殺された現場にあたるため民主党サイドも治安問題に疑問を呈し始めています。
ブルックリンでは、党大会誘致のフラッグがはためく。
(出所:Richard Levine)
NY市内の殺人件数は2014年、前年比2.4%減の327件と1963年以来で最低を更新しました。10万人に対し3.89人の割合となり、1950年以来で初めて4.0人を割り込んだんです。ただし、銃による犯罪件数は6%増の1162件でした。NY市警が職務に取り組まなければ、NYでの犯罪件数が静かにはびこるリスクをはらみます。
(カバー写真:Andos_pics/Flickr)
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