Earnings Roundup : Amazon, AT&T, Starbucks, Visa.
23日引け後に発表された主な決算を振り返ります。
▽アマゾン、2桁増収で予想外の黒字転換
オンライン小売大手が発表した4−6月(第2四半期)決算では、純損益が9200万ドルだった。前年同期比の1億2600万ドルの赤字から、予想外の黒字に転換している。希薄後の1株当たり利益は0.19ドルと、市場予想の0.14ドルの赤字より格段に強い。営業費用が17.4%増の227億2100万ドルだったものの、収入の力強い伸びが吸収した。収入は19.9%増の231億9000万ドルと、市場予想の223億9000万ドルを上回った。為替差損を13億9000万ドル計上しており、ドル高の影響を除けば27%増へ伸びを拡大させる。
収入動向をみると、製品売上高は12.2%増の171億400万ドル。サービス収入は48.7%増の60億8100万ドルだった。地域別では、北米が25.5%増の137億9600万ドル。海外は3.1%増の75億6500万ドルと、1−3月期から増収に転じた。2006年にサービスを開始して以来初めて決算に登場したクラウド関連のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、81.5%増の18億2400万ドルとなる。1−3月期の増収ペースが続けば、約70億ドルの収入を達成する見通し。 アナリストの間で、同部門の収入は60億〜90億ドルと試算されている。
営業キャッシュフローは、過去12ヵ月間で前年比69%増の89億8000万ドル。フリーキャッシュフローは、4倍超の43億7000万ドルに拡大した。
7−9月期につき売上高は233億〜255億ドルを見込み、レンジ上限はアナリスト予想平均の238億9000万ドルを遥かに超えた。創業20周年を記念した”プライム・デー”がどれだけ売上に寄与したか、注目される。時間外取引で株価は一時20%近くも急伸、550ドルを超え軽く過去最高値を更新した。
決算後、ロケットのようにアップサイドへ垂直発進。
(出所:Google)
▽AT&T、市場予想上回るも加入者数の伸び減速
通信大手が発表した4−6月(第2四半期)決算では、 純利益が前年同期比70.4%減の30億ドルだった。買収、再編に絡む費用を除く1株当たり利益は0.69ドルとなり、市場予想の0.63ドルより強い 。収入は1.4%増の330億1500万ドルで、市場予想の330億500万ドルをわずかに下回った。
主力のワイヤレス部門の収入は、2.1%増の183億ドル。前払い利用者が増えたため機器収入が15.1%増の34億7400万ドルと寄与したものの、価格競争に煽られサービス収入が0.1%減の295億4100万ドルだった。料金後納サービス収入は頭金なしで月ごとにスマートフォンなど該当端末機を支払うシステム”AT&T ネクスト”が普及するものの、小幅減にとどまった。有線部門の収入は、2.9%減の142億ドルだった。
ワイヤレス利用者数は、210万件増となった。注目の料金後納プランは41万件増となり、タブレットが押し下げ前年同期の102.6万件増を下回った。さらに、ベライゾンにも遠く及んでいない。一方で、料金後納の解約率は1.01%と前年同期の0.86%を上回った。前払い加入者数は33.1万件増となり、前年同期の28.6万件の減少からプラスに転じている。なおディレクTVの買収を米司法省は承認、米連邦通信委員会(FCC)も審査を終えウィーラーFCC委員長が支持を求める文書を配布しているとされ、年内に完了する見通しだ。加入者数の鈍化を市場予想上回る利益・収入が打ち消し、時間外取引で株価は一時1.8%も上昇した。
▽スターバックス、ペプシコとの提携や追加の自社株買いを発表
コーヒーチェーン大手が発表した4−6月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比22%増の6億2670万ドルだった。調整済み1株当たり利益は0.42ドルとなり、市場予想の0.41ドルより強い。売上高は18%増の48億8000万ドルで、市場予想の48億6000万ドルを上回った。
世界全体の既存店売上高は前年同期比7%増となり、市場予想の6.2%増を上回った。来客数は4%増となる。地域別では以下の通りで、%は前年同期比。
>米国大陸:8%増(市場予想は6.3%増)、来客数 4%増
>中国/アジア太平洋:11%増、来客数 10%増
>欧州/中東/アフリカ:3%増、来客数 2%増
地域別での売上動向は、以下の通りで%は前年同期比。
>米国大陸:17%増の34億1500万ドル
>中国/アジア太平洋:127%増の6億5270万ドル
>欧州/中東/アフリカ:9%減の2950万ドル
ケビン・ジョンソン最高執行責任者(COO)は、アプリを使った”モバイル・オーダー・アンド・ペイ”について「直営の4000店で展開中」と説明した。ホリデー商戦までに、米国内で7400店へ拡大する見通し。同COOは「ピーク時の注文取り扱いを円滑化させ、作業効率化に成功している」とコメントしたが、特に支出拡大を促してはいないとも付け加えた。
決算と合わせ、追加で5000万株の自社株買いを発表。さらに、ペプシコと提携し南米でコーヒーやエナジー・ドリンクの販売に着手する計画を明らかにした。
2015年度(2015年9月末終了)の1株当たり利益見通しは、1.77〜1.79ドルで据え置いた。売上高は16〜18%増の下限とし、従来のレンジから慎重な見解へ寄せている。既存店売上高は5%増、設備投資は14億ドルで維持した。7−9月期の1株当たり利益は、0.38〜0.39ドルと予想した。決算内容に加えペプシコとの提携、自社株買い拡大を好感し時間外取引で一時4.8%も上昇した。
▽ビザ、支出拡大で利益・収入とも予想上回る
クレジットカード大手が発表した4−6月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比25%増の17億ドルだった。ビザ・ヨーロッパのプット・オプションの再評価をめぐる費用や減税効果など、一時的項目を除く調整済み1株当たり利益でも0.74ドルと市場予想の0.59ドルより強い。収入は12%増の35億2000万ドルで、市場予想の33億6000万ドルを超えた。為替変動を除く場合は、14%増となる。カード支払い総額は為替変動を除くベースで前年同期比11%増の1兆2000億ドルと、市場予想の9.9%増から加速し収入に寄与した。営業利益は12.0%増の22億6200万ドル。営業費用は10.7%増の12億5600万ドルで、特に人件費がかさんだ。
収入の部門別動向は以下の通りで、%は前年比を表す。
>サービス 9.4%増の15億5000万ドル
>データ・プロセス収入 6.0%増の14億ドル
>海外 20.8%増 10億3900万ドル
>その他 2.1%増の1億9900万ドル
2015年度(2015年9月末終了)の見通しは、収入につき10〜14%増を見込み従来の2桁増から引き下げた。為替差損は2.5%とし、従来の2%から拡大。1株当たり利益伸び率は10〜15%増の下限で維持した。同社は、ビザ・ヨーロッパの買収が「非常に合理的」との見解を表明。5月に最大200億ドルで買収を打診したとされ、現在は交渉中だという。カンファレンス・コールでは「10月末」に合意を目指すと明かした。時間外取引で、株価は一時4.5%上昇した。
(カバー写真:amish.patel/Flickr)
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